KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ピックアップレポート

2021年06月08日

安井 元規 「慶應から日本文化を世界に発信 ソーシャルラーニングプラットフォーム FutureLearn」

安井 元規
慶應義塾大学出版会 デジタルメディア事業部

2012年に英国のOpen University によって設立されたFutureLearn(フューチャーラーン)は、ソーシャルラーニングという、学習者同士の学び合いを重視したオンライン教育プラットフォームです。
FutureLearnには世界有数の大学・研究センターやブリティッシュ・カウンシルやブリティッシュ・ライブラリー等の専門教育機関が様々なコースを提供しており、230を超える国や地域から800万人以上の人たちが学んでいます。

ここでは、慶應義塾大学が開講してきたオンラインコースを例に、FutureLearnの特徴や魅力についてご紹介します。

1. 他国の学習者との交流や文化に触れことができる。

FutureLearnには、世界中から大学生、その道の専門家まで実に多様な学習者が集います。ビデオ、書籍、ディスカッション、クイズ等を通して学ぶ中では、専門的な知識を持つ学習者が講師に代わり質問に答えるシーンも見受けられるなど、世界各国・各地域の学習者と学びを通して交流を深めています。
例えば、慶應義塾大学の「Aging Populations: Lessons In Healthy Aging From Japan(人口の高齢化:日本に学ぶ「健康長寿」)」コースには、139の国や地域の方が集いました。そこで「自分の国や地域の高齢化状況、平均寿命や健康寿命について調べてみましょう」といった投げかけに対して各国・地域の高齢化の状況やデータが、学習者それぞれの実感も添えられ314も寄せられました。

2.Certificate(修了証)を進学、就・転職に活かすことができる。

FutureLearnはコース終了後には、有料で修了証を取得することができ、この修了証を進学、就・転職に活かすことができます。ビジネスパーソンであればビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」のプロフィールに追加でき、また大学生であれば留学、転部、そして就職などの際にも利活用されているようです。
慶應義塾大学が展開するコースはいずれも無料で登録・受講することができ、海外からの学習者の中には、「Japanese Culture Through Rare Books(古書から読み解く日本の文化(1) 和本の世界)」を受講し、その修了証を得ることで日本の図書館への就職を果たした方もいると伺っています。

3. 日本文化と英語の学習にも。

コースでの学びはいずれも英語を基本としており、日本文化を新たに学びつつ、英語学習の一環として捉えている学習者もいるようです。また、このケースとは反対に「日本語を学びたい」という海外からの受講生もいます。
慶應義塾大学の講座は貴重書や舞踏、芸術、そしてサブカルチャーといった日本文化や、高齢社会、量子コンピュータ、サービスデザインといった日本社会やテクノロジーといったテーマを取り扱っています。その点では内容も馴染みやすく、中には日本語版のコースもございますし、いずれのコースも日本語訳の資料を添えていますので。新たな学びにつながると思います。

慶應義塾大学では、2016年よりFutureLearnを通じて、慶應義塾大学の研究や学びの発信のみならず、慶應義塾が有する貴重書や芸術作品等のアーカイヴを通じた日本文化の発信を意識したオンラインコースを開講してきました。これまでに開講したオンラインコースは次のとおりです。

・Japanese Culture Through Rare Books(古書から読み解く日本の文化(1) 和本の世界)
・Sino-Japanese Interactions Through Rare Books(古書から読み解く日本の文化(2) 漢籍の受容)
・The Art of Washi Paper in Japanese Rare Books(古書から読み解く日本の文化(3) 和本を彩る和紙の世界)
・Aging Populations: Lessons In Healthy Aging From Japan(人口の高齢化:日本に学ぶ「健康長寿」)
・Understanding Quantum Computers(量子コンピュータ入門)
・Methodologies for Service Design(サービスデザイン概論)
・An Introduction to Japanese Subcultures(日本のサブカルチャー入門)
・Exploring Japanese Avant-garde Art Through Butoh Dance(日本のアヴァンギャルド芸術――舞踏/Butohの創造と展開)
・Invitation to Ex-Noguchi Room: Preservation and Utilization of Cultural Properties in Universities(旧ノグチ・ルームへの招待:大学における文化財の保存と活用)

FutureLearnで学べる慶應義塾大学の講座は慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究センターで開発しています。オンラインコースの開発以外にも、例えば実際の授業とオンラインコースを組み合わせた「Blended Learning」の導入などにも挑戦しています。

◇慶應義塾大学 無料オンライン講座 FutureLearn
・慶應義塾大学が展開するコース
https://www.futurelearn.com/partners/keio-university
・日本語によるコースの紹介、受講方法など
https://www.fl-keio.info/
・慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター
http://www.dmc.keio.ac.jp/

安井 元規(やすい・もとき)
慶應義塾大学出版会 デジタルメディア事業部

メルマガ
登録

メルマガ
登録