HOMEへ戻るMCCマガジン伊藤 良二「数学物理型人材」と「コロンブス型人材」が新しい時代を切り拓く

伊藤 良二「数学物理型人材」と「コロンブス型人材」が新しい時代を切り拓く

2015年04月14日

伊藤 良二
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、株式会社プラネットプラン 代表取締役

「経営の舵取り」に見本がない時代

現在、世界規模でさまざまな価値観や常識、規範が変わりつつあります。たとえば、今から10~15年後の新卒者のうち、65%の方がこれまでにはなかった新しい職業、職種に就職すると言われています。アジアの新興国を中心に、中間所得層の人口が5倍に膨れあがるとの予測もあり、いままで経験したことのない規模の消費機会、事業チャンスが生まれます。

一方で、外部環境が激変するということは、企業経営においても従来の枠組みが通用しなくなることを意味します。これまでの経験値、経営の意思決定や課題解決アプローチが役に立たなくなる可能性が高いということになります。

必要とされる2つのタイプのリーダー

そのような環境変化を見据えて、今後は、組織を牽引していく二つのタイプのリーダーが求められます。
一つは経営者のブレインとなる人材です。海図や航路図のない世界で、的確な情報を選択し、大局をつかむ。その上で経営者をサポートしながら信念を持って組織を導く存在であり、私はこのタイプを「数学物理型人材」と名付けています。
何故かというと、数学・物理は、基本的な原理原則を理解したら、あとは応用動作を働かせる類の学問だからです。

これを経営に当てはめると、事業・組織運営の原理原則、プリンシプルズは何かということをしっかりおさえた上で、環境変化に耐えられるよう自社の事業モデル・組織モデルをトランスフォームさせ、新しいプラットフォームを再構築していくやり方が必要だということです。
そしてもう一つが、企業内アントレプレナー「コロンブス型人材」です。まだ形すら見えていない市場や、逆に縮小していく市場の中で新しい事業機会を創り出す、つまりコロンブスのように高い志と開拓精神を持ち、未知の世界へ乗り出して行って、そこに”新事業”という形を一から創り出すことができるタイプの人材も必要です。

二つのタイプに必要なこととは

数学物理型人材にとっては、基礎理論、原理原則をしっかり身につけた上で、あらゆる状況の変化に応じてその基本原理を適切に応用する思考スキルを持つことが必要です。
また、コロンブス型人材には、未知の市場において事業の成功確度を高めるための事業構築力とリスクマネジメント力が求められます。
これらはいずれも習熟し、高めることができる知識・スキルです。

OFF-JTで学び、OJTで実践

OFF-JTでの学びを通じてリーダーに必要な考え方やスキルを習得し、それを現場で実践(=OJT)する、この繰り返しを通じて育まれた数学物理型人材とコロンブス型人材が組織の様々な場面で切磋琢磨することで、企業に活力がうまれ、確かな成長への道筋が見えてくるのです。

企業組織というのは右肩上がりの成長をしていないと絶対に活力が生まれてきません。成長するからこそ新しい就業・雇用機会が生じ、企業進化の原動力が生まれるわけで、企業にとって成長は不可欠といえます。

よき学びの場から羽ばたく人材

慶應MCCで2010年から開講している『企業参謀養成講座』は、数学物理型人材を育成したいという目的から始まりました。既に117名のOBの方々の多くが各企業でトップマネジメントのブレインとして活躍しておられます。
また、2014年からはコロンブス型人材を育成するための『実践 新事業創造講座』を開講しました。一期生23名の方々には次世代に開花する新規事業の担い手として、その活躍に大いに期待しています。

よき学びの場は、講師の質、参加者の意識の高さ、モチベーション高く集中できる学習環境の3つが揃ってはじめて実現できると思います。講座内容の”本質”を、情熱をもって参加者の方々に伝えるベストな講師を布陣し、ラーニングファシリテーターを含めた積極的なバックアップ体制によって、学習意欲の高い参加者の方々が短期間で最大の学習成果を得ることのできるよう支援することをめざす慶應MCCの学習環境を、今後もさらに維持強化していっていただくことを期待しています。
そして、講師並びに異業種の参加者の方々との活発なディスカッションを通じて、次世代を担う人材がさらにこの”学びの場”から羽ばたいていかれることを願っています。

伊藤 良二(いとう・りょうじ)
慶應義塾大学工学部管理工学科卒業、シカゴ大学経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーを経て、UCC上島珈琲の経営企画、商品開発担当取締役に就任。その後ベンチャーキャピタルのシュローダー・ベンチャーズの代表取締役、ベイン・アンド・カンパニー 日本支社長等を経て現在に至る。現在は国内外主要企業トップマネジメントへの経営アドバイス活動に携わる一方、大学ならびに企業研修や新規事業の創造支援を通じて人材育成活動にも深く関与する。

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