夕学レポート
2014年07月08日
山崎 亮「問題解決メソッドとしてのコミュニティデザイン」
山崎氏は、「コミュニティデザイン」の専門家として知られています。コミュニティデザインは、主に「まちづくり」の手法として活用されることが多いのですが、最近は企業に呼ばれることも増えてきたそうです。
山崎氏が取り組んでいるコミュニティデザインは、従来の専門家・有識者等を呼んで、課題に対する解決方法を教えてもらう方法ではありません。まちづくりの場合であれば、当事者である地元住民たちが話し合って地域活性化などの課題解決のアイディアを出し合い、自分たちで実行するというものです。
誰かに言われたことをやるのではなく、自分たちでやると決めたことですから、責任を持って成果を出そうと頑張ることができます。専門家・有識者に解決方法を教えてもらうことを「魚を与えられること」と例えるなら、当事者が解決方法を考え実行することは、「魚の釣り方」を教わることだと山崎氏は考えています。つまり、山崎氏のコミュニティデザインとは、地域住民などの当事者に課題解決の力を与えること=「エンパワーメント」だと言えます。
したがって、地方の商店街再生などの公共的な課題だけでなく、プライベートセクター、すなわち一般企業においても、上司から命令されたからやるのではなく、現場社員たちが話し合って業務上の課題・問題を解決するコミュニティデザイン的なアプローチが有効な手法として評価されるようになってきたようです。
さて、講演では、過去のプロジェクトからいくつか取り上げて解説されましたが、本レポートではその中より、「有馬富士公園」をご紹介します。
有馬富士公園は兵庫県三田市の県立公園です。2001年に開園しています。この公園の開園に当たり、山崎氏らは「パークマネジメント」を取り入れることにしました。パークマネジメントは、文字通り公園を運営管理するということです。
従来、公園は作りさえすればあとは、地域の人たちが勝手に利用してくれると考えられていました。そのため、清掃のような最低限の管理しか行われていませんでした。しかし、この公園ではより積極的な運営を行うパークマネジメントを採用することにしたのです。
山崎氏にとり、パークマネジメントは初めての取り組みだったそうです。当時、成功しているパークと言えば「ディズニーランド」で、ディズニーランドを研究することから始めた山崎氏は、「キャスト」の存在に着目します。ディズニーランドでは、ミッキーマウスなどの着ぐるみを身に着けた人や、ダンスなどのパフォーマンスをする人、アトラクションの案内をする人、掃除をする人らが「キャスト」と呼ばれ、ゲスト(来園者)に対してフレンドリーな対応をして楽しませてくれます。
山崎氏は、有馬富士公園でも同じようにゲスト(来園者)を楽しませる「キャスト」を置くことを考えました。ただ、入園料を取ってキャストに給料を払うようなことは県立公園にはできません。そこで、ゲストもキャストも同じ来園者の立場であり、キャストは自分の得意なことや知識をプログラムとして提供することで楽しみ、またゲストは、そうしたプログラムを受けることで楽しむ、ということでキャストへの報酬はなく、プログラムへのゲスト参加費は実費のみとしたのです。
キャストとして公園内で様々なプログラムを運営するのは、地元で活動する市民の団体やサークルなどです。天体観測、凧づくり、ピアノ演奏会など様々なプログラムが提供されています。
開園にあたり、山崎氏は50ほどの団体・サークルに話を聞きにいったそうです。山崎氏によれば、コミュニティデザインでまず大切なことは「話を聞くこと」です。1時間ほどの時間の制約の中で、それぞれの団体の活動内容や課題を探るとともに、相手と仲良くなって、「また来ます」と言って帰ってこれることが大事です。そのためには「はあ」「なるほど」「すごいですね」という合いの手を入れること、そして大きく首を縦に振って同意のゼスチャーを示せるようになることが大切なのだそうです。
こうして様々な市民活動団体に協力を求めた結果、2001年の開園初年度には22団体がプログラムを提供。2013年には75団体にまで増加しました。来園者は、公園内にあるパークセンターで当日開催のプログラムを知り、興味を持ったものに気軽に参加することができます。
市民団体・サークル側からすると、従来の活動拠点では興味がある人しか集まらず、新しい仲間を増やすのが難しかったのですが、公園であれば、たまたま通りがかった人が参加してくれることもあるため、新しい仲間づくりにつながるというメリットがあります。有馬富士公園では、パークマネジメントに市民活動を連携させたことにより、年々来園者が増え、初年度の来園者41万人から直近では80万人と倍増しています。
山崎氏は、これまでのまちづくりなどにありがちなハコモノの整備では不十分であり、文字通り、人々がなんらかの縁やテーマを共有するコミュニティをつくり、それをうまく継続することが重要だと考えています。
山崎氏は、有馬富士公園以外にも興味深いプロジェクトの詳細やこぼれ話を提供してくださいましたが、一貫しているのは地域の人々ととことん関わり、腹を割って話し合うことのようです。地域を活性化させるのは人々が協力しあう集まり、すなわちコミュニティに他ならないと感じさせる講演でした。
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不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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