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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2015年12月17日

自分も世界も幸せにする4つの質問

photo_instructor_788.jpg講演の前に榎本先生の著作を読み、背の高い大柄な体格の方である印象を持ちました。ご自分がやりたいことのために会社を退職して、今もやるべきことをなさっている、というスケールの大きさを感じたからかもしれません。しかし、壇上に登られたのは、小柄で繊細な感じの外見と、優しそうでまっすぐに前を見つめる活き活きとした瞳を持った方でした。
私は、自分が豊かになることに対して罪悪感を持っています。自分が幸せになるために、エネルギーを消費し、物を手に入れて豊かになることは、地球環境にとってはよくないことではないだろうか。だから、自分が幸せになることや、便利さを享受するのはいけないことではないだろうか、ということを考え続けてきました。


現在、世界は深刻な問題を多く抱えています。環境破壊、戦争やテロ、人口増加、それらの問題の中でよりよく生きるためには、私たち一人ひとりが変化していくことが必要です。そのためには、どのような考え方を持ち、どのように行動すればいいのか、榎本先生の講演は、この課題との向き合いかたのヒントを示してくれるものでした。
講演のテーマである「自分も世界も幸せにする」という考え方の中心にあるのは、あらゆるものとのつながりを取り戻すというということです。自分が生活している社会、自然、世界、地球、自分自身、仲間、そして時間、そういったものとのつながりを失ってしまったことが、今起きている問題の大きな要因です。つながりを失うということは、それらを大切にする心を失った、ということだと思いました。
講演では、この失ったつながりを取り戻す4つの行動を実践しました。
4つの問いかけに続く内容を、自分に問いかけ、感じ、考えて隣の方と話すことで、自分と向き合い、心の中の本音に気づくワークです。
1つ目のワーク:感謝の気持を感じる
「今こうしてこの世界に生きていて、私が喜びを感じるのは・・・」
震災や天候による災害の被害を受ける方もいれば、テロによって理不尽に命を奪われる人もいます。そんな世の中に、自分が今日も無事に日常を生きていることに喜びと感謝の気持を持ちます。私が子供の頃、祖母から「お天道さまに感謝」ということを教えられました。自分はこの地球の自然や環境、あらゆるもののおかげで生きることができるという教えでした。そのことを再認識し、全てのものとのつながりを意識することの大切さを感じました。
2つ目のワーク:世界に対する痛みを大切にする
「今この世界で起きていることで、私が心を痛めているのは・・・」
一番心が痛むのは、必要以上と思われるほどに自然を破壊し続ける人間の行いです。広い宇宙の中でも稀有な条件が整った結果もたらされている地球の環境の中で、多様な生命が生まれ、お互いに関わりあって生態系が維持されています。そういったことへの尊厳を忘れ、自分たちもその中の一部だということを忘れて、科学技術による開発を加速させている現在に怒りと悲しみを感じます。失ったものは、取り戻すことができません。自分と地球という環境とのつながりを意識しなればいけないと思いました。日々生活するために必要な物があります。しかし、必要でないものを欲しくなることもあります。そういったものを買っても、結局引出にしまったままで使うことなく捨てる、ということを何度も繰り返してきました。買い物に行ったときは、この問いかけを思い出してみようと思います。
3つ目のワーク:新しい目で観る
「もしも私が感じている喜びや痛みが、私の存在意義を指し示しているとしたらそれは・・・」
講演会の会場で、お隣同士で話をしました。似た考えもありますが、4つの問いに対する答えは違うものでした。参加された方の中で、全く同じ意見をもった人はいないでしょう。一人ひとりがオリジナルな個性を持つ存在です。そのオリジナリティこそが存在意義だと感じます。この問いを考えることで、一人ひとりが違った自分の役割を持って生きていると感じました。人が一人でできることは限られています。多くの人とのつながりによって、よりよく生きることができるのが人間という存在だと思います。
また、喜びだけでなく、怒りや悲しみというマイナスイメージの感情も、自分の心と向き合い、自分の価値とやるべきことを発見するための大切な入り口だと思います。今自分が心理学に興味を持ち、勉強するきっかけも、子供の頃に感じた悲しみの感情があったからだと思っています。すべての感情が自分にとって意味のあるものだという意識で、自分自身とのつながりを大切にしなければと思いました。
4つ目のワーク:前に向かって進む
「私が自らの存在意義に沿って生きるとしたら、まず最初にやれることは・・・」
行動することが何より大切なことだと思います。自分が行うカウンセリングの中でも、行動することによってのみ、人は困難を乗り越えて前に進むことができるということを伝えます。そして、自分が今やれることは、毎日を大切に生きること、時間という目に見えないものと自分とのつながりを大切にすることです。もう少し具体的に言うと、まわりの人といい関係を作るための時間を大切にすること。そして、自分が目指しているカウンセラー像に近づくために、一歩ずつ努力を続ける時間を持つこと。そして、今回いただいた4つの問いかけを、日々忘れずに自分と対話しながら確認していくことです。
希望を持って、自分の信念に従って行動していると感じられる榎本先生の言葉に、自分も前向きに生きよう、という勇気をいただくことができました。

小瀧 明代

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