ファカルティズ・コラム
2018年06月06日
「トライブ」という視点で考える
岡田斗司夫さんが、以前メルマガでこんなことをおっしゃってました。
#一部転載させていただきます。
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「いまの大学生は、というか現在の若者は完全に「トライブ(部族)」ごとに別れ住んでいる、ということを思い知らされました。ひとつの文化トライブに属していると、他のトライブが視野に入らないし、理解できなくなります。スマートフォンなどで「同一トライブ同士の絆」のみに耽溺できるから、余計に他のトライブとの交渉は不要になる。結果、ひとつの大学ごとの文化トライブが10年以上前よりもさらに色濃くなってしまった」
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トライブ(tribe)とは、書かれている通り「部族・種族」を意味する言葉です。
EXILE TRIBE(エグザイル・トライブ)は、EXILEをはじめとした同グループの関連アーティストの総称ですが、これもまた彼らがひとつの「部族」であることを意味しているわけですね。
ネットスラングの一種である「クラスタ」とも近い考え方ですが、「クラスタ」の方は「ファン/マニア」のニュアンスが強いですから、やはり「同質性の高い部族化した集団」を意味するのが、この「トライブ」と言えるでしょう。
さて、この「トライブ」という視点で世の中を見てみると、様々な気づきがあると思うのです。
まず、岡田さんの「ひとつの大学ごとの文化トライブ」という一節を、そのまま素直に見てみましょう。
この視点で、話題になった「日大アメフト部の危険タックル」騒動を見ると?
やはり、他大学とは一線を画した日本大学というトライブの特殊性が見えてきます。
あの事件における日大当局のその後の対応を見ると、トライブ内の行動原理と常識が社会のそれとは乖離していることに気づいていなかったことがうかがえます。
ちなみにあの事件に対して「相手を潰せとか言うのはスポーツの試合では普通」と語る人たちもまた、「昭和のスポ根トライブ」の一員であり、それが今の日本では非常識であることを自覚すべきでしょう。
しかし当然ながら、これは日大トライブや昭和スポ根トライブに限った話ではありません。
「建設業界トライブ」や「営業トライブ」、そして「○○株式会社トライブ」のような、なにがしかの仕事関連トライブに私たちは必ず属しています。
そう、私たちは誰もが「過去から受け継がれてきた常識によって同質化した集団」の一員なのです。
同質性の高いトライブは、確かに居心地が良いでしょう。
相互支援によって食いっぱぐれることも少ないでしょうし、基本的に周りは味方ですから安心です。
文明を知らない未開の部族は、文明を知らないからこそ幸せなのです。
だから外部から攻撃を受けると、トライブはそれを排除しようとする。当然ですね。
しかし外部からの攻撃の方が強かったら…、トライブは崩壊します。
トライブの下層レイヤーはトライブの常識が実は非常識であったことを知り、反乱が起こります。
今の日大はまさにそれが進行している状況であり、また日本の電機メーカーの衰退も、このプロセスであったと言えないでしょうか。
だとすると、私たちが意識すべきことは何か。
まずは先に述べたように、「自分は何トライブか」を自覚することでしょう。
その上で、「トライブ特有の常識やルールは何か」を挙げ、その「どれが世間の非常識か」「今も通用するのか」を考えてみる。
それによって自分が「トライブ変革のリーダー」になる。
これもまたイノベーションを生む組織づくりだと思うのです。
さて、今度はこの「トライブ」をビジネスに活用する、という視点で見てみましょう。
「トライブ=同質性の高い集団」と定義すれば、これはマーケティングにおけるターゲティングに応用できるはずです。
たとえば近年有望なターゲットとして「アクティブシニア」や「デジタルシニア」がありますが、これもまたひとつのトライブを表現した言葉です。
様々な視点で外部環境分析を行い、「世の中にはどんなトライブがあるのか」、これを挙げていくのです。
そして自社の新たなターゲットとなりうるのは「何トライブなのか?」を考えます。
「アクティブシニア」などのトライブは、既にトライブとして名前が付いている。
ということは既知のトライブであり、多くの企業が既に狙っている。つまり競合が多いのです。
だから自分たちで命名できる「誰も気づいていないトライブ」を見つけられれば、それは一種のブルーオーシャンであり、自社を発展させてくれる顧客となり得るはずです。
もちろん簡単なことではありませんが、マーケティングの巧拙がが企業の命運を握るのも事実。
であれば、この「トライブ」という視点でターゲットを探索するのも、一度はやってみる必要があると思うし、やっていただきたいと考えています。
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