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2014年02月11日

【ほうやのロンドン便り】ロンドンの新聞事情~高級紙からフリーまで豊富な情報源

保谷範子

世界でも名の通る有名な新聞の多いイギリス。
ジャーナリズムの発展にさまざまな影響を与え、新聞の果たす役割はイギリスの社会・文化のなかで大きな位置を占めているとされています。
The Times(タイムス)、The Daily Teregraph(ディリーテレグラフ)、The Guardian(ガーディアン)といった政治トピックを中心にとりあげる高級紙(大判の紙面を用いることからブロードシートとも言われます)。
The Sun(サン)、The Daily Mail(デイリーメール)といったゴシップやスキャンダルなどの記事を多くとりあげるタブロイド紙。
各紙それぞれに特徴や個性があり、タブロイド紙は労働者階級の人が多く読むとされるなど、階層によって手に取るものが違うこと、戸別宅配はなく駅の売店やスーパー、小売店などでの販売が中心であることは、日本の新聞と異なる点かもしれません。


さらに、日曜版は通常より分厚くて値段も高い新聞が売られていて、それをカフェや公園でゆっくり読むのが古き良きイギリス紳士の光景なのだそう。
イギリスの新聞また、これら有料紙とは別に、毎日発行される「フリーペーパー」が充実していて、有料紙を読まずとも、たくさんの新鮮な情報を得ることができます。
ロンドンのフリーペーパーで代表的なのは、
朝配布の
Metro(メトロ)http://metro.co.uk/
City AM(シティエーエム)http://www.cityam.com/
夕方配布の
Evening Standard(イブニングスタンダード)http://www.standard.co.uk/
主にビジネスパーソンが、平日の朝夕、地下鉄入口に立っている配布員やスタンドから取り、通勤の電車やバスのなかで読むことが多いようです。
イギリスのフリーペーパー無料と言っても、その内容の充実ぶりにはビックリします。
政治、経済、社会、文化、芸能などさまざまな分野に関する時事ネタから、ロンドンで起こった事件やローカルニュース、さらには流行りものや話題のお店紹介まで、30~40ページの紙面量からは、パラパラとめくるだけでも、ロンドンの”いま”を知ることができます。
収入源の多くが広告のため、時には広告ページがあまりに多いことに驚きますが、最近では不動産や住宅関連に関する広告が目立つのも、不動産バブルに沸く今のロンドンを表しているようです。
また、ロンドンの街を歩いていると、よく出会うのがThe Big Issue(ビッグイシュー)
http://www.bigissue.com/を配っているvendorと呼ばれる人たち。
ビッグイシューはホームレスの社会復帰をめざして週刊で販売されているストリート新聞で、イギリスが発祥です。社会、文化など独自の視点で編集されている記事は、ホームレス支援という社会的意義だけでなく、紙面への根強いファンが多く、世界各地でも同じ活動が波及されているのもうなずけます。
The Big Issueトレーニングを受け、ID登録証を胸にしたビッグイシューの販売員が街のあちこちに立ち、1部2.5ポンドの冊子を売っています。
1部販売につき1.25ポンドが彼らvenderの手に入る仕組みで、この収入とビッグイシュー財団の支援から自立への一歩を進むそうです。
vendorのなかには「Would you buy The Big Issue~?」と味のある呼び声で売っていたり、時には観光客に道を教えていたり、前を通るたびにニッコリと微笑み返してくれるなど、いつもいるあの人が立っていない時には、「どうしたのかしら?元気かしら?」と心配になってしまうほど、ロンドンの街に溶け込んでいます。
ロンドンのさまざまな面を取り上げている各紙。
今ではネットで読むことができる紙面も多くありますので、ぜひどれか目にしてみると、観光名所だけでは知ることのできないロンドンの素顔に出会えるかもしれません。
 

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