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夕学レポート

2013年10月31日

世界を知るためには宗教を知らねばならない 橋爪大三郎さん

photo_instructor_693.jpg世界の人口は約70億人と言われる。
橋爪大三郎先生によると、おおざっぱにみて、その9割(約63億人)は同じ宗教を中心に形成されている4つの文明圏に収斂できるという。
・キリスト教圏(欧州、米国大陸) 25億人
・イスラム教圏(中東、北アフリカ、海洋アジア) 15億人
・ヒンドゥー教圏(インド) 10億人
・儒教圏(中国) 13億人
宗教とは何か、という哲学的問いは横に置いておくとして、宗教がもたらす機能(働き)は何かを考えてみると、
「宗教は同質性を高める」というのが橋爪先生の解説である。
同一の宗教圏で生きる人々は、無意識のうちに同じように考え、同じように行動する傾向が強まる。あらゆる場面で人々の思考と行動を規定するもの。それが宗教である。
同質性が高い社会とは、予測可能性が高い社会である。
見知らぬ人、初めての関係であっても、相手の考え方、行動原理が読めるのでトラブルが起きづらい。
4つの宗教が数千年の歴史を経て、世界に拡大していったのは、宗教が持つトラブル回避効果を、人々が強く認識していたからであろう。
橋爪先生がよく指摘することは、
宗教というレンズを通してみると日本は世界の異端である、という事実である。
神社で初詣、葬式はお寺、年末の楽しみはクリスマスといったように、宗教は都合よく利用させてもらうにかぎるという認識がマジョリティである。
従って、宗教が人々の思考と行動を規定するという感覚がいまひとつわからない。
逆に、オカルト教や過激新興宗教が引き起こすセンセーショナルな事件のイメージが強いので、「宗教にはまると恐い」と極端に考えてしまう。
翻って、日本(特に日本経済、企業活動)が抱える最大のテーマは何かと言えば、いわずとしれた「グローバル化」である。
世界に出て行こう、世界でビジネスを広げようとするならば、世界を知らねばならない。


先に書いたように、世界の9割の人々は4つの宗教圏のいずれかに属する。
そして宗教は、あらゆる場面で人々の思考と行動を規定する。
ということは、世界を知るためには宗教を知らねばならない。
にもかかわらず、日本人は宗教音痴である。
であるならば、宗教を学ぶということは、英語を学ぶことと同じように重要かつ喫緊の課題かもしれない。
宗教を知ることで、相手の考え方、行動原理が読めるようになる。相手の思考・行動の慣性を知ることで無用のトラブルを回避できるはずだ。
「ビジネスパーソンよ宗教を学べ」という講演タイトルの所以はここにある。
さて、宗教を学ぶことで世界を知ることの効用はビジネス面だけではない。
・ハリウッドで、「地球最後の日」「人類滅亡」をテーマにした大作映画が数年おきに作られるのはなぜか。
・オバマケア(国民皆保険)に強硬に反対する人々がいるのはどうしてなのか。
・中国人はなぜあれほど序列を気にするのか
・インドのカースト制はどうして容易になくならないのか。
・イスラムはなぜ近代化に乗り遅れたのか。
政治、経済、文化、社会習慣まで、いろいろなことが宗教というレンズを通すことで理解できるようになる。
ここまでの話に納得していただけた方は
橋爪先生の『世界は宗教で動いている』を是非読まれたい。
今回の講演内容が詳しく書いてある。
各宗教の歴史や概要を知るためのガイドブックとしては
『世界がわかる宗教社会学入門』がある。
この二冊を交互に読み進めると理解が深まる。
そして出来ればそこで終わらずに、次に進んで欲しい。
『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『ゆかいな仏教』
橋爪先生のシリーズが揃っている。
更に興味があれば
聖書、コーラン、四書五経等々、各宗教の正典に触れてみれば最高である。

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