KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2018年05月02日

顧客のニーズに「先回り」する(前編)

ゴールデンウイークも明日から後半戦。昨日と今日もお休みで、海外に行かれている方も多いかもしれません。
私事ですが、先月28日の土曜日に足をくじいてしまい、今も腫れと痛みが引きません。
連休前半はほとんど自宅で過ごすことになり、筋トレにも行けない有様。近所に映画や買い物などで少しだけ外出しましたが、歩行スピードは従来の1/2。早足の自分としてはなかなかストレスフルな日々です。
そんなわけで録画していたアニメや映画を見る時間が必然的に長くなっているのですが、今、我が家でヘビーローテーションされているアニメが『学園ベビーシッターズ』。
今年の1月~3月でオンエアされていた作品ですが、とにかくほっこり癒やされます。
あまりアニメを観ない妻もハマり、原作の漫画を全巻揃えてしまいました(笑)
その登場人物の一人に、主人公兄弟を引き取る学園理事長の秘書を務める「犀川(さいかわ)さん」がいます。
実は、本日はこの犀川さんの行動を見ていて気づいた「マーケティングのキーワード」についてお話ししたいと思うのです。
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さて、この犀川さん。肩書きは秘書ですが、主人公達が身を寄せる理事長宅の家事もやっていますから、「執事」と言った方が良いかもしれません。
#ちなみに声を当てているのは小野大輔さん。そう、アニメ版「黒執事」でも悪魔でありながら有能な執事「セバスチャン」を演じてましたね。
執事らしく上品で、常に冷静な犀川さんですが、その行動を見ていると「意外と落ち着きが無い」ことに気づきました。
一緒に観ていたムスメに言うと、「確かに」とのこと。そこで私たちは「なぜ落ち着きが無い(ように見える)のか」を考えました。
私とムスメの仮説はこうです。
「それは理事長が次に指示すること、してほしいことを瞬時に察知し、先回りした行動をしているからそう見えるのではないか」
「要するに『執事としての習慣(癖)』に起因する」

たぶん犀川さんは、執事として長く仕えてきた今までの経験(というビッグデータ)から、理事長が「こういう表情をしたら次に何を言うか」「こういうことを言い出したら次に何をしようとするか」などがわかる(読める)のです。
だから理事長が何かを指示したら、「既に用意してございます」「手配済みです」と言えるのだと。
言い換えれば、常に理事長の「ニーズに先回りする」。
これが黒執事、じゃなくてスーパー執事の犀川さんなのです。


ここで考えてみてください。
これってアニメやマンガの中だけの、そして執事だけの話でしょうか。
理事長の行動をサポートする犀川さんにとって、理事長は「顧客」です。
顧客である理事長のニーズに先回りするから、「手回しがいいねえ」とお褒めの言葉を貰える。
有能な執事として重宝され、これからも頼られる。
企業としても、顧客に「手回しがいいねえ」とか「さすがわかってるじゃん」と思わせられたら、その後も商品・サービスを利用し続けてもらえる確率が高くなるのは言わずもがな。
そう、「顧客のニーズに先回りする」ことは、マーケティングにおいてとても重要なキーワードなのです。
たとえば、スーパーで魚売り場に「鍋料理の素」が置いてあるのはなぜでしょうか。
調味料売り場にも置いているにも関わらず、です。
それは当然、食材である魚介類を見ていた顧客(消費者)が、「今夜は鍋にしようかな」と考えることを読んで、先回りして置いているのです。
自動車保険でロードサービスの中に「臨時宿泊費用サポート」を含むものがありますが、これも「事故を起こした→クルマで帰れない→もう電車もない→どこかに泊まるしかない」という事故の先にあるニーズに対応した品揃えと言えるでしょう。
では、ここからは皆さんが考えてみてください。
◆あなたの会社の商品・サービスで「顧客のニーズに先回り」したものはありますか?
◆あなたの会社の顧客のニーズは何で、そのニーズが満たされた顧客は、次にどんなニーズを抱くと思いますか?
◆そのニーズに「先回り」するためには、どのような新商品/サービスや仕組みが必要でしょうか?

いかがでしょう。
何かの気づきになれば幸いです。
次回はこの「顧客のニーズに先回りする」ということを、テクノロジーと絡めてお話ししたいと思いますので、そちらもお楽しみに!
(アニメネタはありませんが。(^^;;)

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