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「気がきく人」の3つの共通点

2011年01月11日

能町 光香

突然ですが、「気がきく人」といわれたら、誰の顔が浮かびますか?そして、その人はどんなところが気がきくのでしょうか?特別なエピソードでなくても、ちょっとした雑談であるとか、立ち居振る舞い、タイミングや空気の読み方、身だしなみといった事柄から気がきく人だなあと感じているのかもしれません。
私は、10年以上秘書として働き、気づけばベテランと呼ばれるようになりました。秘書というとなかなかイメージがわきにくいかもしれませんが、たとえば会社の社長や副社長、常務や専務、部長といった人たちが効率的に仕事をできるようにサポートするのが秘書の主な仕事です。最近では、若手秘書の方々と接し、意見交換や指導をさせていただく機会も増えました。
さまざまな外資系企業で多くの外国人エグゼクティブの方々とともに仕事をし、またその経験を後輩に伝えるうち、「効果的なコミュニケーション」には”気づかい”と”心づかい”が必要だということをとても強く思うようになりました。


私が思うに、気をきかせるというのは、言い方を変えれば相手の考えや気持ち、ものごとの目的が読めているか、自分本位になっていないかということです。そのうえで相手の期待どおりのこと、あるいは期待を上回ることをしてあげる力が気づかいだと言えるでしょう。
秘書という仕事の本質は”気づかい”と”心づかい”です。だから、普段の何気ないコミュニケーションから時間の管理、身のまわりの整理、服装や表情などの見た目、一つひとつの動作・・・あらゆることが気づかいにつながってきます。
しかし、それは大げさなことをしましょう、マニュアルどおりの気づかいをしよう、ということではありません。大事なのは、嫌みのないさりげない気づかい、無意識のちょっとした気づかいです。そして、それが積み重なってはじめて、「効果的なコミュニケーション」を実現できると思うのです。実際、外国人エグゼクティブと接した経験からわかったことは、成果を上げるリーダーは、まわりの人に対してとても「気がきく」人ばかりでした。
拙書『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣 思わずマネしたくなる一流秘書の技術』には、私の10年間にわたる秘書経験から得た「効果的なコミュニケーション」について書かれています。心構えとともにいくつかの実際のエピソードも添えてあり、明日からすぐに役立つ実践的な内容となっています。
人の心を動かす効果的なコミュニケーションには、まず基本的な心構え、心のマナーが必要となります。
 1)相手ありき
 2)尊敬(リスペクト)する
 3)先読みする
外国人エグゼクティブの方々は、文化の異なる日本に赴任し、リーダーとして多くの日本人部下と短期間で成果をあげなければならないというプレッシャーがあります。そういった厳しい状況において、確実に目標を達成し、部下の信頼を得て、チーム力を強化したリーダーには、当然のように、この3つの資質が備わっていることがわかりました。その反対に、誰がみても完璧な戦略をうちたてた優秀なリーダーであっても、部下のモチベーションが低かったり、部下がそれぞれ違うベクトルのもとで仕事をすすめている状況では、途中で軌道修正をすることに時間が割かれ、最終的に目標への達成の道のりが長くなっていました。このようなリーダーには、部下の心を動かしやる気をおこさせる、人の心に響くコミュニケーションをするということが欠けていたように思います。
部下から見て魅力的なリーダ-は、部下の立場で物事を考える余裕をもち(相手ありき)、部下との信頼関係を大切にし(尊敬/リスペクトする)、部下の現在と将来の仕事の状況を把握しながら(先読みする)指示を出すのがとても自然で上手です。これらの3つの要素は、人間がコミュニケ-ションをするうえで重要な要素だと認識されていますが、多忙なビジネスの現場においては、実践するのが難しいかもしれません。しかし、上司と部下が日々効果的にコミュニケ-ションをとりながら仕事をすすめていくことは、最大限の成果をあげるうえでとても重要な要素なのです。もう一度、職場で普段どのように上司、部下、同僚に接しているのか、自分自身で振り返ってみる時間をもってみてはいかがでしょうか。
また、リーダとして成功を収めている方には、マネジメントのスタイルは異なっていても、一貫して同じような姿勢が見られました。それは、「マネジメントをしてもコントロ-ルはしない」ということです。「マネジメント」と「コントロ-ル」の違いは、言葉の上では明らかに違いますが、実際のビジネスにおいて、同義語となっているケ-スが多く見受けられます。部下に対して「マネジメント」が効果的に行われている場合、部下は目標達成に向けて意欲的に仕事に取り組み、創造的な活動を生み出し、上司と協力体制で次々と様々なことを成し遂げ、仕事の可能性がどんどん膨らんでいきます。一方、部下に対して「コントロ-ル」がおこなわれている場合、部下はとりあえず指示されたことを間違いなくこなすという消極的な姿勢でモチベ-ションもあがらず仕事を続けることとなり、仕事の達成感を得ることが難しくなります。どちらのほうが、より強固なチ-ムを構築し、より良い成果が得られるのかは明確であると思います。ビジネス上、「マネジメント」と「コントロ-ル」をきっちりと線引きをするのが難しいケースもあるかもしれませんが、つねに、人々に対して1)相手ありき 2)尊敬(リスペクト)する 3)先読みするという基本となる心構えを基に行動をすれば、おのずと効果的な「マネジメント」へと導かれるのではないでしょうか。
信頼関係をベースに、「気がきく」上司と、「気がきく」部下が仕事をすすめていけば、それぞれの仕事の生産性があがり、その結果、パフォ-マンスが飛躍的に伸びWin-Winの関係が構築されることは間違いありません。これは秘書の仕事であっても、マネジメントを行い、リーダーシップをとる立場にあっても同じ事が言えることと思います。このような理想的な職場環境が日本社会に増えていくことを願いつつ、私の経験が少しでも皆さまのお力になれば幸いです。

※能町光香著『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣 思わずマネしたくなる一流秘書の技術』”はじめに”より著者の許可を得て改編。

能町 光香 (のうまち みつか)
1995年、青山学院大学卒業後、2年間商社に勤務。その後オーストラリアに渡り、日本語教師として6カ月間滞在する。帰国後、SIEMENS (シーメンス株式会社)人事部にて採用コーディネーターとして勤務。1999年再渡豪し、2000年よりエグゼクティブアシスタントとしてのキャリアをスタートさせる。アメリカ人、イギリス人、デンマーク人など、数多くの外国人エグゼクティブのビジネスパートナーとして活動。
現在、バベル株式会社の依頼を受け、米国秘書検定マネジメントコースの講師として活躍中。また、外国人マネジメント層の右腕となって活躍できるエグゼクティブアシスタントの養成に力を注いでいる。
著書に『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣 思わずマネしたくなる一流秘書の技術』がある。
能町光香オフィシャルサイト http://www.mitsuka-noumachi.com/

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