KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2009年10月29日

「運も実力の内」を真面目に考える

今、あなたは幸せですか?
自身のキャリアに満足していますか?
大切なパートナーと出会えたのは誰のおかげですか?
「ラッキー」と思ったことはどれくらいありますか?

・・・いきなり怪しいセミナーの広告のような出だしですいません(笑)
生きていればラッキーなこともアンラッキーなこともあります。
ラッキー(幸運)に対してはやっかむ人もいます。
「あいつは運が良かっただけさ」
そう言われると「運が良かっただけですよ」と謙遜しようと思っていた人もこう言ったりします。
「運も実力の内さ」
はい、私もその通りだと思います。というか、それって今や定説です。

たとえばあなたが宝くじを当てたとしましょう。
これは確かにラッキーです。しかし、それはあなたが「当たるかも」と思って『買った』からこそのラッキーな結果のはず。
また、あなたがたまたま出かけた合コンで生涯のパートナーと出会えたのを、「運が良かった」と片付けるのも簡単ですが、それにしてもあなたが普段から人付き合いが良く、合コンという場にふさわしい(こいつを呼びたい/呼んであげたい)と思ってくれる友人関係を作っていたからこその幸運でしょう。
そう、様々な幸運はただ口を開けて待っていても向こうからやってくることはありません。
こうした『幸運に出会う能力』をセレンデピティと呼びます。
まさに「運も実力の内」ということですね。
このセレンデピティを、米スタンフォード大学のJ.D.クランボルツ教授は、「計画された偶発性」(Planned Happenstance Theory)という、キャリア開発の理論に応用しました。
個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。
その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方です。
「運をたぐり寄せるための行動特性」を研究したと言えるでしょう。
クランボルツは、その計画された偶発性は以下の行動特性を持っている人に起こりやすいと考えました。
 1.好奇心[Curiosity]
 2.持続性[Persistence]
 3.柔軟性[Flexibility]
 4.楽観性[Optimism]
 5.冒険心[Risk Taking]
まずは探求心を持って、様々なことを面白がろうとする好奇心を持つこと。
1度や2度うまくいかなくても諦めない持続性。(宝くじを買い続けるのもこれ)
とはいえ頑なに同じ事を続けるのではなく、やり方や方向性などを臨機応変に変えられる柔軟性。
失敗した時のことより、成功した時のことを考える楽観性。
そしてリスクのない挑戦はリターンも少ないと考え、挑戦する冒険心。
確かに、「運をたぐり寄せられない人」は、これらが欠けているような気がします。
外にも出ず、お金も使わず、失敗を恐れ、ビクビクして腰が引けていたら、そりゃあ幸運の女神も逃げていく、つまり機会に出会うことすらないでしょう。
だから5つの特性に加え重要となるもうひとつの行動特性が、この5つに横串を刺す『主体的に他者に関わっていく』ことではないでしょうか。
どんなに上記5つの特性を兼ね備えていても、自室のベッドの中で妄想しているだけでは幸運は決して訪れませんから。
ただ、その際には(4の楽観性に含まれるとも言えますが)「スケベ根性を持たない」ことが条件となるような気がします。
もっと具体的に言えば、「他者に関わる際に見返りを求めない」ことです。
人間は“他人の下心”に敏感です。
「ああ、こいつは○○という下心があるから自分に近づいてきてるんだな」と見抜きます。(だから詐欺師ってとてつもないプロなわけですが)
それこそ善良な我々は、そんな下心(スケベ根性)は顔に出てしまうものです。
とはいえ、全く下心を持たないというのも108も煩悩を抱える我々には難しい(笑)
それならば、せめてその下心を薄めて「うまくいけばラッキー」くらいに気楽に構えた方が賢明だと思うのです。
「ダメモト」の感覚ですね。
そう考えると、幸運をたぐり寄せるためには「唯一絶対の夢を描かないこと」も、その確率を上げるためには重要ではないでしょうか。
つまり、「ダメモト」を想定し、いくつものオプションを用意しておくのです。
「夢に向かってまっしぐら」というのも確かに尊いと思います。
しかしそのためにずっと険しい顔をして周りが見えていないとしたら、たとえ夢をかなえても幸せとは言えないと思うのです。
幸運って、一人で掴むものではないのですから。

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