HOMEへ戻るMCCマガジン折口 雅博 「弛まぬベンチャースピリット~グッドウィル・グループの新たなる挑戦~」

折口 雅博 「弛まぬベンチャースピリット~グッドウィル・グループの新たなる挑戦~」

2004年06月08日

折口雅博 グッドウィル・グループ株式会社 代表取締役会長兼CEO >>講師紹介
講演日時:2004年4月19日(月) PM6:30-PM8:30

今回は、社会現象とまで言われた巨大ディスコ「ジュリアナ東京」、「ヴェルファーレ」の仕掛人として有名な折口雅博氏の登場でした。折口氏は、現在、人材関連の企業を傘下に持ち、急成長を続ける「グッドウィル・グループ」の会長として活躍されています。小さい頃から起業家を目指されていただけに、終始、強烈な信念があふれだす話し振りに圧倒されました。


さて、折口氏は、開口一番、グッドウイル・グループが3月29日に東証一部に上場し、それにあわせて新聞の全面広告を出したことを挙げ、その広告にこれまでやってきたことの「結果」が明確に示されていると言います。全面広告には、同社の急成長を表すグラフが掲載されていたのです。同社は設立からわずか9年ですが、初年度の7,000万円から、直近決算年度(20004年6月期)では、900億円を超える売上を達成することが予想されています。
「過去を見れば、未来は予測できる」と折口氏は言い切ります。逆に言えば、「原因」となるやるべきことを着実に実行すれば、予測したとおりの「結果」を導くことができると確信しています。折口氏は、運をあてにしていません。つまり、折口氏は、運に頼らない、科学的・合理的な経営をしているのです。東証一部上場の話をしたのは、決して自慢話のつもりではなく、やるべきこと、(すなわち原因)をやった当然の結果であるということを伝えるために紹介したそうです。
「自分はプロの経営者です。」折口氏はそう自負しています。では、プロの経営者として必要なことは何でしょうか。折口氏は次の4つだと考えているそうです。

  1. 夢と志(こころざし)を持つこと
  2. ビジョンとミッションを部下や社会に示すこと
  3. 技術とシステムを持つこと
  4. 執念と鉄の意志を持ち、決してあきらめないこと

折口氏の夢は、とにかく「大きいことをしたい」というものでした。この夢を実現したいという思いが、総合商社でトップの実績を収め、また、周囲からは反対されたにもかかわらず起業家の道を選ばせたのです。そこそこの暮らしができる安定しているポジションを失うリスクよりも、夢が果たせないリスクの方が大きいと考えたからです。また、大企業ではどんなにがんばってトップを目指しても、派閥の人間関係などの自分ではどうしようもない部分で決まる場合が多いことをわかっていました。折口氏は、「たとえ失敗したとしても、自分でやったことならあきらめもつく」と思い、独立に踏み切ります。
折口氏によれば、‘夢’は「大きいことをしたい」といった漠然としたものでいいそうですが、具現化するためには、具体的な大きな目標、すなわち‘こころざし ’を持たなければなりません。折口氏の場合は、グッドウィル・グループを「サービス業界のコングロマリット(複合体)」にすることです。
さらに、事業を立ち上げ、周囲の人を巻き込むためには、具体的、中長期的な目標としての‘ビジョン’を示す必要があります。折口氏は、同社設立時に、5年以内に上場、10年後に1000億円の売上達成を社員たちの前で宣言しました。結果は宣言通り、4年5ヶ月目にJASDAQ上場を果たし、10年目の売上 1,000億円の達成もできそうです。そしてまた、経営者には、‘ミッション’すなわち使命感が求められます。リーダーとしての使命を自覚すると同時に、事業の社会的使命といったものを組織に浸透させるのです。
また、事業をきちんとまわしていくためには、技術とシステムをきちんと作り上げることが重要です。グッドウィル・グループには、軽作業の人材を派遣する事業があります。引越しやイベント準備などの軽作業は需要の波が大きく、人集めは大変でした。このような人材ニーズに同事業は応えているわけですが、その強みは、情報システムに支えられた高いマッチング力だそうです。130万人に上る登録スタッフのデータベースから、企業が求める人材をすばやく選定し、派遣することができるのです。介護事業のコムスンでも、徹底的な情報化を進めることで、「介護はもうからない」という通説をくつがえし、高い利益率を達成しているそうです。
そして、事業を軌道に乗せるためには、数多くの障害を乗り越えなければなりません。やってみないとわからないこともあります。うまくいかない時には、周囲からいわれのないバッシングを受けることもあります。したがって、経営者には、なんとしてもやりとげるという、‘執念と鉄の意志’が欠かせないのです。決して、困難につぶされてはいけないのです。折口氏も、一時期は4,000万円の借金を背負い、どん底の状態を経験しましたが、講演のタイトルどおり「弛まぬベンチャースピリット」で乗り切りました。
さて、プロの経営者として必要な4つの条件以外に、そもそも経営者は「事業の本質」を見抜く力が必要だと、折口氏は説きます。「事業の本質」とは、ボーリングのセンターピンのようなものです。センターピンに当てなければ、ピン全部を倒すことができない。すなわち、事業の本質とは、事業成功の「鍵」とでも言えるものなのでしょう。そして、本質がわかっていれば、取るべきリスクを取れる、そう折口氏は言います。
たとえば、ディスコのセンターピンは、豪華な内装や、洗練された音楽、優れたサービスなどではなく、「人がたくさん入っていること」だと、折口氏は見抜いていました。ディスコに行く楽しさは、たくさんの人々が集まっていることで生まれる会場の熱気にあるのです。そこで、ジュリアナ東京の開業に当たっては、月曜から日曜まで毎日、満員にすることを最優先課題として取り組んだそうです。具体的には、招待券を大量に、しかし緻密な計算に基づいて配布しました。一時期は、1000人の来場客のうち900人が無料で入場した招待客ということもありました。しかし、これは取るべきリスク(先行投資)でした。実際、毎日にぎわっているディスコとして話題が話題を生み、そのうち、招待券を配らなくてもどんどん客が来るようになったのです。
では、本質を見抜く力はどうやって磨けばいいのでしょうか。折口氏の回答は明快でした。「いつも当事者意識を持つこと」です。折口氏自身、小さい頃から「自分だったらどうするか」と常に考えるクセがありました。レストランにいっても、客ではなく、経営者の立場で、自分だったらこの料理やサービス、内装をこう改善する、と考えること。これによって、事業の本質が見えてくるようになるとのことでした。
折口氏は、まだ40そこそこの若手経営者です。しかし、「原因があるから結果がある」という、グッドウィル・グループの社訓にもある言葉どおり、「事業のセンターピンをおさえた戦略を着実に実行し、事業を拡大させていくに違いない」そう、聴衆に確信させるだけのパワーと大物の風格が感じられました。

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