ピックアップレポート
2022年02月08日
Purpose Drivenな経営の実践 ――「発見・共鳴・実装」の3ステップで社会に貢献する
この本は、きれいに飾られた言葉でパーパスをつくるための本ではありません。また、パーパスを掲げて、それをいかにプロモーションに繋げるかについて書いてあるわけでもありません。
私たちは、「パーパスドリブンな経営」を実現する第一歩として本書を手に取って頂き、「自分たちらしさ」と「社会的意義」を強く意識した経営を実践して頂きたいと考えています。
パーパスとは「存在意義」を指します。つまり、「パーパスドリブンな経営」とは、会社の存在意義を軸に据えて経営を行うことです。これはいたってシンプルなことに思えますが、胸を張って「自分たちは十分にパーパスを実践できている」と言える企業・組織はそう多くはありません。
その主な原因の1つは、「パーパスを掲げること」が目標になっていることです。「カッコイイ文言でパーパスをつくりたい」「パーパスをつくることで会社の認知度を上げたい」「パーパスを掲げることで消費者・お客様の共感を生みたい」そんなご相談をいただくことも少なくありません。こうした思いが、間違っているとは言い切れませんが、一方で「掲げただけで実現につなげるイメージを持てていないパーパス」は形骸化してしまいがちで、また、それは非常にもったいないことです。
そして、会社の売上やブランディングなど、何かの目的に対する手段としてパーパスを探求することは本末転倒であり、パーパスを起点として全ての経営活動について考えることが重要なことです。混沌とした社会で、多様な価値観が混在するからこそ、パーパスを探求することに意義があるのです。
近年流行したティール組織の観点では、「パーパスは発見するものである」だと言われています。パーパスは「これからつくる」ものではなく、本来自分たちが「今この瞬間に持っている」ものです。
私たちは、パーパスを構成する要素は、「自分たちらしさ」「社会的価値」を表現した言葉だと考えています。パーパスは実装することでソーシャルインパクトを起こす力があるものだからこそ、これを「お題目」だけで終わらせてしまうのは、あまりにもったいないことではないでしょうか。
そんな想いを背景に、皆様がどのようにパーパスを発見し、そのパーパスを沿った経営を行うかについてまとめたものが本書です。
書籍にも掲載されている事例の一つであるG社では、2019年ごろ新社長が就任したことをきっかけに、企業の再成長に向け社員が自分のよりどころになるようなパーパスを策定する必要があると考えていたそうです。しかし、新たに就任した社長は「ただパーパスを掲げても社員には響かない」と感じ、策定段階から「みんなでパーパスを発見する」ということを大事にされていました。
全国の営業所を行脚して社員一人ひとりの声に耳を澄ませ、同時に、経営幹部を中心に何度もワークショップで対話を重ねました。肩書きや社歴は一切関係なく、社員一人ひとりがフラットに対話を行うことができるよう設計を行ったそうです。細部の設計にもこだわり、どの部分も端折らずきちんとみんなで話し合った結果、新たな枠組みが完成するまでにかかった期間は約14カ月、1940時間にものぼります。
これほどまで時間をかけたにも関わらず、パーパスを掲げただけでは実際に行動に変化は訪れないと考えたG社では、新たに会社としての「6つの行動変革」と社員に向けた「8つの行動変革」を打ち出しました。企業としての存在意義だけでなく社員に向けても行動変革を求めることで社員の日々の行動を変えていくことを促したのです。日々の行動があるからこそ、それが社内の文化として浸透し、社員全員が、会社が打ち立てたパーパスを当事者として受け入れ、成果として体現していきます。
パーパス策定後、Covid-19の拡大によって多大な影響を受け、経営が思うようにいかない状況になりながらも、だからこそ自分たちが掲げたパーパスに沿って行動し続けることが重要だと考えたそうです。策定したパーパスを体現するために、現在も社長や経営幹部自ら社員が日々抱える不満や意見を集約しそれを「社員との約束」として常に明確にしています。このG社の事例は、社員の想い溢れるパーパスの策定が、組織にポジティブな影響をもたらした代表的な事例だと言えます。
本書では、このような日本企業のパーパス経営実践例を多く取り上げています。
VUCAと呼ばれる先行きの見えない不確実な時代だからこそ、会社や事業が「何のために存在するのか」という問いに対して答えを持っておくことは、社会の豊かさや成熟を考える上でも非常に重要です。
危機的な状況になると、人間は本質的なことにこだわりたくなります。企業も同じで、本質的なことを考えたり、自分たちの存在意義を確認したり、振り返ったりすることが必要になるタイミングがあります。
この文章を読んでくださっている方の中には、これまでに組織のパーパスに目を向けたことがなかったり、その答えに窮してしまったりする方もいらっしゃるかもしれません。
私たちは、そのような方々が、ご自身の内発的動機や、組織に対する可能性や違和感に対する一歩を踏み出すためのきっかけを届けたいと思い、本書を執筆しました。本書を手に取ってくださった方が、パーパスの探求プロセスを楽しみながら、そして発見したパーパスを会社の道しるべとしながら、前述した「自分たちらしさ」と「社会的意義」を大切にして頂ければ、この上ない幸せです。
日本の企業には、まだまだ大きな可能性があります。
「どうすれば多くの企業が社会に価値を提供し続け、そこで働く一人ひとりが生き生きと力を発揮できるのか」
「私たちは、何のために存在しているのか?この事業を通じて、どのように社会に貢献していくか?」
自分や組織が変容することに向き合い続けている方がさらに大きな一歩を踏み出すために、本書がその一助となれば幸いです。
『パーパス・ドリブンな組織のつくり方 発見・共鳴・実装で会社を変える』の「はじめに」を著者と出版社の許可を得て改編。無断転載を禁じます。
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2024年7月19日(金)18:30-20:30
不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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2024年7月23日(火)18:30-20:30
『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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