夕学レポート
2008年10月02日
第17回 12/11(木) 五木寛之さん
第17回(12/11)の講師は、作家の五木寛之さんです。
我々の世代には、『青春の門』でおなじみの五木さん。20年程前に執筆活動を中断し、京都で仏教史を学んだり、金沢に移り住んだりした以降は、親鸞や蓮如などの中世仏教の革新者にまつわる本を多く書かれるようになりました。
中世の仏教革新は、国家鎮護や権力者の安寧のために利用されてきた仏教を、いわば市井の人々の手に取り戻した運動といってもよいのではないでしょうか。
五木さんが、若い頃から立脚していた庶民に寄り添う姿勢と相通じるものがあります。
90年代末からは、『他力』『大河の一滴』といったエッセイが大きな話題を読みました。いずれも仏教の教えを分かりやすく繙きながら、私たち現代人が忘れかけている「生き方論」を語ったものです。
かつて人々は、「死や病」を、厭うものではなく、ともに歩むものとして、寄り添いながら生きていたといいます。そこには、哀しみ、怒り、妬み、嫉みといった現代人を苦しめる「こころの悩み」を丸ごと抱えながら、前向きに生きることを忘れなかった、「混沌の強さ」があります。
「問題解決できない問題」があることを受け止め、それとどう付き合うべきか。
科学の進展の裏返しとして、私たちが失いかけている「生きる力」を考えることができればと思います。
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