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ある意味で大人気の東京観光スポットは?

2017年02月14日

山内 久未

もし、あなたが通訳ガイドだったとして、外国人旅行者に「東京」を案内するとしたら真っ先に思い浮かぶのはどこですか? 浅草? お台場? 高尾山という答えもあるかもしれません。

日本に住む私たちの「見せたい・見てほしい」という思いと、旅行者の方々が反応するポイントは往々にしてズレるもの。
今回は、東京である意味一番熱いかもしれない「渋谷観光」をご紹介します。

人種のるつぼは渋谷にある

昨秋、プライベートツアーで初めて渋谷を案内しました。行程表には「Shibuya(1 hour)」としか書かれていません。学生時代からショッピングや食事に行くことはしょっちゅうあったけれど、果たして渋谷で何を紹介すれば・・・? 109、デパート、東急ハンズや有名ラーメン店、ハチ公像やスクランブル交差点など一通りの場所を下見し、あとはお客様と相談しながら決めていこう!と腹をくくり、当日に挑みました。

お客様はイギリス系インド人ご夫妻。プライベートエクイティにお勤めの富裕層で、見た目もすらっとして映画の主役のような、どこから見ても絵になる素敵なご夫婦でした。ランチを終え、渋谷のスポットを色々ご紹介し、「どこへ行きましょうか?」とお聞きすると、声を揃えて

“Of course!The intersection!!”(交差点に決まってるでしょ!!)

とのお答え。

渋谷のスクランブル交差点は日本に来た外国人必見!の大人気スポットなのです。
「バイオハザード」や「ロスト・イン・トランスレーション」など、数々のハリウッド映画のロケ地であることも人気の秘密ですが、もうひとつ驚かれるのは「なぜあれだけ多くの人がぶつかることなく一度に横断できるの?」ということ。洪水のように、でも整然と信号に合わせて大勢の人が混乱もなく一斉に横断する日本人の姿そのものが、多くの外国人の関心を集めているようです。

そうと決まれば、スクランブル交差点のビュースポットとして有名なスターバックスコーヒー SHIBUYA TSUTAYA店に向かいました。コーヒーをゲットし、2階に行って驚いたのはその光景。窓際のカウンター席のほぼ9割は外国人。アジア系、欧米系、中東系・・・日本という小さな島国の小さなコーヒーショップの一角に、ありとあらゆる国の人々がひしめきあっているのです。そして、その全員が窓の外の、ただただ交差点を渡っているだけの日本人を興味深そうに見つめながらコーヒーを楽しんでいます。

窓際の席が埋まっていたため、後ろの方から窓を覗きながら話していたら、親切な先客のドイツ人男性が席を譲ってくれました。御礼を言い、嬉しそうに動画や写真を撮るお二人の後ろで、その男性が私に話しかけてきました。

「ガイドさん、次はここに行きたいんだけど、教えてくれないかな?」
もちろん喜んで!と応えて渡された資料を見ると、

『The best spots to see and enjoy Shibuya Intersection』
渋谷交差点を楽しむための絶景スポット集

えー。こんな特集まで!びっくりしつつも、彼が行きたがっていたエクセルホテル東急(絶景スポット)への行き方を教えてさしあげました。

そうこうしているうちに、ご夫婦も写真撮影を堪能されたようです。「さあ行こう!」と席を立たれたので、次に行きたい場所を伺おうとしたその瞬間、「はい!これ!」と渡されたのはご主人のiPhone

「これで、僕らがあの交差点を渡るところを動画で撮影してね!」(満面の笑み)

・・・というわけで、その日の私は俳優・女優に付き従うにわかカメラマン。何度も何度も何度も交差点を渡り、後ろ姿だったり、時には振り返ったり、時にはポーズをとったり。
私のカメラワークも段々慣れてきて、ズームイン/アウト、風景と一緒に、ついにはカニ歩きで並走撮影・・・など、なんだか私もソフィア・コッポラ監督になった気分。

結局この日の渋谷は、交差点だけで終わりました。いやー!楽しかった!と心底満足気なお二人の姿に、人気ガイドになるためには、英語よりもガイド知識よりも、2017年、いっそカメラ教室にでも通おうかなと、思わずそんな考えがよぎりました。

Cool Japan in 原宿

広大な緑に覆われた明治神宮の静謐さと、ポップな音と色が洪水のように溢れる竹下通りの賑やかさ。そのコントラストが、色々な意味で「とっても日本らしい」との感想をいただくのが原宿です。

神前式でも人気の明治神宮は、週末ともなると高い確率で伝統的な白無垢姿の花嫁に出会えます。11月、お天気の良い大安吉日の日曜日に明治神宮を訪れたときは、何組もの花嫁行列と合わせて、羽織袴や着物を身にまとった七五三のお子さんがいっぱい!ご一緒したイギリス人ご夫妻は、2時間近く写真を撮り続けて大喜びでした。

また別の日、フランス人のお客様をご案内していた時にもラッキーな出会いがありました。それはお宮参りの赤ちゃん!明治神宮にお参りにいらしていた着物姿のご家族と可愛らしい赤ちゃんに、御一行様はもうメロメロ。ご両親にお願いして、一緒に写真を撮らせていただき、名付けの由来を伺い、皆で赤ちゃんの健やかな成長をお祈りしました。

お宮参りの家族と別れた後、竹下通りを抜けて散策していると、お客様の”Kimmy!Look!!!”という叫び声が。なんだろう?と振り返ってみると、そこにいたのは、いわゆる「ゴスロリ」姿の若い女の子たち。お人形のような衣装に身を包んだ彼女たちの姿に「なんてcoolなのー!」と、先ほどの赤ちゃん同様、お客様は大興奮です。こちらの女の子たちも快く写真を撮らせてくれました。(しかも声をかけられ慣れているのか、さすが!決めポーズもばっちりでした。)

伝統的な祝い着を纏った赤ちゃんも、ゴスロリファッションに身を包んだ女の子も、どちらも外国人のお客様にとっては、原宿で出会った素敵なJapanese Culture。そのどちらも、今までの私なら日常の風景として当たり前のように通り過ぎてしまっていたでしょう。今まで知らなかった日本の魅力を、お客様の目線を通して再発見していけるのが、通訳ガイドという仕事の魅力のひとつです。

山内 久未(やまうち・くみ)
慶應丸の内シティキャンパスで2年間ラーニングファシリテーターとして多くのプログラムを担当。退職後、約2年間の勉強生活を経て2015年春より通訳案内士(通称:通訳ガイド)として日々奮闘中。

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