ピックアップレポート
2018年01月09日
河村 庸子『生産性マネジャーの教科書』
はじめに
本書では、“生産性マネジャー”がホワイトカラーの生産性向上を実現する上でカギとなる7つの“逆転の発想”をご紹介します。
成長市場から成熟市場へとビジネスが変わった今、マネジメント方法もまた、これまでと同じでは通用しません。だからこそ、現代のマネジャーには、次のような“逆転の発想”がもとめられています。
7つの逆転の発想
- 自己評価の申告前にすべては終わっている
- わかりやすい数値目標を設定するな
- 目標設定シートには文章を書かない
- 先にしゃべるな!
- あなたは「上司」ではない!
- 部下支援を均等に行ってはいけない
- なんでもマネジメントしようとしていないか?
これらの“逆転の発想”が実現できると、生産性マネジャーは、相手に合わせて多様なコミュニケーションを使い分けます。部下にとっては「上司と合わない」ことによるストレスや悩みがなくなります。また、上司の決めたことを一律に指示するのではなく、部下に合わせて育成や支援を行うので、どんな部下も成長します。
生産性マネジャーは、期初の目標設定の段階で、どのように目標を設定したら部下がそれを達成できるのか知っています。その目標を達成するためのPDCAマネジメントも、何を部下に狙わせ、どうしたら部下がそれに挑戦できるのか。何を評価し、どのように実行可能な改善のアイデアを出せるのか、そうしたマネジメントのツボを押さえているので、効率よく成果を出します。
組織のリーダーが生産性マネジャーになると、部下を通じて組織や社会に変化が起きます。
生産性マネジャーは、組織内のコミュニケーションを活発にし、信頼をベースとした対話の多い組織を作ります。協力的な人間関係は「思考」の質を高め、部下に気づきや当事者意識を生み出します。部下は自発的に新たな試みに挑戦するようになるので、組織は自然に成果を出す体質を獲得していきます。
また、生産性マネジャーは、効果的な「思考のフレームワーク」を選択します。問題に意識をフォーカスしていると、「誰が悪いのか」責任を追及する雰囲気が組織に蔓延します。しかし、意識を結果にフォーカスすると「何ができるのか」未来に向けてアイデアを出し合い、課題を乗り越える雰囲気が定着します。
生産性マネジャーは、相手の気づきを引き出すので、部下は自分の個性を生かし、納得したやり方で成果を出せるようになります。多様化した顧客ニーズに対しては、誰にでも当てはまる正解というものはありません。正解が提示されなくても、部下がその場にあったやり方を見つけて、納得して前に進むことで多様な社会に新しい価値を提供します。
成長モードの市場では、マネジャーは「立場力」を使って自分が判断した正解を部下に指示し、部下同士を競争させることで成長スピードを追及することがあります。競争の先に約束される“幸せ”は、昇給、昇格、権威など、外から与えられる価値ばかりです。これら外的な価値は必ずしも“幸せ”に結びつかず、そこで生まれる不足感は、「もっと欲しい」という取り合いを引き起こします。
成熟モードへと移行した市場では、マネジャーは「個人力」を培った生産性マネジャーへと変化を求められます。生産性マネジャーは、部下との人間関係を深めることを通じて、成長と創造のベースとなるよい状態を作り出します。豊かな人間関係の先にある“幸せ“は、納得・満足・自由など、内面で感じる価値です。内面の充実感が増えて溢れだすと、分かち合いが起きます。
職場の人間関係は、そこに所属する人々の人生に大きく影響を与え、その先にいる顧客や社会活動まで広範囲に影響します。生産性マネジャーとして、周りの人に自由な選択・心の充実・幸福感をもたらし、結果として交流・創造・飛躍を生み出す中心的な役割を担うべく、本書をお役立ていただきたいです。
『生産性マネジャーの教科書』の序章を著者と出版社の許可を得て掲載しました。無断転載を禁じます。
- 河村庸子(かわむら・ようこ)
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- 株式会社コラボプラン 代表取締役社長
英国国立レスター大学(MBA)、早稲田大学(理学士)。
リクルート社入社後、転職サイト「リクナビNEXT」の構築、WEB旅行会社の立ち上げ、基幹システムや連結決算システムの構築など、大型プロジェクトに取り組む。詳細はこちら
http://www.collabo-plan.com/company/consultant/yoko-kawamura
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