2016年09月21日
データをどう「読み解く」か
本日は、ネットで見つけたなかなか興味深いデータを取り上げてみます。
以下は警察庁が発表した、2011年から2014年の4年間で押収された、不法所持の銃器類(拳銃・機関銃・ライフル・散弾銃)の県別ランキングです。
(表はJタウンネットからお借りしました)
ちなみに、4年間で押収された銃器類の数は合計2886丁で、2011年が745丁、2012年が751丁、2013年が644丁、2014年が746丁とのこと。
では、ここで思考トレーニングです。
あなたは、このデータをどう読み解きますか?
こうした数字が出ている原因や理由といった「過去の仮説」、そしてその先にある結果や影響といった「未来の仮説」。
「続きを読む」をクリックする前に、自分のアタマで、少なくとも10個以上の仮説を立ててみてください。
いかがでしたか?
たくさんの仮説を出せましたか?
「福岡が意外と少ないなあ」
「佐賀がこんな多いとは!」
えーと、それはただの感想であって、仮説ではありません(笑)
「福岡は、取り締まりの強化や市民の協力などで暴力団の力が弱まっている?」
「佐賀では、内部告発で一度に大量の押収があったのでは?」
この程度の仮説は立てたいものです。
ちなみに佐賀県では、2011年だけで119丁と、4年間の9割弱が押収されています。やはり2011年に何かがあったのでしょうね。
さて、他にはどのような仮説が考えられるでしょう。
「歓楽街の多い地域にはやはり暴力団が多いから?」
「富山や青森は穏やかな県民性が影響している?」
そうですね。やはりこうしたデータから「お国柄」を読み取ることもできるでしょう。
しかし、こんな仮説を立てた方もいるはずです。
「人口第2位の大阪が上位にいない。意外と大阪は治安がいい?」
「福岡より人口の多い神奈川・埼玉・千葉・北海道・兵庫も上位にいない。やはり福岡は東京、愛知に次いで治安が悪い?」
「東京は日本の全人口の約1割。しかし押収数の2割以上が東京だから、やはり東京は怖いところ?」
はい、人口や人口比に着目するのは定番の視点です。
あるデータ「だけ」で思考を巡らせるのでなく、関連するデータも加味して考える。
これは仕事においても同様の、データを読み解く際に忘れてはならないことです。
ちなみに、このランキングには出ていないものの、大阪・神奈川・埼玉・兵庫・北海道も、押収数は200丁を超えています。
ところが、千葉はなんと60丁にも満たないとのこと。
うーむ、やはり千葉は広いから人口が多いだけの田舎なのでしょうか?(笑)
(ちなみに私は千葉県民です)
ん?
とすると、こうした仮説も「アリ」ですよね。
「実は大阪は、ちゃんと警察が取り締まっていないから押収数が少ないだけでは?」
「富山も実際は摘発されていない拳銃がたくさんあるかも?」
「佐賀県警が、こと拳銃の摘発では一番頑張っている?」
「やはり警視庁は優秀?」
「大阪は警察と暴力団の癒着がある?」
「押収したのに、警察庁に報告していないケースも多いのでは?」
えー、警察関係者には失礼かとも思いますが、あくまでも仮説。
検証の結果否定されるまで、蓋然性はゼロではありませんからご容赦ください(笑)
そう、私は別に警察を責めたいわけではありません。
データを読み解く。
そこで必要となるのは、先ほどの「関連するデータも加味する」ことと併せて「そういうデータが出ている「からくり」を考える」ことです。
「からくりを考える」とは、
・データそのものを疑う
→虚偽のデータでは?
→データの取り方に問題はないか?
→隠しているデータはないか? など
・そういうデータの見せ方をしている意図を読む
→自分を騙そう/コントロールしようとしているのでは?
→それで誰が得をする? あるいは困る?
ということです。
この「からくりを考える」ことを忘れた、あるいはできない人が「情報に踊らされる」のです。
そうしてデマを信じ、善意でデマを拡散させる。
そう、これが「情弱」ということです。
私たちは、仕事と日常生活の両方で、膨大な情報に日々触れています。
インターネットとスマホが普及した現在は、それが以前より格段に加速、増大しています。
だからこそ、仕事でも、そしてプライベートでも、データを含む情報を「自分なりに読み解く力」が重要になっています。
国民や従業員をコントロールしようとする「大本営発表」に踊らされないために。
悪意を持って何かをさせようとする言説に乗ってしまわないために。
そして善意のデマを信じ、拡散させないために。
◆データを基にした言説を鵜呑みにせず、自分のアタマで仮説を立てる。
◆そのときは、示されたデータだけでなく、関連するデータも加味して考える。
◆データそのものを疑ってみる。
◆そのデータの見せ方の意図を読む。
これらを心がけるべきなのです。
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福澤 克雄
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