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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2014年04月18日

マーケティング性をもったマーケティング戦略 井上哲浩先生

photo_instructor_709.jpgまさにいまの時代、の戦略。示唆に富んだ講演でした。慶應ビジネススクールの井上哲浩先生に前回『夕学五十講』にご登壇いただいたのは2008年前期。この6年の間に、私たち消費者をとりまく環境、ビジネスの環境、データの世界、時代はずいぶん変わりました。
あらゆるところにあらゆるデジタルデータが蓄積されていく時代。メディア、ツール、インフラ、どんどん変化していく時代。行動や発言といった、これまでデータにはなりえなかった定性情報までもが蓄積されていく時代。「ビッグデータの時代」とはこれら、私たちをとりまく環境の総称、ともいえるかもしれません。
ビッグデータの時代にあって、マーケティングはどう何が変わり、あるいは何は変わらないのか。このテーマに挑んだ井上先生の講演ですが、ビッグデータの時代の意味するところがメッセージでもありました。
データ・マネジメント・プラットフォームの時代
講演の前日、4/17の日経一面に「ビッグデータ 300社連携」という記事が掲載されました。


ご記憶の方も多いと思います。井上先生も、この企業間連携の動きに注目し期待されていました。ビッグデータは膨大ゆえ、統合され、使えるようになってこそ、意味をもつデータとなりえるからです。
メディア性・デバイス性・マーケティング性
「データやツールにマーケティング性を発揮されるマーケティング戦略が必要」と井上先生はおっしゃいます。
マーケティング、メディア、データ解析。専門性を深めているうえ、それらすべての理解が求められる時代といえます。メディアの概念が広がり複雑になっています。それらがわからないといくらマーケティングの手法を詳しく知っていて経験があってもメディア戦略の立案はできませんし、分析手法は使いこなすだけはそれのもつ意味が見えてはきません。膨大なデータから何か価値や意味を見出すには、目的が必要で、手法の細かなアルゴリズムよりその手法や対象の性質を知っていてはじめて生きるデータマイニングや分析ができるのです。
また、メディアミックスとずいぶんいわれてきましたが、複雑になり難しくなる一方で、よりそこが肝にもなっています。便利なデバイスだから、つながるから、では消費者に情報は届かず、ましては行動を促すことはできません。感動的伝達ができるか、行動を促せるか、メディアやツールのもつ性質の理解と、それをいかしたマーケティング戦略が求められます。
ビッグデータには、行動データと、態度データが混在している、そうです。いいな、好きだなと思っても、それが購買行動に即時的に直接的につながるとは限りませんし、一方でそういうい情緒にこそ、本音や本心、可能性が秘められているともいえます。ビッグデータのもつ可能性であり、その複雑さにクルーを見出すキーワードといえるのが、井上先生が全体を通してお話くださった、データ・マネジメント・プラットフォーム、連携、外部資源の内在化などといえるのでしょう。
ビッグデータを共有し、新商品・サービスをつくりだしていく時代、関係性を構築する時代。自社が提供する商品サービスと顧客の理解、メディア性・デバイス性・マーケティング性の理解、それらすべてが求められる時代。ビッグデータの間で連携し、外部資源を内在化することで、新しい価値をつくる時代。たいへんな時代ですが、本質をとらえて、”マーケティング性をもったマーケティング戦略”を問い続けていきたいと思います。(湯川)

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