ピックアップレポート
2008年02月07日
慶應義塾大学インキュベーションセンター(KIC)の取り組み
慶應義塾大学インキュベーションセンター
1.ミッション
インキュベーションセンターは、慶應義塾21世紀グランドデザインに掲げられた「新実業先導」の実行に向けた方策の一つとして、2003年10月に総合研究推進機構の下に設立されました。「新実業先導」には「新しいビジネス教育、起業家教育等の実業教育の実施、ベンチャービジネスを含む新事業の開拓による21世紀の新実業界創出とわが国発展への貢献」といった慶應義塾が果たすべき使命が含まれています。
慶應義塾では建学以来、研究・教育活動を通じて知の社会還元を行ってきました。
大学で生み出された成果を事業という形で持続可能な仕組みに昇華させていく新事業創造のプロセス(インキュベーション)やアントレプレナーマインドを持った人材の育成は、大学が知を還元する活動の中心として、研究・教育活動と遊離することなく一体的に推進していくべきものです。また大学の知の還元方法も従来の知識や人材の提供に終わるのではなく、「教育や研究の段階から産業界と連携し、その果実の実践にまで大学が責任を持つ」スタンスでインキュベーションを進めていく必要があります。
インキュベーションセンターはこのような新事業創造に対する方針の下、各キャンパスと教育・研究の段階から社会還元までを産業界と一体となって行いながら新事業創造を推進し、経済的・社会的価値を創出することを目指します。
2.活動方針
■センターは将来的に資金的な自立性が見込める新事業創造を支援の対象とし、大学の支援を通じて輩出、成長した新事業が次の新事業を育成・支援する継続的な新事業創出の仕組み作りを行います。
■産業界における卒業生の層の厚みと求心力の強さは慶應義塾にとって絶対的な強みです。センターはメンター三田会などの組織と連携し、学生・教職員・卒業生ならびに関係者全体の取組みとして新事業創造活動を推進します。また、卒業生以外の協力団体も含めた開かれたコミュニティ作りを目指します。
■センターは新事業創造活動に関わる個々のキャンパスや多様な組織・活動団体の自発性を尊重し、これを支援します。また学内外の組織・団体間の相互連携を図るエコシステム(生態系)のハブとなることを目指します。
現在、以下のような団体が活動しています。
- OB団体:慶應義塾大学メンター三田会等
- 学生団体:Keio Technology and Entrepreneurship Club (K-TEC),KBC(Keio Business Contest)実行委員会等
- 学内アントレプレナーシップ教育・研究グループ:SIVアントレプレナー・ラボラトリー等
3.活動内容
慶應義塾では伝統的にインキュベーション活動が活発で、機構発足以前にも1998年に学内TLOとして活動を開始した知的資産センターや湘南藤沢キャンパスを中心に活動しているSIVアントレプレナーラボラトリー(SIVラボ)等において新事業創造やアントレプレナーシップ育成の為の支援活動が積極的に行われてきました。
インキュベーションセンターはこのようなベンチャー育成・支援活動が更に活発に全塾で行われるよう必要な制度・ルール・仕組みづくりを行っていきます。
- ベンチャー支援に必要な制度・仕組み(資金支援スキーム等)の企画・検討
- インキュベーション活動に関わるルール・ガイドラインの策定
- 大学発ベンチャーやインキュベーション活動に関する調査・統計
- 学内外インキュベーション活動支援ネットワークの構築、維持
- インキュベーション施設の運営支援
- その他(広報支援、アントレプレナー教育プログラムの情報提供・支援、コンテスト運営支援等)
4.慶應義塾における取り組み・支援状況
(1)教育アウトリーチ
慶應義塾では学部・大学院向けのアントレプレナーシップ育成や創業や事業化に関る講義が提供されています。
- 2007年度アントレプレナーシップ関連講義一覧 http://www.kic.keio.ac.jp/pdf/2007entre.pdf (PDFファイルが開きます)
この他、慶應義塾からの新事業創出を支援する為のアウトリーチ活動としてベンチャーフォーラムカンファレンスや学生団体や研究所主催のビジネスアイデアコンテスト勉強会が行われています。
- SFC Entrepreneur Award
- K-TEC(Keio Technology & Entrepreneurship Club)
- KBC(Keio Business Contest)
- 知的資産センター(ベンチャープライベートカンファレンス等)
(2)インキュベーション
慶應義塾の教職員、学生、卒業生などによって起業されたベンチャー企業を支援する為に様々な支援サービスを提供しています。
<オフィス貸与・経営相談>
慶應義塾、中小企業基盤整備機構、神奈川県、藤沢市の4者協働で起業家育成施設(慶應藤沢イノベーションビレッジ)を運営しています。施設では大学の研究シーズを活かしたベンチャー企業の創出に向けてオフィス貸与のほかインキュベーションマネジャー等による各種相談も行われています。
<出資>
知的資産センターでは大学の知的財産を基にしたベンチャー企業に対し、慶應義塾が最大100万円を出資する支援制度(アントレプレナー支援資金)や知的財産権のライセンス対価を現金だけでなく、株式や新株予約権等のエクイティで受け取ることを可能とするスキームを提供しています。その他、複数のベンチャーキャピタルと連携し、大学発ベンチャー設立の支援も行っています。
<資金獲得支援>
知的資産センターでは大学発事業創出実用化研究開発事業や産学共同シーズイノベーション化事業等、インキュベーションを促進する為の公的研究資金の獲得支援を行っています。
<メンタリング>
多様な業界出身の塾員や活動に関心の高い社会人の方がメンターとして参加するメンター三田会では塾生、塾員、教職員による新事業創造を支援する活動を行っています。
(3)研究
「湘南藤沢キャンパスをベースにした大学発インキュベーションの成功モデルを作る」ことを目的に設置されたSIVアントレプレナー・ラボラトリーではインキュベーションの知見を蓄積する為にケーススタディの作成やディスカッション・フォーラムの開催を通じて様々な研究活動を行っています。
5.お問い合わせ
「大学のインキュベーション支援について知りたい」、「慶應の○○というベンチャー会社に興味があり、共同研究を行いたい」等、皆様からのお問合せはこちらで承っております。
https://wwwdc01.adst.keio.ac.jp/kj/kic/form.html
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
慶應義塾大学三田キャンパス
東別館1階
TEL : 03-5427-1016 FAX : 03-5418-6452
慶應義塾大学インキュベーションセンターWebサイト http://www.kic.keio.ac.jp/より転載
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