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夕学レポート

2010年06月21日

一隅を照らす 野口吉昭さん

コンサルテーションという言葉の語源は、ラテン語のconsultare (協議する)という言葉に由来するといわれている。分解すれば、 con(共に)+sedere(座る)=共に座る、という意味になる。
コンサルティングには、元来クライアントとの協働という概念が包含されているのだ。
社会心理学の泰斗エドガー・シャインは、もう一歩進めて、プロセスコンサルテーションという概念を提唱した。

「クライアントとの関係を築くこと。それによって、クライアントは自身の内部や外部環境において生じている出来事のプロセスに気づき、理解し、それに従った行動ができるようになること」

人間は他者にしてやれることは、人が自ら気づき、行動するための支援活動しかない、という人間観がベースになっている概念である。
野口吉昭さんが率いるコンサルティングファーム HRインスティテュートは、クライアントの「主体性を挽きだすこと」をミッションに掲げている
自分のため、人のため、人々のため、個人ン・チーム・組織の可能性を挽き出すことで社会を変える支援をすることにある。
ここに、野口さんの、コンサルタントとしての明確で、揺るぎない立ち位置がある。
野口さんは、「コンサルタントの仕事術」というお題に対して、3つの能力を説明することで解答とした。
1)ストーリー力
2)質問力・解答力
3)習慣
具体的な内容については、是非野口さんの著書をお読みいただきたいと思うが、これらに共通するのが、「相手軸」で考えるというスタンスであろう。
相手(クライアント)が気づくための質問。
相手(クライアント)を動かすための解答。
相手(クライアント)をその気にさせるためのストーリー。
相手(クライアント)に寄り添い、相手の主体性を挽きだすためのスキルを駆使することが、コンサルタントの仕事術に他ならない。
クライアントを部下、社員、顧客に置き換えれば、リーダーとして、経営者として、営業マンとしての仕事術にも、そのままあてはまる。
人間が、他者にしてやれることは、人が自ら気づき、行動するための支援活動しかないのだから。
一隅を照らす
最澄が語ったという言葉を、野口さんは座右の銘にしているという。
「今、あなたのいる、その場所を照らしなさい。
 そう今、まさにいるその場所を。
 あなたの周りの家族、職場、地域社会を。」
日本を取り巻くマクロ環境を分析すると、世界のおける日本の位相は大きく変わろうとしている。経済規模や豊かさを誇る時代は終焉を迎えつつある。
成熟社会・成熟経済の日本にあって、「一隅を照らす」活動はどこにあるのか。
野口さんは、ソーシャルアントレプレーナー(社会起業家)と呼ばれる若者達に、来るべき社会のモデルを感じているという。
フローレンスの駒崎弘樹氏
マザーハウスの山口絵里子氏
カタリバの今村久美
みやじ豚.comの宮地勇輔氏
かものはしプロジェクトの村田 早耶香氏
若い社会起業家をゲストに招き、語り合うラジオ番組「Yokohama Social Café」という番組を自ら企画・スポンサードし、DJもやっているという野口さん。
これもまた、野口さんにとっての「一隅を照らす」ことに他ならない。

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