夕学レポート
2005年06月20日
ファンダメンタルを鍛える 船川淳志さん 「プロフェッショナルの思考力と対人力」
千住博さん(日本画家)、梅津光弘さん(慶應大助教授)、守島基博さん(一橋大教授)、そして船川淳志さん。今期の夕学にご登壇いただいた4人の方には共通点がありました。何かお分かりでしょうか。皆さん慶應の同期生で、この春に卒業25周年を迎えられたのだそうです。きょうの控室でも、その話が話題になりました。慶應では卒業25周年を迎えられた方々を卒業式に招待をする企画があり、船川さんも出席されたとのこと。安西塾長の祝辞の中で、期待をこめて語った人材像が、ご自身が常日頃主張されているそれと同一であったことを嬉しそうにお話になりました。
講演は世代論からはじまりました。1955年、89年、99年。この50年間の日本と日本企業のターニングポイントを他者の論も交えながら解説してくれました。船川さんは、1999年を大きな節目と捉えて、“ビフォア ゴーン、アフター ゴーン“と呼ぶそうです。ゴーンさんの登場をエポックとして、個人と組織の関係は大きく変わり、個人のスキルアップ意識が向上したのではないか、MBAへの関心の高まりやロジカルシンキングやコーチングの興隆もそのうねりの中で起きたことで、2001年のMCC開設も時代の要請だったと理解できるとのこと。われわれにとっては嬉しい話です。
船川さんの問題意識は、ターニングポイントを超えたことで、マインドチェンジができた人とそうでない人のスキルギャップが急激に広がっているという点に収斂されてきます。
年間160日間を研修で費やし、2000人以上の企業人と接している経験から、日本人のファンダメンタルズへの強い危機感を感じているそうです。その最たるものが、きょうの本論である「思考力」の欠如です。船川さんは「思考力」を“もとになるもの(事実・知識・経験等)から、頭の中で組み立てる力”と定義しており、組み立てるためには、筋道立てて考える論理的思考力と自由な発想でイメージをふくらませる想像力が必要だと主張しています。最近では、シンクタンクやコンサルティングファームからも「思考力」育成研修のオファーがある時代で、特に優秀だと言われる人々(船川さん流に言えば、東京駅半径5K圏内で働く人々)に、思考力の欠如が顕著だとか。
この話を聞きながら、私は日頃強く感じている問題意識との共通点をみた思いがしました。それは私が「魔法の杖症候群」と勝手に読んでいる現象です。われわれは、複雑難解な問題を解決してくれる魔法の杖があるに違いないという思い込みを知らないうちに持ってしまっているのではないでしょうか。書店にいけば、安易なタイトルのノウハウ本が山積みですし、「すぐに出来る。明日から変わる」ことを売りにするセミナーも氾濫しています。コンサルティングやセミナーは、魔法の杖を手に入れるための手段だという誤認識を広めるのに、私自身も一役買ってはいないかという自責の念もあります。学ぶことのメリットだけに目を奪われて、学ぶことの本質を見失っているのではないか、これは船川さんのいう「思考の中抜き」ではないのか、MCCは、知識・スキルの習得を通して、自ら考え、自分の考えを表明し、更には議論を通して新たな視点を獲得する“真の学習の場”になっているのか。深く考えさせられた時間でもありました。
船川さんによれば次のターニングポイントは2008年とのこと。団塊の世代がリタイアし、バブル入社世代が20年目、99年入社組が30代半ばを迎えるその頃、日本人のファンダメンタルズがどこまで変わっているのか、気づいた人とそうでない人の差が取り返しのつかない程広がっていることは間違いないでしょう。
慶應MCCにも「思考力」育成シリーズ3部作があります。こちらもよろしく。
「会議を変えるファシリテーション技術」
「目に見えるロジカルシンキング」
「本質課題発見セミナー」
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