今月の1冊
2026年04月14日
スポーツとアリーナロック
今年2026年は『スポーツ・ゴールデンイヤー』と呼ばれています。
お察しの通り、今年は世界規模のスポーツイベントが同時に開催されるからです。
まず2月に開催された「ミラノ・コルティナ冬季オリンピック」。
フィギュアスケートの「りくりゅうペア」に代表される日本選手の活躍は記憶に新しいところ。
そして先月(3月)に開催された野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。
野球ファンである私も大いに楽しませてもらいました。
侍ジャパンの準々決勝敗退は残念でしたが、正直、今回は優勝は難しいと予想していたので、さほどショックはありませんでした。
そして6月から7月にかけては、サッカーのワールドカップが待っています。
日本代表の久保建英選手をはじめ、ここに来て故障者が相次いでいるのは不安材料ですが、それでも「史上最強チーム」であることは確かですから、良い結果を期待しています。
こうしたスポーツイベントは現地観戦が難しく、私たちはテレビやネット配信による「スポーツ中継」を通して観戦することがほとんどです。
そうした中継を観るとき、私が注目しているのが「音楽」です。
もちろん試合中には(フィギュアスケートなどを除けば)音楽は流れません。しかし
- 中継スタート時の「オープニングテーマ」
- 試合後にハイライトを流す際のBGM
- 優勝セレモニーでのファンファーレ
はスポーツ中継において「必須」です。
また、ニュース番組や特番など、リアルタイムではない「振り返り映像」でも、オープニングやエンディング、そして試合ハイライトにおいて「音楽」が流れないことはありません。
これは上記のビッグイベントだけでなく、ニュースバラエティのスポーツコーナーも同様です。昔懐かしい「プロ野球ニュース」の「今日のホームラン」の後ろで流れていた曲を覚えている方も多いでしょう。(年齢バレますね)
このように「音楽」は映画や舞台の「劇伴」と同様、現場以外でのスポーツ観戦には欠かせないものですが、そこには明らかな傾向があります。
それは、80年代ハードロック、所謂「アリーナロック(大きなスタジアムやアリーナで演奏されることを想定した、キャッチーで壮大なロック)」の曲が多いということです。
さらに言えば「スポーツ中継にはこれ」という「定番曲」があります。
今回の「今月の一冊」では、元々ハードロックファンであり、かつて素人バンドのギタリストでもあった私が、それら「定番曲」を紹介したいと思います。
QUEENはスポーツでも大活躍
まず、日本のスポーツ番組で頻繁に流れるロックの代表格が、Queen の「We Will Rock You」です。
「ドン、ドン、パッ!」
足踏みと手拍子のリズムが特徴的な一度聞いたら忘れられない曲です。
スポーツニュースでは、サッカーワールドカップの名場面やプロ野球のハイライトでこの曲がよく使われていました。
では、なぜこの曲がスポーツ番組と相性がいいのか。
理由はとてもシンプルです。スタジアムを支配する歓声、足踏み、手拍子といった一体感そのものが、この曲のリズムと完璧に同期しているからです。
そしてこの曲は、もう一つの名曲とセットで語られることがよくあります。それが同じQueen の「We Are the Champions」です。
スポーツ番組ではよく、
- 試合前やハイライト → We Will Rock You
- 優勝シーンや表彰式 → We Are the Champions
という「黄金コンビ」で使われています。
実際、オリンピックの総集編やプロ野球の優勝特番では、優勝の瞬間や胴上げの場面でこの曲が流れることが多いです。タイトルの通り「私たちはチャンピオンだ」と歌っているわけですから、これほど分かりやすい勝利のテーマは他にありません。
スポーツ番組の編集マンにとっては、この2曲はまさに勝負の始まりと勝利の瞬間を象徴するセット曲なのでしょう。
「決戦前」の空気を作る魔法の曲
スポーツニュースや特番でよく耳にするもう1曲が、Europe の「The Final Countdown」です。
この曲はタイトルからしてスポーツ向きです。
「最後のカウントダウン」ですから、決戦前の雰囲気を作るにはこれ以上ないほどぴったりです。
スポーツニュースやオリンピック特集などでは、「大会の歴史」「宿命のライバル」「
決勝前のVTR」といったシーンでよく使われています。
あのシンセサイザーのイントロが流れた瞬間、「さあいよいよクライマックスだ!」と視聴者に伝わるのです。
スポーツ編集の「教科書」のような曲
そして個人的に「スポーツ映像に最も合うロック」と思っているのが、Journey の「Separate Ways (Worlds Apart)」です。
この曲もスポーツニュースや五輪特集のVTRなどで長年愛されてきました。かつてWBCの中継(TBS系列)で定番だったこともあり、今大会の演出でこの曲が流れないことを惜しむ声がネットで散見されたほど、日本のスポーツファンに刷り込まれている名曲です。
なぜここまで多用されるのか。それはスポーツ番組の構成(過去の名場面→ライバルの紹介→運命の対決→決定的瞬間)という流れに、この曲の展開が驚くほど合致するからです。
シンセサイザーのイントロで「緊張感」を、次のAメロでストーリー(物語)をそしてサビ で感情の爆発を表現できます。
編集する側からすると、「この曲を流すだけでドラマが完成する」と言ってもいいほど便利な曲なのです。
ただ、この曲の英語の歌詞を理解できれば、「なんでオトコの失恋ソングをスポーツ中継に?」という疑問も湧いてくるのですが(笑)
ギターが鳴れば戦いが始まる
上記4曲の他にも、スポーツ番組の定番ロックはあります。
例えば、AC/DC の「Thunderstruck」。
この曲は試合直前のVTRなどでよく使われます。あのギターリフが鳴り始めると、「いよいよ試合が始まる」という緊張感が一気に高まります。
さらに、Guns N’ Roses の「Welcome to the Jungle」も外せません。
こちらになると、もう完全に戦場です。野球のWBC特集でも格闘技番組でも、「さあ戦いのリングへようこそ」という空気が一瞬で出来上がります。
では、なぜスポーツとロックはこんなに相性がいいのでしょうか
それは、スポーツ番組がそれを盛り上げるために音楽に求めているのが「高揚感」「スピード感」そして「ドラマ性」の3つだからです。
そして80年代のアリーナロックは、イントロの数秒でそのすべてを作ることができます。
だからこそテレビの編集室では、「Separate Ways」「The Final Countdown」「We Will Rock You」といった曲が、何十年も使われ続けているのです。
まとめ:アリーナロックがスポーツをもっと面白くする
今回のWBCは残念な結果に終わりましたが、スポーツ大会はやはり特別な高揚感があります。そしてその高揚感をさらに大きくしてくれるのが音楽です。
テレビは名場面を集め、そこにアリーナロックの名曲を流す。
するとどうなるか。
不思議なことに、ただのハイライト映像が一つのドラマになるのです。
次にスポーツ番組を見る機会があれば、ぜひ音楽にも少し耳を傾けてみてください。
ディストーションの掛かったギターのリフが鳴り始めた瞬間、テレビの編集マンが「ここがクライマックスです」と教えてくれていることに、きっと気づくと思います。
(桑畑)
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