私をつくった一冊
2024年01月16日
岡田 正大(慶應義塾大学大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール教授)
慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。
- 岡田 正大(おかだ・まさひろ)
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- 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール教授
- 慶應MCC担当プログラム
1.私(先生)をつくった一冊をご紹介ください
2.どのような内容ですか?
地球人口の7割を占める個人年間消費支出3000ドル以下の人々の、市場としてのポテンシャルを指摘した本です。
3.その本には、いつ、どのように出会いましたか?
開発途上国での事業戦略に関する文献調査をしているときに、原著初版(2006年)と出会いました。
4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?
一般に先進国企業(例えば日本企業)は、無意識のバイアスとして地球人口の所得階層で上位3割しか市場とみなさず、それ以下の所得層は「貧困層」であり、公的扶助や国際機関、NPO/NGOの支援で生活が成立する存在のため、自社の顧客足り得ないと判断して切り捨てていました。プラハラッドはそれが大きな機会損失につながると説き、途上国市場の潜在成長性と急速な経済発展に着目したのです。当時の私は海外と言えば欧米先進国しか行ったことがなく、研究対象も先進国企業による先進国市場の事例ばかりでした。地球規模で事業戦略や戦略理論を考え始めるきっかけになった本です。
5.この作品をおすすめするとしたら?
すでにこの地球全体で市場を捉える視点は当然のものと考える経営者が増えていますが、特に日本ではまだ途上国市場をリスクが大きすぎると敬遠するマインドが強いと感じます。中国、米国、インド、韓国、欧州企業は積極的に途上国市場へ参入を続けており、このままでは最後の成長市場であるグローバルサウスで日本企業が完全に後手に回ってしまうのではと危惧しています。日本企業で途上国進出を検討している企業人にお勧めします。
- 岡田 正大(おかだ・まさひろ)
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- 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール教授
- 慶應MCC担当プログラム
- 昭和60年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。(株)本田技研工業を経て、平成5年慶應義塾大学経営学修士(MBA)。Arthur D. Little(Japan)を経て、米国シリコンバレーのMuse Associatesに参画。平成11年オハイオ州立大学経営学Ph.D.を取得。同年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科専任講師、平成14年助教授・准教授を経て平成25年10月より現職。
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