KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2013年12月19日

ファシリテーションスキルで家族円満?

先日、Facebookでファシリテーション関連の友人Tさんが、「ムスメに父親として嫌われてない自分はマイノリティらしい」という旨の発言をしました。
それに対して、やはりファシリテーション関連の友人Nさんが、「うちは高1の娘と普通に話をしているぞ!」と、そして私も「すいません、いまだに大学生の娘と満喫してます」コメントしました。
そうしたら、話の発端のTさんが、「これが、ファシリテーションのおかげだとすると、すごいね」と返しました。


確かにこの3人の共通点は『ファシリテーション』。
まあ、統計的に3人ではサンプルとしてどうかとは思います(笑)が、これは確かに興味深い。
ファシリテーターとしての「何か」に、世のお父さん達が悩む「ムスメとの関係」を良好に維持する効果があるのか?
ということで、分析マニアとして、ちょっと考えてみました。



さて、件の友人2人が、家庭でどのようにムスメさんに接しているかはわかりませんので、私自身の娘に対する接し方を振り返ってみました。
そして、そこにファシリタティブ(ファシリテーション的)な要素はあるのか?
こう考えてみると・・・


1. ムスメの主張を否定せず、まずは受け止める
これは元々ファシリテーションというより、「自分の価値観でモノゴトの片面しか見ないことで、思考停止に陥る」ことを、避けるために意識していたことでした。
自分自身の思考力の強化という側面と、ムスメのお手本になれるように、という意図です。
しかし、これがムスメにとっての「父親に対して安心して主張できる」場を作っていたことに、結果的にはなっていたように思います。
そしてこれは、ファシリテーターが心を砕く「安心して話せる場づくり」そのものです。


2. ムスメの趣味に関心を持ち、共感する
これは小さい頃からの教育の賜で、オタクの道に引きずり込んだことが一番の勝因かもしれません(笑)
とはいえ、今私がハマっているアニメも、元はムスメから「これ面白そう」と教えてもらったのがきっかけだったりします。
つまり、私は自分の従来の領域だけでなく、ムスメから提示された「意見」に対して、積極的に「面白がろうとする」姿勢を持っていたことになります。
そしてこれも、「共感する」「共通点を見つける」ことで、場としての「一体感を醸成する」という、ファシリテーターの活動のひとつと言えます。


3. 「なぜ?」を質問し、「こういう点は?」と別の視点や切り口を提示する
実はこれも、ムスメの思考力強化のために、元々は意識的に行っていたことです。
たとえば小さい頃「このオモチャが欲しい」というムスメに対し、「なんでほしいの? これを持ってるとどんな良いことがあるの?」と問いかけ、「パパが納得できたら買ってあげる」ことにしていました。
そうするとコドモは一所懸命に考えます。
こうして普段から考える癖をつけさせ、考えたことで出てくる答が良かったら、それには見返りがあることを、体で憶えてほしかったからです。
また、思考の補助線として、たとえば「今度は、○○という人の立場で考えてみるとどうかな?」のように切り口を提示してあげることで、様々な考え方があること、考えること自体が楽しいものであることも、理解してほしかったのです。
実際、ファシリテーターの現場(会議室やワークショップ会場)での仕事の8割は、この「問いかけて考えさせる」ことです。
また、こうしたロジカルに考え方をファシリテート(促す)ことで、感情的な論争(discussionでなくargument)を防止することにもなります。
ムスメも、私との会話が感情的な論争になりにくいことで、私との会話を嫌がらなくなったのかもしれません。


4. メリットとデメリットなど、モノゴトの両面を提示し、考えさせる
私自身、短期で頑固なので、意識してモノゴトの両面を見て、考えようとしています。
なのでムスメが「学校(中高一貫の女子校)を中学で辞めたい」と言い出したときも、「辞めるメリットとデメリットを、10個ずつ考えて説明して」と求めました。
これはファシリテーターにとって重要である、『中立性』に通じます。
また、こうして中立的にモノゴトについて考えられるようになれば、おはり一方的な感情論にもなりにくいのです。


5. ムスメが自発的に話すまで「待つ」
件のFacebookで、他の方(女性)が「(父親のことは)嫌いではないけど、ウザイかも…」とおっしゃっていたのですが、これは世のお父さん達が陥りがちな「干渉しすぎ」にも原因があるような気がします。
また、上で「質問する」ことの重要性をお話ししましたが、「質問しすぎ」も、また問題です
これは親子関係だけでなく、会議や日々の仕事上のコミュニケーションでも同じで、「ちょっとは任せてよ/好きにさせてよ」と、相手をウンザリさせるからです。
だからムスメに対しても、時には質問を我慢し、あちらから話してくるのを待ちました。
私は、以前から「ファシリテーターには沈黙耐性が必要」と言っています。
特に会議で意見が全然出ないと、手を変え品を変えて質問したり、時には自分の考えを滔々と述べてしまうファシリテーターがいますが、これが参加者の自主性と考える力をスポイルしてしまいます。
やはり親もファシリテーターも、話しかけ、質問するが、必要以上にやらずに、相手が話したくなるまで「待つ」ことが必要なのです。


さて、こうして私自身がムスメに接する際に意識してきたことを振り返ると、やはりファシリテーションは、ムスメとの良好な関係を持続させるためのひとつのコンセプトと言えそうです。
そしてこれはムスメに対してだけでなく、部下や同僚、取引先にお客様と、あらゆる仕事上の人と人との関係に応用ができるはずです。


ところで、そのFacebookのエントリーで、「Tさんののファシリテーション力と…奥様の「お父さん存在感」作りの成果かと」とコメントされた方がいらっしゃいました。
これもその通り。
我が家にしても、私一人でムスメとの良好な関係が持続できているとは思っていません。
ムスメに対しては、一切私に対しての愚痴を言わなかった、わが妻には本当に感謝しています。

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