夕学レポート
2012年04月17日
土居丈朗先生の2本の投稿記事
消費税増税に関わる議論がさかんに交わされている。
注目を集める論者のひとりが橋下徹大阪市長で、「消費税の地方税化」を提言している。
その是非について、ヒートアップした意見交換が交わされていたが、慶應経済学部教授の土居丈朗先生の2本の投稿が、論点と本質論を理論整然と整理されており、「これで全てが言い尽くされた」とう感じで収束しつつある。
・言論プラットフォームアゴラ 「消費税の地方税化」私ならこう考える
・村上龍氏のJapan Mail Media 村上氏の4/10の問いに対する回答
新聞であれ、ソーシャルメディアであれ、文字数に制限があり、しかも懇切丁寧に書き尽くすには、圧倒的に紙面が足りない媒体を通じて交わされる論争は、私たちには、論点や本質論を理解するのが難しいものである。
今回の論争は、「消費税の是非」と「消費税の地方税化の是非」のふたつの問題が絡み合って、更に分かりにくくなったので、我々も、ついついやじ馬的な立場で、言い争いだけを面白がるという風になりがちだったが、土居先生の2本の投稿が、ピシャリと抑えてくれた気がする。
極論の粗っぽさをあげつらって批判することは、知識のある人にとって難しいことではない。
かといって、総論的な丸まった論というのは、引っかかるところがなくて、我々はどこに手を引っかけたらよいのかわからない。
土居先生の文章は、橋下さんの極論の中から、本質的な問題提起をすっと抜き出し、提示してくれるとともに、極論の粗っぽさを解きほぐし、今後詰めなければならない課題としてまとめている。
「自称インテリ」と揶揄して有識者を嫌うことが多い橋下さんが、大阪府特別顧問を依頼するだけのことはある。
大阪府での役割は、区政改革に関わることだそうで、土居先生の専門である地方税財政は管轄外とのこと。
5/31の夕学では、ズバリこの問題をお話いただく予定なので、たいへん楽しみである。
5月31日 木曜日
「日本財政の何が問題か」
土居 丈朗 慶應義塾大学経済学部 教授
登録

人気の夕学講演紹介

2025年6月19日(木)
18:30-20:30
家畜化する人間~精神医学と生物学と社会科学の視点から~
熊代 亨
精神科医、作家
人間が作った環境で暮らし続けた動物が、野生種より穏やかで協力的な性質などを身に付けていく「自己家畜化」にまわる問題や課題を紹介します。

人気の夕学講演紹介

2025年6月24日(火)
18:30-20:30
物理学者の思考法:クリエイティビティの源泉
橋本 幸士
京都大学大学院理学研究科 教授
物理学の最先端研究をご紹介しながら、物理学者の思考法をお伝えします。生活や仕事でクリエイティビティを発揮するヒントとなりましたら。


いつでも
どこでも
何度でも
お申し込みから7日間無料
夕学講演会のアーカイブ映像を中心としたウェブ学習サービスです。全コンテンツがオンデマンドで視聴可能です。
登録