2013年10月08日
【ほうやのロンドン便り】多民族国家ロンドン~ユダヤ教のお正月は夏休み明け!
保谷範子
“Jewish New Year Greeting Cards”
8月中旬過ぎから、いつも前を通るカード屋さんの店先に、ユダヤ教新年のお祝いカードの案内が貼られました。(イギリスの商店街には誕生日や結婚記念日など用途に応じたさまざまなカードを扱うカード専門店が必ずあります)
「こんな季節に新年のカード!?」と不思議に思っていたところ、9月4日の夜、フォローしているキャメロン首相のTwitterより、ユダヤ教の人々に向けたRosh Hashanah(ロッシュ ハシャーナ:ヘブライ語で新年)のメッセージ「Shanah Tovah!(シャーナ トヴァ:新年おめでとう)」が流れました。
※Rosh Hashanah 2013:message from the Prime Minister(YouTube)
http://kae.me/18ALi6s
ユダヤ教の新年は9~10月の新月に始まるそうで、今年は9月5日が日本で言う元日にあたりました。西歴ではなく天地創造から数えるユダヤ暦によると、今年は5774年となるそうです(紀元にあたる紀元前3761年に加え、紀元後2013年が経過しているという数え方)。
多民族国家イギリスにはユダヤ人も多く住み、ロンドンでは一大コミュニティを形成しています。ロンドンには数多くのシナゴーグ(ユダヤ教教会)があり、多くのユダヤ人が住んでいることを実感します。特に、ロンドン北部の地域は、1800年代後半にユダヤ人用の墓地ができてから、ユダヤ教の戒律を厳しく守るオーソドックス ジュー(Orthodox Jewish)が多く住むことでも有名です。
9月4日の日没から6日までが今年の新年お祝い期間ということで、ユダヤ人が多く住む北ロンドンの街Golders Greenに出かけてみました。ちなみに、Golders Greenは、近くに日系の幼稚園や学校などもあることから日本人も多く住んでいて、通称”JJ(Jewish & Japanese)タウン”とも呼ばれています。
街には、ユダヤ教の規定にあった食品を売るコーシャ食品屋の看板が目立ちます。新年や安息日には魚料理を食べるならわしがあるほど魚は身近な食材なのでしょうか、他のロンドンの街に比べ、魚屋の数が多いのも印象的です。ただし、厳格なユダヤ教徒は、鱗のある魚のみと定められており、エビやカニなどの甲殻類、イカ、タコ、貝類など鱗のない魚介は口にしません。そのためか店に置いてある魚介の種類は限られ、品数がとても少なく感じます。
すれ違う男性の中には、キッパ(kippa)と呼ばれるお皿のような小さな帽子を頭に身につけている人が多くいます。ユダヤ教では、男性は神の前では頭を隠さなければならないそうで、小さな男の子までもがこのキッパを被っている様子は可愛らしくほほえましい限りです。
シナゴーグの前を通ると、歌声が聞こえてきました。中から出てきた人と話したところ、新年のお祝いの歌を歌っているそうです。
この男性によると、新年は、家族が集まり食卓を囲みます。新年の食べ物としては、実りの季節を表すりんごにハチミツをつけて食べることは欠かすことができないそうで、「実り多き甘い年を」という願いが込められているとのことでした。また、ざくろを食べることも習慣となっていて、ざくろのように実が詰まった1年となるように、という想いがあり、日本のおせち料理に近いのかもしれません。
9月初めと言えば、イギリスでは夏休みののんびりしたムードが終わり、新年度が始まる学校や会社が多く日常が戻った感じのする時期。このようななか、ユダヤ教の人々は1年のなかでも最も大切な安息日である新年を迎えているというのも、さまざまな人が暮らすロンドンならではの光景のように思えるひとコマです。
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