夕学レポート
2010年04月05日
7/29(木) 佐藤賢一さん 「『フランス革命』に何が学べるか」
第24回 7/29(木)の講師は、作家の佐藤賢一さんです。
佐藤さんは、東北大大学院で西洋史を研究し、作家に転じてからも西洋中世・近世を題材にした作品を書いていらっしゃいます。
『王妃の離婚』で直木賞を受賞され、歴史作家として確固たる地位を築いた佐藤さんが、構想20年のライフワークとして取り組んでいるのが、大作『小説フランス革命』です。2年前から刊行を開始し、全12巻を5年間かけて完成させようという大構想です(ちなみに現在は5巻目)
佐藤さんによれば、現代日本と革命前夜(18世紀末)のフランスは、政治・経済状況がそっくりだと言います。
経済は破綻寸前の危機的な状況にありながら、そして改革に向けた手だては何度も取られていながら、既得権益勢力の抵抗にあって遅々として進まず、政治に対する絶望感が、庶民の怒りに転ずる寸前の状態... というところでしょうか。
フランスでは革命が起きました。10年以上の混乱の中で、国王や王妃をはじめとして多くの人々がギロチン台に送られ、戦死者も含めると200万人以上が亡くなったと言われています。
近代民主主義を獲得する過程で、致し方ない犠牲であったという見方と、「大衆による暴力」という人間の暗部が発露したという見解が併存しています。
かくて、18世紀末のフランスでは革命が起きた。してみると、現代の日本にも革命が起きているのか。かかる素朴な疑問に論を起こし、すでに結果が出ている歴史の助けを借りながら、混迷を続ける現代日本の行く末を展望する。
佐藤さんは、このように述べています。
いま、起きていることの意味やインパクトの大きさは、同時代的には、その輪郭が見えてこないといいます。
果たして、フランス革命が私たちに教えてくれるものは何か、私たちは、歴史から何が学べるのか。
65回目の夏を前に考えてみたいと思います。
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