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「学び」はエネルギー

2006年04月11日

吉川康明

奇しくもこのエッセイが掲載される今月より、フードコーディネータースクールに通い始める。社会人になって自主的に何かを学ぶのは2回目である。1回目はここ慶應MCCの『マーケティング情報から顧客を「読み・解く」』の講座、2回目が冒頭に記したフードコーディネータースクールである。


現在食品メーカーに勤務しているが、フードコーディネータースクールでは「食」について学ぶだけでなく、知識や感性・行動力・情報力・マネジメント力・コミュニケーション力・プレゼンテーション力が養われ、更に人との繋がりが広がることから、仕事に非常に役立つと思い身銭を払って受講することにした。1カリキュラム2時間、週2回を1年間という長期に渡って学ぶことになるため、多少なりとも業務に支障を来すことになるかもしれない。それでも会社の同僚の理解を得ながら何とかやり抜こう思っている。
私にとって「学び」は前述したように仕事に繋がりを持たせる目的が大きいが、それ以上に「学び」を通じて自分の力量を測り、見つめ直し、またそれによって自身を変化(進化)させるという「自己客観視」「自己変革」的な意味合いの方が強い。
今回のフードコーディネータースクールは、「食」についてもっと大きな枠で物事を捉えることを目的に学ぶことにした。どうもメーカーにいると、当たり前のことだが自社商品のことだけしか考えない。また知識についても自社商品とその商品の分野のことしかわからない。モノが売れていた時代であればこれでいいかもしれないが、今はそんな時代ではない。お客様の立場に立って、食シーンを思い浮かべてモノづくりや販売に繋げていかないといけない。
例えば惣菜についても、野菜や肉・魚などのいろいろな素材と調味料との組み合わせで初めて商品として成り立つ。またその惣菜をどんなシーンで食べるのか?夕食のおかずとしてなのか?酒の肴としてなのか?そういったことを考える必要がある。またお菓子やデザートについても、「誰が」「どんなときに」食べるのか?屋外でおやつとして食べるのか?食後の口直しとして食べるのか?生活に密着した発想で物事を考えていかないといけない。しかし、今自分たちが提案している売り方は、ひとつの商品を売ることしか考えていない。お客様は生活との組み合わせで買い求める。そうなるとどうしてもお客様とギャップが生じてくる。そういったことが原因で、モノが売れなくなっているのではないかと思う。
今回、このフードコーディネータースクールに通うことについては、自分の仕事に対する警鐘も含めて、むしろ危機意識の中から自発的に「学び」に取り組んだ感が強いかもしれない。またこのことに限らず、常日頃からこれまでのキャリア(経験)に頼るのではなく、常に時代の変化と向き合い、その変化に対応するために新しい「学び」を取り入れる必要があると思う。
更に、自分のキャリアというものを考えたとき、たまたま何度か転職を重ね現在の職に就いているが、エキスパートというわけでもない。確かにこれまでいろいろな経験をしてきたのである程度のことはわかるが、「何となく」のレベルである。キャリアとして確固たるものにするには、「学び」で弾みをつける必要があると思う。
少し観点を変えるが、社会人になってからの「学び」は学生時代とはまったく違ってくる。私の場合、学生時代は本当に勉強をしなかった。体育会に属していたこともあったが、大学で授業に出席することが少なかった。たまに行っても校門のところに先輩が立っていて、雀荘に連れて行かれてしまい、実際には前期後期の試験のときしかキャンパスに行くことがなかった。更に授業料も親が出している始末。今考えてみれば本当に恥ずかしい限りである。しかし今は社会人として勉強することの必要性を感じている。自分で言うのも変だが、取り組み姿勢が全く違う。集中力も自分では考えられないほどである。自分で働いて得たお金で学ぶということが一番の要因かもしれないが、それ以上に、目標が明確だからかもしれない。
実はこのことを一番教えてくれたのがここ慶應MCCの『マーケティング情報から顧客を「読み・解く」』の講座である。6回シリーズの短期間の講座であり、2ヶ月足らずではあったが、自己投資をしての「学び」であった。とにかく一生懸命だった。まず全カリキュラムを出席、また休憩時間や出張の合間を見ては課題に取り組み、最後のグループ発表の時も休みを惜しんで原稿を作成した。その間仕事についても手は抜かなかった。受講日当日は授業に間に合うために集中した。むしろ普段以上に仕事が捗ったことを記憶している。もちろん主題のマーケティングについて清水先生や高橋先生の講義は非常に参考になったが、当時は「学び」の楽しさを教えてもらった事の方が何より印象に残っている。
このときの自分なりの「学び」の目標は「マーケティングとは何か?」というものであった。一見漠然としているが、実は自分のキャリアとして、確固たるものがなかったため、この講座を受講したが、テーマからも自分の力量を測るのにも最適であった。しかし、実際には回を追うごとに「マーケティング」についてどんどん興味が増していった。おかげさまで本当にいい勉強になった。
そして今度はフードコーディネータースクールである。私にとって「食」について、今の職場で働く前から何らかの形で関わっていたが、中途半端なキャリアであることには違いない。今回このフードコーディネータースクールでは、「食」に関するあらゆることを学ぶようになる。メニュー提案や商品開発、レストランプロデュース、テーブルコーディネート、フードスタイリング、原価計算、計数管理etc、今考えただけでも大変なカリキュラムである。しかし、今回自分は「食のスペシャリストになる」という明確な目標を立てた。そしてこのスクールを卒業したとき、これまでとはまったく違う自分が形成されるものと思っている
だからこの1年は本当に大変な年になると思う。しかしこれで自分の人生が変わるのであれば、やり甲斐も感じる。実は今から集中力を高め、仕事が定時にきちんと終わるための仕組みを自分なりに考え、実践している。また不思議なもので、大変だと言っていながら気持ちが高ぶり、日に日にワクワクしている。
私にとって「学び」はまさにキャリア形成のためのエネルギーである。来年の今頃、逞しくなっている私を見ていただければと思う。

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