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夕学レポート

2008年05月13日

金融リテラシーのすすめ 勝間和代さん

勝間さんの講演を聴かれた方、あるいは勝間さんについてもっとお知りになりたいという方は、まずは、勝間さんが主宰するワーキングマザーのコミュニティーサイト「ムギ畑」に載せられている「ムギさんの履歴」をご覧下さい。
勝間さんの思考・行動スタイルが、どのような経緯で、どんな遍歴を経て形成されてきたのかがよくわかります。
自分の努力でカバーできる部分は、あらゆる努力と工夫を惜しまないこと。
自分と環境の不適合を嘆くことなく、自らが動くこと、働きかけることで、自分にあった環境を作ること。
全力投球でがんばったうえで、失敗と挫折から謙虚に学び、意味づけをすること。

勝間さんは、それを実践してきた人だと思います。
知的生産術、勉強法、時間管理法、生き方論etc、多くの勝間さんの著作は、勝間さんのライフキャリアそのものをアウトプットとして紡ぎだしものだと改めて思いました。


さて、本題の「金融リテラシー」について振り返ります。
勝間さんは、日本人の「金融リテラシー」不足を次のように分析、特徴づけています。
・預貯金への過度な依存
超低金利にもかかわらず、従前通りに盲目的に預貯金に依存することで、実は大きなリスクを負っている。
・投資というと、すぐに「個別株投資」にばかり目が向く
金融リテラシーをまじめに取り上げるマネー雑誌は売れない。売れるのは個別銘柄特集ばかり。だからトンデモ本が増えるし、詐欺商法も後をたたない。
・元凶は、「長時間労働」信仰にあり
働き過ぎで忙しいから、「金融リテラシー」について勉強できない。労働収入にばかり頼るからよけいに忙しくなる。会社も資本の生産性が低いから、コストである正社員を使い倒そうと働かせる。
金融リテラシーを磨いて、適切な金融収入を得られるようになることとワークライフバランスを実現して、仕事以外の興味・関心を深めることは、にわとりとタマゴの関係であると勝間さんは言います。
続いて、金融商品の理解の仕方にも言及されました。
・不動産は持つな
家、マンションを買うことは、不動産投資への過剰な依存でもある。だから他に投資する余裕がなくなる。不動産の値下がりは、含み資産の減少、赤字と同じ意味。
・個別株はやるな
個別株は、プロが儲けて、素人が損することで成り立っている。どんなに情報収集したつもりでも、一般人が手に入る情報は「だしがら」でしかないと心得よ。
・預貯金のリスクを忘れるな
投資には手数料があるから嫌だという人がいるが、預金も同じこと。銀行は定期預金で集めて、国債を買っている。銀行は事実上の手数料を得ているのだ。
・生命保険は低減型に見直しを
毎年見直せるタイプや、保証額が逓減するタイプもある。ライフスタイルに合わせてこまめに見直そう。
・投資を毛嫌いするな
投資信託は嫌われもののようだが、実は、庶民が分散投資するには、投信しかない。毛嫌いせずに、上手に使おう。 キーワードは「ノーロード」「インデックス」
どんな優秀なファンドマネジャーも、20年間で勝負したらインデックス型投信には勝てない。
・コモディティファンドに注目しておこう
20世紀は株式があがった。21世紀は資源・食糧があがる。
なるほどよくわかります。でもここまでは、単なる解説にすぎません。勝間さんの真骨頂は、このあとです。
われわれが、限られた時間で金融リテラシーを磨くためにはどうすればよいか。
勝間さんは、まずは投資をすることだと言います。そして、きわめて実践的なビギナーのための投資入門ステップとガイドラインを提示してくれました。
<投資を行うための10のステップ>
ステップ1 リスク資産への投資の意思を固める
ステップ2 リスク資産に投資をする予算とゴールを決める
ステップ3 証券会社に口座を開く
ステップ4 インデックス型の投資信託の積み立て投資を始める
ステップ5 数カ月から半年、「ながら勉強」で基礎を固める
ステップ6 ボーナスが入ったら、アクティブ型の投資信託にチャレンジ
ステップ7 リスクマネジメントを学ぶ
ステップ8 リターンが安定したら、投資信託以外の商品にチャレンジ
ステップ9 応用的な勉強に少しずつチャレンジ
ステップ10 金融資産構成のリバランスの習慣をつける
<投資でもうけるための5原則>
第1原則 分散投資、分散投資、分散投資
第2原則 年間リターンの目安として、10%はものすごく高い、5%で上出来
第3原則 タダ飯はない
第4原則 投資にはコストと時間が必要
第5原則 管理できるのはリスクのみ、リターンは管理できない

詳細は、是非『お金は銀行に預けるな』を読んでいただくとして、まず、やりくりすれば月々4万円の投資資金が捻出できる人は、証券会社で次の4つの投信を、月々の積み立て方式で買うことからはじめてみましょう。
・国内株式(日経平均インデックスなど)
・国内債券(NOMURA-BPI総合など)
・国外株式(MSCIコクサイなど)
・国外債券(シティグループ世界債券インデックスなど)
それでも面倒だという人は、全部をひとつにまとめた「バランス型投信」という商品もではじめたそうですので、要チェック。
どこぞのCMではないですが、「お金は大事だ。よく考えよう」と思わせてくれるお話でした。

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