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『ちょっと先を見て動きなさい!』

2004年05月11日

著者:ボブ・ネルソン 訳者:金児昭
出版社:三笠書房; &nbspISBN:4837956424 ; (2004/02)
本体価格:1,300円 (税込:1,365円); ページ数:201p
http://item.rakuten.co.jp/book/1634672/


著者のボブ・ネルソン氏は、ネルソン・モチベーション・カンパニーの経営者で、ビジネスマンの創造性開発、企画力開発、意思決定、コミュニケーション論、経営管理論など幅広いテーマにわたって活躍している方で、とくにリーダーシップやモチベーションの領域では国際的なエキスパートであるという。
本書では、仕事ができる人・できない人の行動パターンの違いをとらえ、どう改善していけばよいかをたくさんの具体例を示して紹介している。実践的なビジネス・ガイドとして全米でベストセラーになった本である。
事例に登場するのは、特別な才能を持った人たちではない。その証拠に、実際の会社や社員が続々と実名で登場する。身近な日常よくありそうな、まるで自分の職場や隣の職場で実際に起きるような具体的な例をあげながら、その人たちが、失敗を含めた学習によって創意工夫を発揮し、才能を獲得していき待遇と報酬を得る成功物語が展開される。それらのさまざまな事例を通して「人より一歩先を行く仕事術」を、知ることができる。
「人より一歩先を行く仕事」をめざす人に格好のケース・スタディ本だと思って読んでいたら、それだけではないことに気がついた。この激変するビジネス社会において、”問題発見型”の仕事ができる人に変身することが、必要だと説いている。
問題発見型というと、昨今の日本の状況を鑑み、すぐに内部告発とか事件性のあることを考えてしまうけれども、企業が利益を生み出す組織として続くことを妨げるような社内の問題に気づき、解決策を提案し、取り組み、解決していく力をもっているということだ。
どうして問題発見型の仕事ができる人が必要なのだろうか。
変化がますます激しくなっているビジネスの世界では、本来社内の問題を承知していなくてはならないはずの会社幹部が、現場からの距離が離れていることにより現場の状況変化の察知や意思決定が遅くなり、その指示を待って手遅れになってしまうようなケースが少なくない。それは、消費者の利益、会社自体を失う危険をおかすことにつながる。だから、問題点を最も発見しやすい立場にいる現場の第一線で働く社員が、問題発見型の仕事ができる人に変身しなければならないと説いている。
それでは少し、釈迦に説法になるかもしれないが、本書にかかれている「人より一歩先を行く仕事」をするためのポイントのうち、私が興味をもったいくつかのポイントを紹介しよう。
まず、仕事の「真の目的」や「真の意味」を常に考えながら、自ら判断し、行動することである。自らの頭で考え行動することは、つまりは創造的な自己表現であるともいえる。さらにその自己表現が周囲から認められれば、喜びと満足感を得られ、その喜びがさらには、新たな行動の原動力となり、次々に挑戦をしていく、という好循環ができるのである。これは、人間の心と体は「慣性の法則」と物理学でいわれているような慣性の性質をもっていて、いったん動きはじめると、さらに動きつづけようとするからである。だからこそ、ささいであってもいいから、まず心と体を始動させることが大切である。そこで何よりも大切なことは、「真の目的は何か」を常に意識することであり、その意識こそが、問題解決型の行動につながるのだ。これは、マニュアル人間からの脱却法でもある。
次に、固定観念にとらわれないことである。
正しいやり方はひとつしかないと絶対に決めつけてかからないこと、従来の方法が今後もベストな方法だと決めつけないこと、である。先入観抜きで、物事を距離と角度を変えて考えることが大事だ。そうすると、これまで見えなかったものが必ず見えてくるはずだ。時には、揺るがない常識と考えられていることであっても、根本の根本から疑うことが、問題発見につながるのである。
さらに、詳細の説明は省くが、下記の点も、私にとって非常にハッとさせられたポイントである。

  • ニーズをチャンスに転換する。
  • 解決不能に見える、前例のない難題にぶつかったときは、先ず、すべての制約をなくした「理想的な状態」を考える。
  • 困難な問題の中にも必ずあるプラス面を探すという積極性と先見性をもち、非建設的に見える解決策のなかに、建設的な点はないかを探す。

いかがだろうか? 普段どの程度できているだろうか?
著者は、マニュアル人間は残念だがいずれ職を失うことになるだろうと予告している。
「ちょっと先を見て」、「人より一歩先を行く仕事」をすることこそが、能力と市場価値を高め、さらにそれが「自分のブランド」を確立することになるのだ、という。そのためには、上記であげたポイントを意識しながら、常に学び、成長し、ベストを尽くしていくことが大切なのである。
「一生の給料を、この本が保証してくれる!」と書籍の帯に書かれていた文はあながち嘘ではないかもしれない。本書を手にとって「先読み仕事術」を自分のものにしてみてはいかがであろうか?
(鳥場 久子)

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