夕学レポート
2008年03月28日
第19回(7/7) 冨田勝さん
第19回(7/7)の講師は、慶應SFC教授の冨田勝先生です。
冨田先生は、慶應が山形県鶴岡市の協力を得て開設した先端生命科学研究所の所長を務めていらっしゃいます。
この研究所は、最先端のバイオテクノロジーと ITを駆使した新しい生命科学のパイオニア的研究拠点として、2001年に設立されました。
この研究分野を学術的には「バイオインフォマティックス」と呼ぶそうです。
例えば、ある細胞のメカニズムを全てコンピュータ言語で記述すれば、コンピュータ上に疑似細胞を再現することができます。その疑似細胞に、あるウイルスを投与し、細胞がどのような時間経過で、どう変化していくのかをシミュレーションすることで、新薬の開発や治療法の開発に貢献できるわけです。
もともとは、情報科学の研究者として海外でPhdまで修得した冨田先生ですが、その後バイオインフォマティックスを専門分野に定め、SFCで教鞭を取りながら、医学博士を修得してしまったという恐るべき先生です。
山中伸弥先生のiPS細胞の研究が、皮膚から他の器官を作製するのに対して、人間を人間たらしめているDNA情報を、ITを使ってコンピュータ上で再現しようというのがバイオインフォマティックス研究になります。
現在は、がんやアルツハイマーの早期発見技術や、光合成で大気中の二酸化炭素を軽油に変換してくれる究極のエコ微生物「オイル生産藻」など、現実の人間社会の問題を解決するために実用研究に積極的に取り組んでおり、その最新情報もお話いただけるとのこと。
是非、山中先生や福岡先生の講演とセットで聞き比べて欲しい講演です。
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