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田口 佳史「2021年 辛丑の見通し」

2021年01月12日

田口佳史
東洋思想研究家、株式会社イメージプラン代表取締役会長

2021年の干支、辛丑(かのと うし/しんちゅう)とはどんな年だろうか。
「辛(かのと)」は、そもそも鋭い刃を全てのエッジに持つ動物解体用のナイフの象形文字。鋭い切れ味を持つから、取り扱いが難しい。皮膚を切ればヒリヒリとした鋭い痛みが襲ってくることから、ピリピリ、ヒリヒリとした「からい」という舌を刺す味を表わし、そこから「つらい、ひどい、むごい」などの意味となり、辛苦、辛酸などの言葉となった。
鋭い刃物は表面を切り裂くことで、そのものの新しい面を生み出すことから、「新しい」意味もある。更に、字形から「上位をおかす」、下位のエネルギーが「上位を揺るがす」意味ももつ。

「丑(うし)」は、母親のお腹の中からやっと出た児が、右手を伸ばした象形文字。
曲っていたものが懸命に伸ばすことを表わす。この状態から「始める」「伸ばす」の意味となり、「紐」の文字にもなっていることから「結ぶ」という意味も含む。

したがって今年は、これまでの新生の働きが、表面に出てくる年である。

どういうことか。前回60年前の辛丑、昭和36年(1961)を眺めてみると

  • 日米安保体制をソ連フルシチョフ首相批判
  • 米国ケネディ大統領就任
  • イタイイタイ病のカドミウム原因説発表
  • 四日市ぜん息患者多発
  • 第1回非同盟国首脳会議、25ヵ国開催
  • キューバカストロ首相社会主義協和国宣言
  • ベルリンの壁構築

である。新生の働きが表に出ると、時には痛みや殺傷を伴う。人によっては一層の「つらい、ひどい、むごい」を味わうことにもなる。
辛丑、私たちは、新しい何かを生み出すことに集中して、何かを始める方へまわることが肝要である。

 

田口佳史(たぐち・よしふみ)
田口佳史
  • 東洋思想研究家、株式会社イメージプラン代表取締役会長
1942年東京生まれ。新進の記録映画監督として活躍中、25歳の時タイ国バンコク市郊外で重傷を負い、生死の境で『老子』と出会う。奇跡的に生還し、以降中国古典思想研究四十数年。東洋倫理学、東洋リーダーシップ論の第一人者。企業、官公庁、地方自治体、教育機関など全国各地で講演講義を続け、1万名を越える社会人教育の実績がある。 1998年に老荘思想的経営論「タオ・マネジメント」を発表、米国でも英語版が発刊され、東洋思想と西洋先端技法との融合による新しい経営思想として注目される。慶應MCCではagora中国古典を担当。

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