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大谷 由里子 「元気をつくる「大谷流」コーチング」

2005年10月11日

大谷由里子 有限会社志縁塾 代表取締役 >>講師紹介
講演日時:2005年7月19日(火) PM6:30-PM8:30

今回の『夕学五十講』は、吉本興業で故横山やすしのマネージャーを務め、現在はフリーのプロデューサーとして地域活性、企業活性のための人材育成に取り組む大谷由里子氏の登場でした。通りいっぺんの前口上はなし、最初から最後まで関西人らしい圧倒的なパワーでしゃべりまくる大谷氏の講演は、演題どおり講演会場中に元気をつくりだしていました。


大谷氏は大学卒業後、縁あって吉本興業に入社、横山やすしのマネージャーになりますが、横山やすし氏にはずいぶんと振り回されたようです。しかし、その大変な経験を糧として、宮川大助・花子などの新人芸人の売り出しにも成功し、充実した仕事ができたそうです。吉本興業には3年間勤めた後、結婚退社して2年ほど専業主婦をやりましたが、やはり専業主婦は向いていなかったと実感、27歳の時、販売促進の企画会社を設立します。しかし、起業当時は自分も現場を走り回っていたのに、売上が増え社員も10人を超えると、労務、財務、税務などの管理業務や、資金繰りに追われている自分に気づいたそうです。「わたしは管理したくて会社を作ったんと違う、現場に戻りたい」と思い、後輩に会社を譲り再び一人に戻ります。36歳の時でした。
その当時、大谷氏に声をかけてくれたのが吉本興業時代の上司だった木村政雄氏です。大谷氏は、再び吉本興業に戻り、木村氏と教育・文化事業を立ち上げて人材育成の仕事に取り組むことにしました。しかし、この事業も、木村氏の吉本退社と同時に中止が決定されたため、大谷氏は、木村氏を始めとする多くの方の出資を得て「志縁塾」を設立、本格的に人材育成を手がけることになったのです。ちなみに、この社名「志縁塾」には、志しのある人をつくっていこう、志しのある人を支援していこう、志しのある人々を縁でつないでいこう、という思いが込められています。
さて、大谷氏によれば、人は、大きくは3つに分けることができるそうです。それは、「自燃型」「不燃型」「可燃型」です。「自燃型」は、自分自身で自分に火をつけることのできる人。こんな人はほっておいていいのです。逆に「不燃型」は、何をやっても燃えない人たちです。こんな人たちも存在します。しかし、大多数の人々は可燃型です。きっかけがあれば燃える人たちです。
では、この「可燃型」の人たちに火をつける人材育成の方法は何なのか。大谷氏は、従来のセミナー型の研修は効果がないと考えています。気づかせて学ぶ「ワークショップ型」というものもありますが、大谷氏が以前からこだわっているのは「プロジェクト型」の人材育成だそうです。とにかく無理やりプロジェクトを立ち上げさせるのです。ただし、プロジェクトはどこかで必ずつまずきます。そこで大事なのがリーダーの存在です。このため、大谷氏はことさらリーダー育成に力を入れているのだそうです。
良きリーダーであるために必要なことは心が元気であることです。リーダー自身が元気でなかったらメンバーを元気づけることはできません。良い発想も生まれてきません。ですから、大谷氏は、心の元気の作り方、相手の元気の引き出し方を教えているのだそうです。
そして、この考え方に有効なのが「コーチング」です。コーチの語源は「馬車」であり、相手の望むところに連れて行くというのが元々の意味です。コーチングと対比される言葉として「ティーチング」がありますが、これは、教える側に答えがあります。しかし、コーチングでは相手に考えさせます。相手を認めて、考えを引き出し、応援するのがコーチングの技術だそうです。大谷氏がコーチングの理論を学ぶきっかけは、自分が中小企業の経営者として人材育成に苦労してきたことだったそうですが、コーチングを深く知るにつれ、これは、吉本興業時代にマネージャーとして、タレントに対してやっていたことをうまく整理・体系化してあるということに気づき、コーチングにのめりこんでいったようです。
さて今回、大谷氏は、coach21のコーチング理論の中から人を4タイプに分ける考え方を紹介してくれました。4つのタイプは、次の通りです。
(1)コントローラータイプ(支配型)
相手との間に上下関係持ちたがり、肩書きや結果を大事にします。ただ、面倒見がいい面もあります。このタイプは、尊敬しています、頼りにしています、と言われるのがとてもうれしいそうです。
(2)プロモータータイプ(企画型)
新しいことが大好きで、目立ちたがり。ヒトと違うといわれるのが大好きです。
(3)アナライザータイプ(分析型)
変化を好まず、コツコツ深く取り組むのが好きな職人型。評論家的で、結果よりやり方にこだわります。
(4)サポータータイプ(援助型)
新しいことは苦手で、人についていくことを好みます。また、人からどう見られているのかを気にします。
大谷氏は、これらのタイプを見て、吉本興業時代の成功体験にうまく当てはまることに気づきました。成功したタレント売り出しには、それぞれのタイプを持つ人たちがうまくかみ合っていたことがあったのです。目立ちたがりのタレントは、(2)のプロモータータイプ、そこに(1)のコントローラータイプのプロデューサーが「あいつを世に出してやりたい」とがんばります。そして、そのタレントを応援してくれる人たち、つまりサポータータイプがつきます。そして、つまずいた時には、冷静に状況を分析できるブレーンとなる(3)アナライザータイプが登場し、問題を解決してくれるのです。
大谷氏によれば、人は自分と同じタイプを作ろうとするからイライラするのだそうです。相手と自分のタイプを知り、どうやったらいい関係が作れるかをゲーム感覚で考えればいいのです。つまり、相手を無理やり変えようとするのではなく、相手を気持ちよく動かすことにエネルギーを使いましょうということです。
大谷氏は、現在、全国各地の高校や地域で、「感じて、興味を持って動く人間をつくる」ためのプロジェクトに深く関わっています。プロジェクト型の人材育成を通じて、過疎化の進んだある町では、地元の若者たちが、自分たちで町づくりのイベントを積極的に企画するところまできました。また、数年間にわたって学生相手の研修を行ってきた高校では、同校の校長先生から、今年の卒業生からは、一人もニートやフリーターが出なかったという喜びの声が届いたそうです。
冒頭にも書きましたが、講演を通じてずっと、大谷さんの「元気」が聴いている人々にビンビン伝わってきました。確かに、みんなを元気にするには、まずリーダーが元気でなければならないということが実感できる講演でした。

推薦サイト
http://www.yuriko-otani.com/ (大谷由里子公式サイト「ケセラセラ」)
http://www.shienjuku.com/ (「研修は究極のエンターテイメント」有限会社志縁塾)

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