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「私」と「私」のレース

2008年04月08日

藤野あゆみ
慶應丸の内シティキャンパス ラーニング・ファシリテーター

声を大にして言うことではありませんが、私は、非常に「ノロい」人間です。
幼稚園の頃、お昼休み時間中にお弁当を食べ終われなかったことから始まり、学生時代もそのスロースターターぶりを発揮。新しい環境に馴染むまで、人より時間がかかるので、小学校、中学校、高校、大学とも一年生の時が、一番成績が悪く、学生生活自体もつまらなくて、最終学年に近づくほど良くなっていった記憶があります。皆様もよくご存知の歌で、「もしもし亀よ、亀さんよ~」というものがありますが、その歌詞の中の「歩み」と私の名前「あゆみ」をかけて、『あゆみほど、鈍いものはない。どうしてそんなに鈍いのか』という替え歌を作られた程です。
これだけ申し上げると、嫌な思い出話のように聞こえてしまいますが、実は、私は自分が亀になぞらえられることが、そんなに嫌いではありません。


なぜなら、この歌の「うさぎと亀」のレース結果を知っているからです。もちろん、小さい頃はあまり深く考えてはいませんでしたが、大人になるにつれ、負けず嫌いの私は、最後には亀が勝てるという、この童話のエピソードをとても気に入り、鈍くてもいいんだ、自分のペースでいいんだ、と自分に言い聞かせて、がんばっていたように思います。
実際、新入社員の時の私など、恥ずかしくて皆様にお話することも出来ない有様でしたが、当時の私は自分の無知さを正面から受け止め、「一度質問したことは二度と聞かない」をモットーに、一つ一つ知識を増やしていき、三年後には新プロジェクトをほぼ一人で任せてもらえるようにまでなりました。今までの努力が報われ、やっと同期の中でも胸を張って仕事ができるようになった、「うさぎ」を追い抜いた瞬間です。
ところが、現実はおとぎ話のように上手くいきません。うさぎを抜いて、先頭を走り出した亀は、とたんにひどい疲労感に襲われ、先の見えない長い道のりを歩くのが嫌になったのです。思えば、今までの人生は、中学から高校、高校から大学、大学から社会人へと、一目瞭然の、「次へのステップ」が用意されていましたし、私は、スロースターターだったからこそ、いつも皆の後姿を追いかけていたので、先頭で走る経験、自分で目標を生み出す必要性がなかったのです。
それからの私はひどいものでした。道しるべを無くしたように、自分がどこへ向かっているのか分からず、とにかく目標になりそうなものを見つけると、手当たり次第向かっていったので、完全に道に迷っていました。もちろん、目標を見つけることは大事です。でも、「なぜ、その目標に向かうのか」という目的を全く考えていなかったのです。
そんな私に手を差し伸べてくれたのが、MCCでした。冒頭の私の肩書きでお分かりかと思いますが、私は受講生ではありません。スタッフの一人です。ですので、手前味噌で恐縮ではありますが、一年半前、MCCに転職してきた私は、高い意識を持って自己啓発に取り組まれている受講生の方々、そして、スタッフである上司、先輩の仕事への思い入れに接し、プライドを持ってそれぞれの道に進まれている姿勢を肌で感じたことで、やっと自分で目標を生み出すことができたのです。私は、自分で目標を見つけようとしながらも、知らず知らずに楽な道を選び、少しでも逆風を感じると、また別の道に目を向けてしまっていたことに気が付いたのです。
私が人生のレースで戦う相手は、他の誰でもない、私がなりたい「自分」なのです。その目標に向かって、亀がうさぎを追いかけたように、一歩一歩進んでいく。そして、努力が報われて、その理想像を超えるようになった時には、また更なるレベルアップを求めて、新たな「自分」と戦う。そうやって、レースをいくつも積み重ねていくことが大事だったのです。
また、その目標は、高ければ高いほど、自分が燃えてくる気がします。亀だって、自分と同じようなレベルの対戦相手だったら、あんなに一所懸命にならなかったのではないでしょうか。とうてい力及ばないような相手だったからこそ、悔しさをバネに、日々、努力を積み重ねていけたのではないでしょうか。ですから、私は常に自分へのハードルをできるだけ高くするようにしております。
ここまで書かせていただいて、非常に不安になってきました。なぜならば、鈍臭い私の「気づき」です。皆様にとっては、当たり前なことで、今更何を言っているのかと思われるのではないでしょうか。
恐らく、皆様はすでにご自身の中に高い目標がおありだと思います。その目標へ近づく為の色々な手段、方法もいくつかご存知で、すでに実践されている方も多いでしょう。でも、「私」との戦いは、辛く厳しいものです。高い目標を掲げていると思っていても、戦いの疲れ、苦しみから、自分でも気が付かないうちにそのハードルを下げていってしまっていることもあるのではないでしょうか。
そんな時に、MCCが皆様のお役に立てればと思っております。私が迷い道から抜け出せた時のように、自分一人の力では気づかないこと、解決できないものが必ずあると思うのです。良質のコンテンツを提供させていただくことは社会人教育機関として第一条件ですが、講師、受講生の皆様、そして私どもスタッフ、それぞれが自分と戦っているからこそ、お互いが触発し合える、そんな関係を作ることも大切なことだと思います。孤独な戦いだからこそ、同志が必要なのです。
今、「私」は、そのような理想を抱えながら、MCCを単なる情報提供の場所にしないようにラーニングファシリテーターの一人として貢献できる「私」とのレースに挑んでおります!

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