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『プロ論。』『プロ論。2』

2006年01月17日

B-ing編集部・編
徳間書店; ISBN: 4198619611; 1,600(税込1,680)円; 321P →書籍詳細
徳間書店; ISBN: 4198621063; 1,600(税込1,680)円; 328P →書籍詳細

本書は転職マガジン『B-ing』(株式会社リクルート刊行)の「巻頭インタビュー21世紀を働く」に掲載された100名分のインタビューを編集されたものである。『プロ論。』『プロ論。2』ともに、転職者、または自分の適性に悩む若者に向けた、さまざまな世界の真のプロからのメッセージである。平易でリズミカルな文章ながら、一人ひとりの言葉からエネルギーを感じることができる。なぜ、エネルギーを感じられるのかと考えてみると、全身全霊をかけて仕事をしている、どうやって自己実現をして充実した人生を送るかを見据えている人たちのことばだからなのであろう。仕事に対する姿勢はその人の生き様、人生である。だからこそ、真のプロである彼らの言葉には、エネルギーを感じることができるのではないだろうか。100人のエネルギーに感化されて、年の初めに心新たに自分を見つめなおし、シャキッとしてみるか!と思える2冊である。


両書に登場した成功を収めている著名な100名の「プロ論」に共通することは何かを考えてみたいと思う。要素は3つ。

  1. 自分の意志が明確であること

  2. 行動を起こし、徹底的に実行すること

  3. 目標を定め結果にこだわること

非常に当たり前で言い尽くされていることだが、これらを実践することは思った以上に難しい。ある意味、当たり前のことを当たり前にできることがプロなのかもしれない。これらの3点について、私が印象に残った言葉を引用しながら、見ていきたい。
1.自分の意志が明確であること
雇用慣行が変わり、経験や専門性が高く評価され、組織やしがらみに縛られることなく、実力で勝負ができる時代へと変化している。これからは個性や独自性というものが大いに必要とされ、その根源として意志やパッションが重要だと皆さん口をそろえていう。
KFi(株)の木村剛氏はそれを「自力本願」という。自らの意志を固め、厳しさを直視し、自ら力をつけ、一つひとつ自分なりの方法で乗り越えていくことが大切である。さらに、世の中には偉くなりたいからがんばる「なりたい族」と、やりたいから出世したい「やりたい族」があるが、「やりたい族」の方が幸せになれるという。なぜなら、より自分らしさを追及した仕事ができるからである。
自分らしさを追及するには、自分の頭で考えることが必要だと説いているのが、楽天(株)の三木谷浩史氏である。安易に周りに流されることなく、必ず自分の頭で考えることがオリジナリティを生むという。
そして、コピーライターの糸井重里氏も同様に自分の価値観を大切にしたいと語る。いまは、「過去につながっている価値観と、未来につながっている価値観」が存在し、「それが場面場面でどっちもでてくる」時代だと分析し、さらに、「長時間働くことや我慢が美徳であった時代は終わり、苦しさもひっくるめた仕事を楽しむ時代が来ようとしている」、という。だからこそ、自分で感じる、考えることが大切だと説くのである。
(株)ダイエーの樋口泰行氏は、何より重要なのは、マインドであり、パッションだとという。「熱意や意思がないと、昨日と同じ今日、今日と同じ明日で終わってしまう。物質的にはハングリーでない時代ですが、自らハングリーな意識を作り出し、マインドやパッションを持続させることができるかどうかが重要」と語る。
今までは、大学を卒業後、就職し、就職した会社で定年まで働きつづける、というある意味、一般的な人生というものがあったと思う。その流れが大きく変わろうとしている。これだけ豊かになった日本では、何かしら食べていく方法はあるだろうが、たくさんの選択肢があるからこそ、自分の意志、どんな生き方をするかが大切になってくるのではないだろうか。
2.行動を起こし、徹底的に実行すること
今や好きなことを仕事にすることが成功への近道だという人も多い。好きだからこそ、工夫をし、毎日精進することができる。成功していない人は実は行動せずに口先だけの人、または人並みの努力だけしかしていない人なのかもしれない。成功者は生半可な精進ではない。
漫画家の弘兼憲史氏が松下電器産業広告宣伝部から漫画家に転身する際「一生は往復じゃない。片道切符なんだ。だから、やりたいようにやった方がいい。」転職に反対するであろうと思われた父のこの一言に背中を後押しされ、「とにかく猛烈に働いた」と。「プロの漫画家以上にがんばらないとダメ、遊んでいたら、普通の人です。僕は普通の人になるつもりはなかったですから」という言葉には、強い覚悟とそれを追求する姿勢が現れている。そして、作家の立松和平氏は「人生は退路を断って、覚悟を決めないとダメ」。また、山本一力氏(作家)は「命懸けで仕事をしているか」と問う。
自分に置き換えて考えてみた。悩み、足踏みをしているときは、何も行動していないことがなんと多いことか。そして行動しなかった悩みは、必ずしばらくしてから再度持ち上がってくるのである。自分で動かなければ、何も変化は起こらない。逆に言えば「自分が行動し始めれば、いろいろなことが動き出す」(演出家 宮本亜門氏)、「行動を起こすから、その先に何かが生まれる。小さな努力の積み重ねから生まれるもの」(アルピニスト 野口健氏)なのだ。
究極のところ、成功するかしないかというのは、「できる人とできない人の区分けはない。あるのは、やる人とやらない人」(振付師 パパイヤ鈴木氏)なのではないか。
3.目標を定め結果にこだわること
目標について、作家の堺屋太一氏は、「幸せは環境と希望の一致だ」といい、「古い世代は、少しでも環境を希望に近づけようと「ひとつ上」を狙ってがんばったが、今は環境をあげるのではなく、希望を下げてしまっている」ことを残念に思い、「もっと欲望をもて」とエールを送る。同様にフリープロデューサーの木村政雄氏も「100m先までボールを投げようとするから90mを目指せるのであって50mでいいやと思ったら40mしか投げられない。大きな夢をもったら実現のために何が必要か必死で考えるようになる」といっている。
本書でも多くの人が、自分の好きなことをし、自分のオリジナリティをだし、とことん突き詰めればおのずと結果はついてくる、という。だが、それだけを鵜呑みにしてはいけないと思う。真のプロというのは、好きなことを突き詰める以上に、もっと厳しいものではないか。堺屋氏や木村氏が述べるようにそもそも人が成長するためには、目標を簡単には成就しないところに定めなければ意味がないのである。成功者は、その目標を形にしたから成功したといえるのではないか。だからこそ、目標を定めていない人に成功はなく、真のプロではないと私は考える。
CMプランナーの箭内道彦氏が人生で大事にしてきたことは「結果にこだわる」こと。「必要なのは作品じゃない。目標であり、結果」だといい、「手抜きしたって、結果が出れば勝ち。逆に努力したって結果が出なければ負け。」とまで言い切れるところに凄みを感じる。格闘家角田信朗氏は「試合はね、勝たなければ意味がない」「そして重要なのは、どれだけ限界を超える練習をしてきたか。」ということ。彼は「練習は自分に負けないためにするものだ」と語る。サッカー選手の大黒将志氏も言う。「岡田監督もいうようにチャンスは誰にでもある。チャンスが来たとき、そこで力が発揮できるような準備こそが大切だ」「点を取ることが、僕の仕事。北朝鮮戦のゴールは、生まれるべくして生まれている」と。スポーツ界をはじめ勝負事は明暗がはっきりわかるので、結果については非常に厳しいところだろう。しかし、その成功の裏側には、高い目標設定とそれを成就するための人一倍の努力、自分への挑戦が隠されていることは必然なのである。
本書を手に取ったのは、子供の出産を機に「働く」自分の環境が大きく変わったからである。今までと同じ働き方、考え方では、当然やっていけない。頭ではわかっていても行動が変化についていけずジレンマに陥り、このまま働いていいのかと、心が弱くなった。しかし、子供の世代へつながる社会を担う一員として、もう一度、「働く」ということが自分にとって何を意味するのか、チャレンジしたいと思った。100人の生き様を垣間見て、平凡な自分ながら、少なくとも子供には「私」が仕事を通してどんな生き方をしようとしているのか見せたいと勇気がわいてきた。負けていられない。気を引き締めてもう一度考えてみようと思う。
(前田祐子)

プロ論。
プロ論2。

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