夕学レポート
2011年02月01日
菊澤研宗教授による【ドラッカー再発見】 その1
この講座は、昨今の”ドラッカーブーム”とは一線を画し、ドラッカーが「いわゆるドラッカー」になるまで、を取り上げた講座でした。
「いわゆるドラッカー」とは、”ドラッカーブーム”でいう「ドラッカー」、つまりマネジメントの発明者として、マネジメントの原理・原則を説く「ドラッカー」です。
この講座で取り上げるドラッカーは、そういうドラッカーではありませんでした。
もっと哲学的で、もっと社会的で、もっと政治的な、理屈っぽいドラッカーです。
ヨーロッパを席捲しつつあったナチスに敢然と向き合った、若き政治学者としてのドラッカーです。
戦火の中で、ヨーロッパ知識人の伝統に根ざした「自由な経済社会」を実現するためにどうすればよいかを徹底的に考え抜いた社会思想家としてのドラッカーです。
ドラッカーは、企業の利潤最大化のために「マネジメント」を発明したのではありません。
ドラッカーの考える「マネジメント」とは、企業経営を通して、社会をより良くするために紡ぎ出された概念です。
だとすれば、わたし達実務家が、いま、ドラッカーを読むことは、”ドラッカーブーム”とはまったく異なる意味で重要です。
ドラッカーを通して、社会において企業が果たすべき役割を考える。
それが、この講座の目的でありました。
講座では、ドラッカー初期の三冊を読み込みました。
1939年、29歳の著作『経済人の終わり』
1942年、33歳の著作『産業人の未来』
1954年、45歳の著作『現代の経営』
いずれも、ベストセラーとなっているドラッカー本に比べると難解で手強い本です。
歴史、宗教、哲学等々幅広い知識と教養がちりばめられています。
講師の菊澤研宗先生は、この難解な書を見事に解説してくれました。
ドイツ経営学の学窓で育ち、カント、ヘーゲル、ウェーバー、ポパー等を熟読してきた菊澤先生には、哲学や政治思想に関わる驚くほどの知見があります。
防衛大では、日本軍の失敗の本質を経済学的に解読するという独自な研究分野を確立し、いまは、「組織の経済学」、「戦略の経済学」の専門家として活躍しています。
哲学から経営を語る。 経済学で経営を読み解く。
こういう役割と位置を与えられた時に、菊澤先生の魅力が発揮されます。
ドラッカーという素材に、菊澤先生のフレーバーが練り込まれた講義は、受講者の皆さんを深い思索の世界に誘ってくれました。
・自由とは何か。
・組織と個人はどうあるべきか。
・どうすれば、人間は生き生きと働くことが出来るのか。
そんな、思いっきり青臭いテーマに、経験豊富な実務家が真正面から向き合い、議論を繰り広げました。
それは、ドラッカーが辿った思索遍歴を、自分たちの経験に置き換えながら言語化することでもありました。
言い方を変えれば、自分の「根っこ」を掘り出す作業でもありました。
菊澤先生は、受講者のどんな発言も、けっして否定することはありません。
いつもニコニコと微笑みながら、すべての発言を受け止めてくれました。それでいてシャープに論点を切り分け、依って立つ考え方を整理してくれます。
菊澤先生のホンワカとした暖かさに助けられて、受講者は、自らの発言を二度三度の深掘りして、自らの「根っこ」に迫ろうとします。
とはいえ、酸いも甘いも噛み分けてきた皆さん、簡単に「根っこ」を掘り出すことは出来ません。
「根っこ」の存在を手のひらで確かめつつも、その大きさ、複雑さ、脆弱さを知って掘り出す手を止める。
そんな繰り返しではなかったでしょうか。
ドラッカーをきっかけに、自分の深層心理に潜り、自分を自分ならしめているものの存在に気づく。「内省」という言葉の持つ深淵さを教えてくれる講座でもありました。
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不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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