KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2014年02月17日

1/14開催講演でのQ&A

1月14日に開催した、川上真史先生とマリンバ奏者の塚越慎子さん、そして声楽家でフリーアナウンサーの田幸知有紗さんによる講演での質疑応答は、講演の最後にお時間が取れず、ご質問のある方はアンケートもしくはMCCの事務局へ質問をお寄せいただくよう、お答えは追ってさせていただく旨、ご案内させていただいておりました。
質問はメールとアンケートとで3件お寄せいただきました。
お待たせしましたが、講師からいただいたお返事をQ&A形式でお伝えします。
はじめの2つの質問には川上先生が答えられ、3つめの質問は塚越さんに関する質問でしたので、塚越さんが答えてくださいました。


1/14開催講演「グローバルで活躍する人のための『教養』とは~音楽の世界から~」におけるQ&A
Q. 昨夜の講演のなかで、声は腰、「大腰筋・腰方形筋」をつかってだす。とのお話がありましたが、「大腰筋・腰方形筋」はどのようにして鍛えるのでしょうか。
たとえば筋トレのような方法をつかわれているのでしたらそのやり方を教えていただきたいのですが。
腰の筋肉のトレーニングのしかたを知りたくてご質問させていただきました。
A. ご質問ありがとうございます。
腰の筋肉の鍛え方ですが、例えば腹筋を鍛える筋トレのような方法はございません。椅子に座ったり、立ったりした姿勢で、腰に両手をあて、その筋肉を外に押し広げることを意識しながら、少しずつ動くように練習することが基本です。その際に、腰の筋肉だけを意識すると、動かすことが難しいですので、最初は、下腹のあたりを膨らませる(風船を上から押したときのように)ことから始めてください。(いわゆる腹筋よりも下のほうです。) それができるようになったら、続いて、横隔膜(肺の下にある外からは見えない、呼吸のための筋肉です。)が下がっていることを意識しつつ、下腹を膨らませ広げることをやってみてください。ここまでができましたら、次に、下腹と横隔膜を動かしつつ、同時に腰の筋肉も広げるとこを意識していただくと、かなり効果的に動かせるようになってきます。管楽器奏者や、声楽家は、この腰を広げる運動を、音を出しながら(ロングトーンで)行い、腰の筋肉だけでクレッシェンドをする訓練などを行なっております。いずれにしましても、腰の筋肉を鍛えれば、声がよく通るようになりますので、是非、試してみてください。(川上真史)
Q. 講演に参加して以前に疑問に思っていたことなどが解決されたり、新しい発見がありました。ありがとうございました。質問は、なぜクラシック音楽は最初にアクセントがあり、ポップスは後にアクセントがつくようになったのでしょうか。
A. ご質問ありがとうございます。
この件は、かなり永遠の謎です。これから先は、私個人の推測ですので、ご参考ということでお願いいたします。
クラシック音楽は、神をイメージするために作られたことが起源です。これは、もともと、ヨーロッパ各国でのミサが、神の言葉とされていたギリシア語で行われていたため(聖書がギリシア語で書かれていました。)、それ以外の言葉を話す国では、教養を身に着ける余裕のある人たちはギリシア語を勉強していましたが、一般の人は何を言っているか分からなかったため、それを宗教絵画や音楽などで表現し、雰囲気的に神をイメージしてもらうことから始まったようです。したがいまして、神からの音楽ですので、天から何かが降りてくるという雰囲気を出すために、最初のところで落ちてくるイメージがあり、一拍目にアクセントが来るようになったのではないでしょうか。
一方で、ポピュラー音楽につきましては、1900年前後に、ジャズのはしりである、ラグタイムという音楽が、スコット・ジョプリンというピアニストなどを中心として一世を風靡しました。それまでアメリカでは、各国からの移民が、それぞれの国の民族音楽などを演奏したり聴いたりしていたのですが、この時期に蓄音機が発明され急速に広まり、生演奏以外の音楽を聴けるようになったことが、時代的に重なったため、初めて、全国的に広く人気が出たのが、このラグタイムです。ラグタイムの特徴は、シンコペーションを多用することです(もとになったアフリカの音楽のリズムがそうだったようです)。シンコペーションは「♪♩♪」というリズムですが、この場合、自然と、真ん中の四分音符にアクセントをつけた演奏をすることになります(クラシックでもそうです)。そのため、アクセントが後ろに来る傾向の音楽が、広まったのではないでしょうか。
また、この当時のラグタイムや、ジャズといった音楽は、主に売春宿でのBGMとして演奏されていたということもあります。ジャズという言葉の語源はさだかではないのですが、性的な意味の語源という説も有力ですので、後にアクセントが来るのは、性的興奮なども影響しているという話もあります。
以上は、あくまでも推測のみですので、是非、ご自身でも推理・推論をお願いいたします。(川上真史)
Q. 音楽家視点で塚越さんが必要と感じる教養、海外で外国の音楽家と音楽を作る上で必要と感じられたこと、音楽家を目指す子ども達へ伝えたいことなどお話をお伺いしたかった。演奏はどれも素晴らしいものでした。
A. 良い音楽を奏でるうえで大事なことのひとつに、良い人間性が挙げられると思います。
音楽には答えがない分、出される音ひとつひとつに、また、曲全体をどうまとめるかということにおいて、その人の個性が生かされます。自分を出しすぎるのも、独りよがりな演奏になってしまいますし、謙遜しすぎると、弱々しい、メッセージのない演奏になってしまいます。
しっかりと勉強・研究を重ねたうえで、その音楽を自分の言葉とし、観客に語りかける、ということを常に心がけています。そのためには、常にいろんなことにアンテナを張り、感動し、感動の引き出しをたくさん作ることが必要かな、と思っています。
海外において、特別なにかを意識することはありません。もちろん言葉も違いますし、文化も、ノリも、音楽の解釈も違うのですが、やはり、上記の言葉と同じく、謙虚すぎず、自分の意見はしっかり持ちつつ、相手の言葉も読み取る、ということが大事だと思っています。
私もまだ若輩者ですので、私自身これからさらに精進していく立場ではありますが、子どもたちになにかメッセージをお伝えするとしたら、努力なしに成功はない、ということでしょうか。
何事も、才能は1-2%、残りはすべて努力だと思っています。(塚越慎子)
以上。

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