KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2008年06月27日

無駄な会議が多い意外な理由

ファシリテーションに関するセミナーや研修では、「無駄な会議が本当に多い」との声をよく聞きます。
先日も公開セミナー『会議ファシリテーション』のグループワークで、こんな話が聞けました。
「定例の各部門の責任者が集まる会議が、議論になっていない。また各部門個別の論点が議題となっているため、自分に関係のある議題以外はただそこにいるだけ」
確かに会議の是非から検討すべき状況です。
しかしさらにこの話は続くのです。
「そんな会議なのに、回数を増やすことになりそう」
えっ? それは何故?
「社内のコミュニケーション不足を理由に、その機会を増やすのが目的らしい」
コミュニケーション不足を解消するために会議?
そしてこれについて議論している内に、私の中である仮説が生まれたのです。

その仮説とは、『飲み会の減少が無駄な会議を増やしている』です。
会議には、問題解決・進捗確認・情報交換(共有)・周知徹底等、様々な目的が存在します。
また、キックオフ・ミーティングであれば、モチベーションの向上やチームワーク醸成が目的ですから、「Face to Faceでコミュニケーションすることに意味がある」と言えるでしょう。
しかし、上記の会議においては、コミュニケーションはあくまでも“裏目的”のはずです。
その裏目的のために、わざわざ「みんなが意味がないと思っている会議」を増やさざるを得ないほど、社内のFace to Faceのコミュニケーション不足は深刻なのでしょうか。
では、『社内のFace to Faceのコミュニケーションが以前より不足してきた』ことが事実だとしたら、その原因は何なのでしょう。
少し分けて考えてみましょう。
1.業務内でのFace to Faceのコミュニケーションが減少した?
  1-1.メールが主流になったから?
  1-2.遠隔地とはTV会議を使っているから?
2.業務外でのFace to Faceのコミュニケーションが減少した?
  2.1.運動会・旅行などのイベントが減った?
  2.2.サークルや組合活動の参加者が減ったから?
  2-3.社内で飲みに行く機会が減ったから?
1.については、やはりITの進展による仕事の進め方の変化が影響を及ぼしていると考えられます。
そして2.については、やはり『飲み会の減少』も、笑い飛ばすことのできない現実ではないでしょうか。(イベントも多くは飲み会がセットですし(笑))
“飲みニケーション”などという少し寒い言葉が、以前はよく使われていました。
「上司や先輩と飲みに行くのも仕事の一部」という暗黙の了解がありました。
ところがバブル期あたりを境目に、「個人の価値観が大切」「仕事とプライベートはきっちり分ける」ことが常識になり、飲み会は減少してきたような気がします。
また、景気の低迷による可処分所得の減少も、それに拍車を掛けました。
しかし一緒に仕事する仲間であれば、実は仕事とプライベートを完全に分ける方が不自然です。
「この人についていこう」「こいつを伸ばしてやろう」という仲間として当然の考えは、仕事上の損得勘定だけでは成立しないからです。
もちろん業務内でも人間関係を構築するコミュニケーションは可能です。
しかしそれも前述のように、ITという「感情の介在しにくい」コミュニケーションが主流の現在、「腹を割って話す」機会は益々減っています。
そう、飲み会の話題はプライベートなこととは限らず、仕事も大事な話題だったはずです。(というか、仕事が話題のことの方が多い)
「アルコールが入ったことで腹を割って話しやすくなる」という場合も多いのです。
はっきり言って、飲み会が減少したことによる無駄な会議の増加は、表面的現象に過ぎません。
問題は、我々が有効なコミュニケーション手段を手放したということと、それに変わるものが見つかっていないということです。
ですから、私は安直に「もっと飲み会を増やしましょう」と言うつもりはありません。
「会議を増やしてコミュニケーションの機会を増やす」ことも否定はしません。
ただ、安直に「これがダメだからこちら」と考えて欲しくないのです。
堂々と「Face to Faceのコミュニケーションを目的とした会議」を作っても良いはずです。
そしてそれは会議である必要もないのかもしれません。

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