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ファカルティズ・コラム

2010年08月26日

感情の取説

ロジカルシンキングの講師などをやっていると、どうも理屈(のみ)で考え、動く人間だと思われがちです。
同僚からも「君は論理の人だから」と言われたりします(笑)
しかし私も人間ですから感情はあります(ま、当然ですが)。
年を取ってきたせいもあるのでしょうが、非常に涙もろく感激屋の側面もありますし、(短所だと認識していますが)怒りっぽく短気なところもあります。
さて、こうした喜怒哀楽の感情ですが、「人間らしさ」の表れであると同時に、その表象として泣いたり笑ったりすることは、人生にとってとても大切なことです。
ある意味、人生を豊かにしてくれる『薬』と言えるでしょう。
しかし反面、感情は副作用の大きい劇薬でもあります。
たとえばちょっとしたことでカッとなって、後で反省した経験は誰しもあるでしょう。
だから取り扱いには注意しなければなりませんし、まさに薬のように適切な場面・量・用い方が必要です。
これは前述のような「怒り」の感情だけでなく、「喜び」についても例外ではありません。
よって今回は、この喜怒哀楽の感情について、薬と同様の取説(取扱説明書)を(いつものように自戒を込めて(笑))独断と偏見で考えてみたいと思います。

1.「喜び」の取説
(1)周りにそれを分かち合える仲間がいる場合は共に爆発させましょう。泣くのも可。
(2)(1)以外のケースでは周りに迷惑を掛けないよう、静かに心の中でガッツポーズしましょう。また、キモがられないように一人でニヤニヤするのも我慢しましょう。
(3)それを与えてくれた相手に必ず感謝しましょう。
(4)念のため、ぬか喜びでないかどうか確認しましょう。

2.「怒り」の取説
(1)溜め込んではいけません。ただし排出する際は、手や足から出さずに口から、かつ小出しにしましょう。
(2)排出することによって周囲に伝染する例が多数報告されていますので、周りを巻き込むべきか否かは必ず冷静に考えましょう。
(3)よって、できれば口からも出さずに「どうしたら二度と怒らずに済むか」を考えましょう。
(4)(1)~(3)が困難な時は寝るか走るか、あるいは海に向かって叫びましょう。

3.「哀しさ」の取説
(1)あまり我慢してはいけません。泣きたい時には泣きましょう。
(2)ただしこれも伝染例が多く、かつ「怒り」に変わることもあるため、極力周りを巻き込まないようにしましょう。
(3)難しいかもしれませんが、引きずらないようにしましょう。
(3)主な副作用として「自分に酔う」場合があることに注意しましょう。

4.「楽しさ」の取説
(1)遠慮無く顔から外に出し、できれば周りも自然に巻き込みましょう。
(2)ただし「なんだよ、ノリ悪いなあ」など、責める形で強制するのはやめましょう。
(3)効能の再現性があるので、ずっと忘れないようにしましょう。
(4)とはいえ、思い出し笑いは時と場所を選びましょう。

いかがでしょうか。他にも留意点があればぜひ追加してください(笑)
さて、こうして取説を考えていくと、各感情ともに「共感する(させる)ことの副作用」があることが見えてきました。
たとえば「怒り」とそれに対する共感は変革のエネルギーとしてとても大切です。
しかし怒りにまかせて誰かを非難し、それに共感した人たちが集まって由々しき事態を引き起こすこともあります。
ブログ炎上などはその典型でしょう。
また、プラスの感情であるはずの「楽しさ」にしても、何を楽しいと感じるかは人それぞれなので、そこにいる全員が楽しまなくてもいいはずです。
確かに「共感する」ことは人間関係の点でも、またビジネスを円滑に進めるためにも重要です。
共感から新しいビジネスのアイデアが出てくることもあるでしょう。
しかしだからと言って「共感しなければいけない」わけではないはずです。
時として「共感すべきではない」場合もありますし、「共感しろ」と強制するなどもっての他です。
そしてはっきり言って、「相手の感情を正確に共有する」ことは不可能です。
「うんうんわかるよ、その気持ち」と言ってても、それが「共感したつもり」であったり、「共感したふり」でないとは言えないのです。

だから・・・
「共感できた(してもらえた)」と勘違いをしないように注意しましょう。
表面的に「共感したふり」をして、相手をコントロールしようとしないでください。


全ての感情、そして『共感』には副作用がありますから。

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