ファカルティズ・コラム
2017年04月10日
「わかりやすく話す」ためには
「この人の話はどうもわかりにくい」
そう感じたことは誰しもあるでしょう。
しかし、あなた自身は?
本当にわかりやすく話すことができていますか?
できている「つもり」になっていませんか?
かく言う私も、今でこそ「話す」ことを生業としていますし、またコミュニケーションスキルの講師め著者として偉そうなことを言っていますが、昔は酷いものでした(笑)
その後、自分なりに工夫することで今の私がいるわけですが、では、「わかりやすく話す」ためのポイントは何なのでしょうか。
思うに、「わかりやすい話」には、以下の条件があると考えています。
1. 情報量が適切であること
2. 概念と具体例をセットにし、概念→具体例の順番で伝えること
3. 情報が整理されていること
順を追って解説しましょう。
1. 情報量が適切であること
「帯に短し襷に長し」と言うように、モノゴトには「ちょうどいい」量があります。
音楽で言えば、童謡はわかりやすく、クラシックの交響曲はわかりにくい。
これは楽器と音の数や調性、リズムなど、情報量の違いがそう感じさせるわけです。
話も同じ。「こういう状況で困っている」という話をするときに、その状況をなんでもかんでもこと細かに説明されても、情報量が多すぎて相手は咀嚼しきれません。
枝葉末節な情報や、結論に関係の薄い情報はカットし、必要十分な情報量を話す。
これが「わかりやすく話す」ためのポイントです。
2. 概念と具体例をセットにし、概念→具体例の順番で伝えること
「この人は何が言いたいのだろう?」となってしまう理由のひとつが、これができていないことです。
「この制度は問題があります」と言われれば、「具体的にどこが?」という質問が出ます。それに対して「とにかくいろいろ」と回答しては話になりません。これが抽象論に終始している状況です。
反対に「こういうデータがある。あとこういう意見もある。それと…」と細かい話をダラダラ話すと、「要するにどういうこと?」と聞きたくなります。このような「察してください」とばかり、具体論だけを話しても、やはりまたわかりにくいのです。
だから「○○のリスクがあります。具体的には…」のように、「○○のリスク」という概念と、具体例をセットにし、さらに概念→具体例の順番で話すとわかりやすくなるのです。
3. 情報が整理されていること
「ああ、この人の話はわかりやすい」と感じる説明の共通点のひとつが、結論を述べた後、「理由は3つあります」という話し方です。
「理由は3つ」や「ポイントは2つ」と言われると、話が「整理されている」と感じるからです。
「整理する」とは「分ける」こと。
書類の整理も、年度別や案件別に「分ける」ことを意味するはずです。
まさに「分ける」ことは「分かる」に通じるわけですね。
いかがでしょうか。
私も昔はわかりやすく話している「つもり」になっていました。
相手が理解できないのを、相手の理解力が低いせいだと「思いたかった」のです。
しかし、コミュニケーションは結局「受け手」が決めます。
受け手、つまり相手が「わかりにくい」と感じたら、それは伝え手の話し方に問題があるのです。
登録
人気の夕学講演紹介
2025年1月16日(木)18:30-20:30
客観性に閉じ込められる私たち
村上 靖彦
大阪大学人間科学研究科 教授
感染症総合教育研究拠点CiDER 兼任教員
客観性とは何なのでしょうか?エビデンス信仰の風潮が強まる昨今、見落としているものを『客観性の落とし穴』の著者・村上氏に学びます。
人気の夕学講演紹介
2025年1月24日(金)18:30-20:30
教養としての仏教:苦しみをどう超えるのか
柳 幹康
東京大学東洋文化研究所 准教授
家庭の仏壇や供養の儀式、あるいは観光旅行での古寺巡礼など、仏教は比較的身近な存在でありつつ、知っているようで知らない奥の深さもあります。仏教学の専門家より教養としての仏教を学びます。
いつでも
どこでも
何度でも
お申し込みから7日間無料
夕学講演会のアーカイブ映像を中心としたウェブ学習サービスです。全コンテンツがオンデマンドで視聴可能です。
登録