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夕学レポート

2005年06月10日

民が公を担う 「構造改革道半ば」 本間正明さん

2週前位の「日経ビジネス」で“竹中改革を支える大阪大人脈”という特集が組まれていました。大阪大学は、商人の街を拠点にするだけあって、開学以来、実学を重んずる気風が特徴で、竹中大臣を含めて、阪大に連なる有識者が竹中さんの政策ブレーンを構成しているという内容でした。その阪大人脈のキーパースンとして、最も重要な役回りを担っているのが竹中大臣の先輩にあたる本間先生です。


本間先生は、経済財政諮問会議の中核議員として、4年以上も小泉構造改革の政策提言機能を果たしてきました。諮問会議のメンバー構成をみると、どう考えても政策形成の詰めの部分は本間先生が一手に引き受けているに違いありません。その誠実で、真っ直ぐなお人柄からは、魑魅魍魎が跋扈する永田町や霞ヶ関を相手に回して、粘り強く着実に仕事をしていらっしゃる姿が想像されます。
この数年で、銀行の不良債権比率は9%台であったものが3%台へと改善されました。企業収益は大きく回復しています。公共投資の対GDP比率も3.5%となり、バブル以前の水準まで戻ってきたそうです。あれこれ言われますが、構造改革の成果が花開いていることはまぎれもない事実のようです。
さて、3年振りの夕学も、本間先生のお人柄がにじみ出た素晴らしい講演だったと思います。「骨太の方針を作っている最中なので、思い切ったことが言えないのです…」とお断りされながらも、日頃のストレスを熱意に転換して?、熱く語っていただきました。
1.ストックからフローへの経済システムの転換、2.グローバリズムの進展、3.IT等の科学技術の進化に伴う社会システムの変容、4.国と地方の関係の再構築、5.少子高齢化社会の進度、以上5つの側面から、なぜ構造改革が必要なのか、改革によって何がどう変わるのかを、論理的に解説していただきました。
本間先生は、現在の状況を「分かれ道の選択」と呼んでいるそうです。構造改革を成し遂げて、小さな効率的な政府を構築し、民の力で社会を活性化させるのか。過去の名声に頼る肥大化した衰退国家の道をたどるのか、いまが分岐点だというわけです。いずれにしろ、岐路の選択のために残された時間は多くはないという強い危機感も伝わってきました。
控室でお聞きしたところでは、本間先生はNPOという言葉を日本で最初に使い始めた研究者だそうです。NPO学会の創設者でもあります。きょうのブログのタイトルである「民が公を担う」というコンセプトが研究者としての基本思想なのかもしれません。その信念が根幹にあるからこそ、魑魅魍魎の中にあっても自分を見失わない強さを持てるのではないかと思いました。
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