学びの体験記
2006年08月08日
好奇心は“学び”の始まり
Y.F
私は“キャリア”の価値は年月ではなく、質で決まると思っている。それには賞味期限があり、常に鮮度を保っていないと直ぐに価値は下がり、売れ残る。だが “キャリア”は勉強して身に付くものではなく、経験が全てだとも思っている。自分が体験してきたものから何を学んだか-それに気付くか気付かないか、過去の経験を次の機会でどのように応用していけるのか、その知識とバリエーションの多さが価値を生むのではないかと。そしてその鮮度を保つ1つの方法が“学ぶ”ことなのではないかと。
私が学生だった頃、とにかく勉強が嫌いで宿題や勉強を強要されない、試験のない大人が羨ましくて仕方なかった。ところが、いざその世界に足を踏み入れてみると、強要もされない代わりにある意味、こちらからアクションを起こしていかない限り何も教えてもらえない世界。自由である中で自分の真価が常に問われている。学生時代に怠け続けていたツケが社会に出て露呈した。そこには稚拙な考え方・発言しかできない自分とは明らかに違う物の見方・考え方を身に付けている同年代の人たちばかり。この人たちと肩を並べてやっていけるのか?生き残れるのか?―そんな危機感から無知な自分を繕うため、私は学校・セミナー・講演会と色々なところに足を運ぶようになった。
そもそも“学び”というと、勉強好き・真面目―と(少なくとも私には)優等生的なイメージがあったが、実はそんなに堅苦しいことではなかったのだと今では思っている。いわゆる“習い事”も“学び”と同じ。“新しいことを知りたい”と思う気持ち、“興味”こそが学びの原点なのだと思うようになった。そう言った意味では、お金を払わなくともまたわざわざ何かを習いに行かなくとも学ぶ機会は至る所に存在している。
たまたま私にとって、その最近の1つの場所がこの慶應MCCであり夕学五十講であっただけ。ただそこでは豊富な知識を持ち合わせた講師陣からレベルの高いノウハウを伝授してもらえるのはもちろんだが、好奇心旺盛な他の参加者の方たちと同じ悩み・苦労を共有できたり、経験からアドバイスがもらえたり、また逆に自分の知らない世界(業界・職種)の話が聞けたりもする。これは知識を得るのと同じように人を豊かにしてくれるまさに生きた教材であり、貴重な時間ともなる。
特に社会に出れば、異業種の方と知り合いになれる機会は非常に少ない。ましてそれが損得を抜きにしたビジネス上の関係もないともなれば尚更のこと。ゆえに人脈が広げられるということはそれだけで楽しく、有意義なことである。
ところで、“学びの状態”とはどんな状態を言うのだろうか?
こんな事はいままで考えたこともなかったが、改めて考えてみると、先に『“新しいことを知りたい”と思う気持ち、“興味”こそが学びの原点』だと言ったが、『その気持ち、興味が続いている状態』が“学びの状態”なのだと思う。そしてプラス、『自分自身が楽しんでいる』ことも“学びの状態”を維持させるためには重要な要素のひとつだと実感している。強制されているとき、興味がなくなった時点でもうその人にとっては“学びの状態”でなくなってしまっているのではないだろうか?受身の状態で何かを学ぶのは難しいのではないだろうか?そんなように私には思えるのである。
例えキッカケは何であれどうであれ、前向きに取り組む姿勢と気持ちが“学びの状態”の質を向上させる促進剤となっているのではないかと。そういう意味での私は質はともかく、少なくとも“学びの状態”ではあると言えると思う。ここ数年の自分を見つめ直し一番変わってきたと思える事は、質問することに臆病にならなくなったこと。以前は、「こんな事を質問したら・・・」と躊躇ばかりしていたが、最近は図々しくなってきたのか、学びの状態の質が向上したのか、これは自分にとってはかなり大きな進歩だと思っているのだが、まだまだ考えが甘いのだろうか?
昨年より慶應MCCにおいていくつかのプログラムを受講してきた。課題には毎回かなり苦労してきたが、どれも実に興味深く参加することができた。あとはそこで得た知識やノウハウをどのように仕事や生活に活かしていくかだが、それらを上手く機能させるようにできるまでにはきっと多くの訓練、失敗、時間を要さなければならないのだろうと覚悟している。
「学」という字の中には子供がいる。
そして「習」という字は「白い羽」。
学習とは、子供のような好奇心を羽ばたかせて
未知なる領域へと「旅」すること―
学習のたびへの道標-NPO法人ザ・シチズンズ・カレッジ(TCC)
私もさらに終りなき旅を、自分のペースで楽しみながら続けていきたいと考えている。
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