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学ぶことから見えてくること

2006年06月13日

美崎栄一郎
花王株式会社 スキンケア研究所

現在、花王株式会社の研究員として、化粧品の商品開発を行っています。商品の設計や開発の仕事は、ターゲットとなるお客さまの顔が見えないとできるものではありません。業務としては、もちろんターゲットの顔を見ているつもりでいましたが、改めて体系的に学ぼうと、そして開発のヒントを得ようと『アクティブ・コンシューマーとの製品開発』を受講しました。学ぶことから見えてくることを実感しました。


講師の濱岡豊先生の提唱するアクティブ・コンシューマーと共に作り上げていく商品開発手法は、非常に参考になりました。ゲスト講師も多彩で、様々な最新事例も惜しみなく紹介して頂きました。
アクティブ・コンシューマーとしてユーザーでありながら一緒になってモノを作り上げていくという事例の紹介が濱岡先生からあり、色んな業種の受講生とのグループワークで、テーマを決めて実際に調査を行いました。我々のターゲットは中学2年生をアクティブ・コンシューマーと考え、「中学2年生が本当に受けたい授業」を一緒に作るというテーマを検討することにしました。アクティブ・コンシューマーを学ぶことで、商品開発のきっかけが見えてくるということを実践するために。
中学生の実態を現場に近い大人の目線から観察しようと、中学校の先生にインタビューしてみて、企業人である我々との視点の違いを肌で感じたり、中学校の授業を聞きに行ってみようと、杉並区にある和田中学校の話題の授業「よのなか科」を受けたり、『夕学五十講』でも藤原校長の話を聴講したりしました。さらには身近な中学生と話したりすることまでトライしました。そうやって彼ら彼女らから学ぶことで、中学生の姿が見えてきました。既成概念で思い込んでいたことが違うってことも気づかせてくれました。また、中学生に講義を寝ないで聴いてもらうためには何が必要なのか、なんてことを真剣に話し合って、いろんなアイデアを出し合ったりしました。講座期間中に授業を開催することはできませんでしたが、こういう調査をしていたという話をしていたら、今年10月に横浜でボランティアとして中学生に講義してみないとお誘いを受けることになりました。とても楽しみです。
中学生というテーマは、会社の業務とは離れていましたが、アクティブに動いている人を観察する手法を学べたことは、非常に有意義でした。テーマが離れているおかげで今までの見方に囚われずに新しい手法を吸収できたと思います。
ひとつ例を挙げると、ゲスト講師の空想生活で有名なelephant designの西山社長によるコンシューマーを見るプロの視点を学べたことは非常に有意義でした。コンシューマーをインタビューしなくても、その人が暮らす日常の写真を見るだけで、その写真の先の生活実態を洞察する手法は、新鮮でした。その実態からデザインを考える手法もユニークで、なるほど!の連続。そこから「デザインと商品」、「ブランドとデザイン」と自分の中の興味が広がり、『マーケティング進化論』の講義等も受講しました。アップル、メルシャン、レクサスの事例等を学ぶことで有機的に自分の頭の中で手法が繋がっていく学びの快感が得られました。
良いことばかり書きましたが、難点は...、多少受講料が高いことでしょうか。受講したコースは、それだけのコストパフォーマンスがあったと実感しましたが、最初は躊躇しました。時間もかかりますので、忙しいときはそれもネックですが、時間をかけるコースは受講生間の繋がりも期待できます。また機会があればトライしたいです。一緒にテーマを検討した受講生仲間とは、今でも情報交換させて頂いていて、同期生仲間から得られる刺激や気づきは、社会人にとって貴重な財産だと思っています。『夕学五十講』や『マーケティング進化論』のような一回の受講料が安いコースもありますので、今は、その情報も見逃さないようにしています。
『夕学五十講』や『マーケティング進化論』で講演される講師陣は、書籍などを書かれている方も多いですが、その考えを持つに至った理由、そのマーケティング手法の裏側などのお話も聞けるので、多くの気づきの機会が得られました。実際にライブで話をお伺いすると、その方のパワーやオーラも感じられます。新しい発想や新しい手法を体感して感動できるチャンスは、貴重です。商品開発に伴う生みの苦しみは、どの業態でも同じで、成功事例や失敗事例に、自分たちの商品開発に活かせるたくさんのヒントが落ちているということを実感しました。同じものを見聞きしていても、そこにあるヒントに気づくか、気づかないかは、自分自身の情報感度に因ります。意識を高く持ち、学ぶことで見えてくるものがたくさんあるということを慶應丸の内シティキャンパスでは教えてくれていると思っています。
こういった学びの機会を活かして、自分を高め、研究や商品を作っていく土台になればと思っています。そして私の研究開発している化粧品が慶應丸の内キャンパスで取り上げられる事例になれるように、学びの機会も仕事も同じように、楽しんで取り組んでいきたいと思っています。

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