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クロシングと私~ある桎梏からの解放~

2021年03月09日

温泉ソムリエ
金融業種勤務

クロシングは東京・丸の内の講演『夕学五十講』の映像をネットで視聴する学習サービスです。単発の講演視聴にとどまらず、複数の講演を題材に全国の会員でネットディスカッションを開催しています。


1.クロシングに出会うまでの私

私の長年の座右の銘は、「no pain no gain」でした。「労力なくして得るものなし」などと訳されるのが一般的のようですが、私の解釈はちょっと違っていて、字面通り、自身の肉体だったり精神に痛みを伴わないと人間として成長・向上することはできない、また、辛い日々は明るい将来の前提条件である、といった偏ったものでした。そして、この座右の銘といびつな合理主義が、長年に渡って私を苦しめる結果となっていました。

私は、学生時代に、ボディービルに傾注した時期がありました。理由は、ボディービルが唯一、筋肥大させること、すなわち、肉体を成長させることだけを目的としたスポーツであり、合理的だと考えたからです。そして、常に筋肉痛の状態であることが、筋肉の成長に繋がっていることと同義であり、筋肉痛の無い状態であることに対して、ある種の罪悪感すら抱いていました。食事についても同様で、筋肥大させる為に必要な栄養素だけをサプリメントで短時間に摂取すれば足りるのではないか、といった間違った合理主義が行き過ぎて、気付いたら病院で点滴を打たれていました。精神面では、例えば、阿闍梨に憧れました。さすがに、千日回峰行を実践するのは非現実的だと考え、当時、軍隊と揶揄されていた会社に入った後は、長時間、闇雲に働くことが精神修行にも繋がると信じ、その果てには、人間成長という果実を得られる将来がきっと到来するだろうと期待しながら日々を耐えていました。今となっては過ちだったのですが、年次が重なるにつれ、いつしか周囲にも同様の価値観を求めるようになっていました。そんな私の価値観は、バランスや余裕を欠いており、当然の帰結として、目の前のささやかな幸せにも気付けず、Mind fulではない状態に陥っていました。

2.クロシングとの出会い

私は、このような桎梏から解放されたいとの一心で、まずは、自らに欠けていた幅広い教養を身に着け、それを梃子にして価値観を再構築しようと一念発起しました。そんな矢先、幸運にも会社の上司からクロシングの存在を教えていただき、早速申し込みました。クロシングの優れている点は、諸先輩方が詳細に寄稿(※)されていますので、私からは1つだけ申し上げますと、単に知識を叩き込むのではなく、実践躬行的な知性や想像力を養うための素晴らしい”鍛錬の場”であったことです。慶應義塾大学を創設した福沢諭吉先生は、実学主義を唱えましたが、その趣旨にも沿っていると感じました。そして、私は日常にクロシングを取り入れることによって、自らを苦しめていた桎梏から解放されることを目指しました。

(※)過去の寄稿(クロシング体験記)
アウトプット筋力を鍛えるクロシング(Tsubuさん)
「よい講演だった」で終わらせない(Kazuさん)
世界はやはり広かった(ゆきだるまさん)

3.クロシングへの取組み

クロシングには大きく3つの鍛錬の場がありました。それぞれの鍛錬の場で私がどのようにクロシングに取組んだのかについてご説明します。

(1)各分野の著名人による講演視聴を通じた知力の鍛錬

私は、毎月公開される新規講演に加えて、私が入会した2020年4月以前の過去の講演(アーカイブに保存されており自由に視聴可能)についても可能な限り視聴しました。後述する知識のメタ化にはインプット量が多いほどよいと考えた為です。そして、単に知識習得を目的化させない為にも、視聴した内容で心に響いた内容を断片的にノートに記すに留まらず、それら断片的な知識や思考、着想に対する整理、統合、抽象化を試みました。ノートを活用したのは、読み返すことで忘却を防ぐことだけではなく、習得した教養をより高次の抽象性、ひいては体系にまで高めることに繰り返しチャレンジする為の工夫でもありました。私は、視聴した一級教養のメタ化のプロセスこそが知力の鍛錬に有効だと判断し積極的に取組んで参りました。


(クリックするとクロシングサイトへ移動します)

(2)ディスカッションを通じた共感・共創力の鍛錬

クロシングでは月に2回程、共通のテーマに対して参加者がフリーにディスカッションする場が設けられています。このディスカッションの素晴らしいところは、ディベートとは違って相手の意見を否定しない点です。相手の意見に対して率直に共感しながら、いっしょになってなにかを共創する場でもありました。他方、私の会社の打合せでは、どちらかと言えば、相手から揚げ足取りされないように、或いは、相手を論破するために、事前の理論武装を十分に行うことが重要だった気がします。そのような打ち合わせはどこか殺伐としていて、結果として声の大きい人の主張が採択され、そこに共感とか共創がうまれる余地はありませんでした。そして、知らない間に自分にもそのカルチャーが染みついていたような気がします。私は染みついたカルチャーを払拭する為にも、素晴らしいディスカッションメンバーの方々の力をお借りして、相手の意見に共感すること、そしてなにかをいっしょに共創する力の鍛錬に取組んで参りました。


(クリックするとクロシングサイトへ移動します)

(3)スパルタ式MCCレッスンでの思考力の鍛錬

2か月に1回開催されるMCCレッスン(Thinking Cafe)では、1つの問題(テーマ)に対して、自らの考え方および答えが求められました。そこで桑畑先生は、①唯一の正解など存在しないことを肝に銘じること、②まずは考え方を考えること、③その考え方を使って手を抜かずに徹底的に考え抜くこと、④その結果として沢山の答えを出すこと、を繰り返しおっしゃっていました。
私は、早計に出した答えが唯一の正解だと思い込んでしまうところがあり、そこが自分の欠点の一つだと自覚していました。この欠点を克服するには、徹底的に様々な視点で答えを導き出すことを求めた本レッスンは、非常に有効だと考えました。自分の欠点を克服する為にも、このMCCレッスンには真摯に取り組んで参りました。
初めて自らの考えを事務局に投稿した際に(テーマ:航空業界の若手の離職率が高いのはなぜか)、桑畑先生から、もっと多くの答え(仮説)を示すよう指摘を受け、自らの浅はかさを反省しました。ちなみに、先生は1つのテーマに対して最低でも20通り以上の具体的なアイデアを出すことを求めましたが、私は最終的に、内容はともかく100通りを超えるアイデアを捻り出す迄に取組めるようになっていました(テーマ:タクシーの有効活用)。

4.最後に

私は、クロシングを開始した2020年4月から同年12月迄の約9か月間、上記取組みを行って参りました。自分としては、桎梏から少し解放されたかな、と思う反面、40年以上生きていると、もはや自分の凝り固まった価値観を変えることはそう簡単ではない、とも実感しています。しかし乍ら、自分を変えたいと思うのは、偽らざる気持ちです。私自身の変化に対する評価は、最終的に周囲がするべきものだと思いますが、残念乍らその手ごたえは得られていません。ですので、今年もまたクロシングにお世話になって、さらに鍛錬を継続したいと考えております。

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