ファカルティズ・コラム
2007年10月19日
「とりあえずビール」がなくなる?
先日テレビを見ていたら、こんな話題をやっていました。
「若い人がビールを飲まなくなっている」
その番組の街頭アンケートによれば、30代以上では8割の方がビールを好んでいるのに対して、20代ではその割合は4割と半減していました。
番組では、その理由を価値観の多様化とアルコール飲料の種類の増加に求めていました。
「苦いビールなんて」という人が、飲みやすいカクテルやチューハイに流れているというのです。
そしてビール会社もそれに対応し、苦みが少ないカクテルテイストのビール(およびビール系飲料)を次々に開発している、と説明していました。
確かにその側面は否定できません。
しかし、他にも理由があるのではないでしょうか。
私は、もうひとつ『飲む環境の変化』という原因があるように思います。
そしてそれは、さらに『「仕事帰りの一杯」の減少』と『ビンからジョッキへ』という2つの原因に分けて考えられると思うのです。
まず、『「仕事帰りの一杯」の減少』ですが、経験的感覚的にも、仕事帰りに職場の同僚と飲みに行くという昔ながらの慣習が減ってきたように思います。
上司もいる中でお酒を飲む場合、自分だけカクテルなんかは最初は頼みにくい。だから「とりあえずビール」となっていた部分もあるのではないでしょうか。
そうして最初は苦手だったビールが、段々好きになっていった人も多いように思うのです。
そしてもうひとつが、『ビンからジョッキへ』です。
昔はビールはビンで飲むものでした。そしてひとつのビンから各自のコップに「注しつ注されつ」が一般的だったはずです。
ですから先ほどの「仕事帰りの一杯」という場面では、ビールしか飲むものがなかったのです。
これこそ、「とりあえずビール」ですね。
それがジョッキに変わっていったことにより、「好きなものを何でも頼める」ようになり、結果的に「とりあえずビール」が減っていったようにも思うのです。
こうした『飲む環境の変化』が、「ビールを飲まなくても良い」状況を作り出していったとは言えないでしょうか。
そう考えると、番組で紹介されていた、“苦みが少ないカクテルテイストのビールの開発”が唯一の解決策とは言えないことがわかります。
たとえば、「仕事帰りの一杯」を増やすための方策は本当に無いのでしょうか。
また、今更ですが、飲食店でビンビールの取り扱いを増やすことは無意味なのでしょうか?
さて、いかがでしょう。
毎度毎度しつこいようですが、テレビのちょっとしたニュースからでも、こうして考えると色々なことが見えてくることに気づいていただけたでしょうか。
番組としての解釈を鵜呑みにせず、「他には?」と考えてみる。
理由を「分けて」考えてみる。
思考力を高めるヒントとして受け取っていただければ幸いです。
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不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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