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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2007年06月15日

視野を「狭めて」みませんか

「視野をもっと広げないと」
社内でこのようなお小言をもらった経験のある方もいらっしゃるでしょう。
元々「広い/狭い」という対となる形容詞を比較した場合、「狭い」の方がイメージ的にどうしても悪くなってしまうこともあり、「狭い視野=×」と考えがちです。
しかしながら、本当に視野は広ければ広いほど良いのでしょうか。


たとえば、いきなり「会社の問題点を挙げなさい」と言われたとしましょう。
ここですかさず、「従業員の立場から見たら~が問題で、経営者の立場では~、株主の立場では~、そして顧客の立場で見ると・・・」とすらすらと答えられる人はまれです。
また、「ヒト・モノ・カネ・情報の4つに分けて考えると・・・」と明確な切り口で答えられる人も、どれだけいるでしょうか。
多くの方は、「問題点といってもあれもあるしこれもあるし・・・そもそも何を言えばいいのだろう?」と頭の中で論点が迷走してしまい、うまく整理して答えられないはずです。
ではなぜそうなってしまうのか?
私はそれは「視野が広すぎるせい」だと思うのです。
視野、つまり見る範囲が“会社(全体)”と広すぎるために、「どこをどう見ていけば?」となってしまうのです。「テーマが抽象的」と言い換えてもいいでしょう。
ここで、「では、まずは皆さんの職場を見てください。さて、どのような問題点がありますか?」と聞いてあげればどうでしょう。
ずいぶん考えやすくなりませんか?
これは、“視野を狭めて”考えさせる問いです。
見る(考える)範囲を狭めてあげることにより、漠然としていた視点も定まり、具体的に考えやすくなるのです。
視野を広げるということは、状況から距離を取って“マクロな視点で考える”ことです。
そして視野を狭めるということは、状況に近づいて“ミクロな視点で考える”ことです。
マクロな視点で考えないと、気づかないことがあります。前述の『会社の問題点』で言えば、「経営者の立場で考えると・・・」はこれに当たります。それによってたとえば「本当に社会貢献ができているのか?」といった問題意識か持ちやすくなります。
いち従業員の立場では、確かになかなか見えてこないことでしょう。
ですが、マクロな視点だけでは見えてこないこともあります。
状況から離れていては、たとえば「給湯室が汚い」といった具体的かつ細かな問題点は見えてこないからです。
ですから、適宜視野を広げたり狭めたりする必要があるのです。
視野を広げて大枠でとらえ、視野を狭めて個別具体的に考えてみる。
これはひとりで考える場面でも、会議という複数人で考える場面でも重要なテクニックです。
ぜひ実践してみてください。

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