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武田 双雲「夢の叶え方」

2011年11月08日

武田 双雲 書道家  >>講師紹介
講演日時:2011年6月2日(木) PM6:30-PM8:30

「25歳まで、何の夢も目標も持たず生きて来た」という武田双雲さんは、現在35歳。会社を辞め、書道家としてやって行こうと思い立ったのも衝動的なものでした。その時に夢を持たなければと思い、あてもなく書いた言葉が「世界を感動させる」。でも「世界」と書いた途端、それまで全く興味のなかった世界のニュースが目に飛び込んでくるようになったといいます。そしてこのときから、武田さんは「書く」ことで自らの人生を開いてきました。

表札や看板書きの仕事をしながらモヤモヤしていた頃、あるストリートミュージシャンに魅かれて、翌日にはその隣でパフォーマンス書道をはじめたのも、衝動力の持てる技かもしれません。やがて路上で集まって来る人の数が増え、幅広い仕事が舞い込んでくるようになりました。その後の活躍はみなさん御存知の通りですが、それも夢がひとつずつ叶っていった結果だといいます。

欲望の延長に夢があり、夢の先に志がある。だから夢を叶えるには、まず自分の欲望をきちんとつかむことが大事です。その練習として、武田さんは「欲望を紙に書きだす」ことを勧めます。書くときに湧きあがる感情から、自分の正直な欲望をつかむのです。この段階では、社会とのつながりを意識せず、他人の期待からも自己を解放して、ただ自らの感情と向き合います。怒りや不満といったネガティブな感情を否定せず、それにただ耳を傾け、湧き上がったものを磨いていくと、ポジティブに変わる瞬間があります。それが夢です。

次に作成するのが「義務リスト」です。自分にとって最も義務感を強く感じる行動を3つ書き出すことで、無意識のうちに刷り込まれた価値観や思いこみに自覚的になろうというものです。子どもと違い、私たち大人は相当な義務感のもとで日々過ごしています。その義務感に気付き、そしてそれを減らしていくことで、良質な欲望が生まれやすくなります。

そして夢を書きます。ポイントは、誰もが思いつく夢を書かないこと。他人と同じ夢を追えば競争になりますが、オンリーワンの夢ならそこには共奏や協創が生まれます。また、夢は欲望とは違い、自分ひとりで描くものではありません。みんながワクワクするような魅力的な夢を、社会と一緒に磨いていきます。このとき、「点」で描いた夢を自らの感情にまで落とし込んで、自らの人生の中で「線」にしていきます。

夢を文字にすることで何が起こるのでしょうか。

自分の本当の気持ちを知っているのは自分自身です。言葉に書きつける「自己カウンセリング」を行うことで、課題が整理され、本質に辿りつき、やりたいことに結びつきやすくなります。武田さん自身、書くこと、話すこと、整理すること、そして書いたものを日々目にすることを十年間やってきて、夢に引っ張られてきたと力説されました。

人は夢の彫刻家である、と武田さんは言います。夢は生涯をかけて彫り、鍛えて、進化させていくものです。終わりはありません。ゴールとしての夢を描かずにやってもうまくいきません。夢があることで、未来から現在が引っ張られます。夢が現実を引っ張るのです。どういう死に方をして、どういう存在として社会に残りたいのか、それを描くことです。

それぞれの来し方を振り返ってみれば、大体みんな自分が思った通りの自分になっているのではないでしょうか。そう言って武田さんは気づきを促します。みんな夢は叶っているのです。違いは、どのような夢を描いてきたかです。

そして武田さんは、ご自身の今の夢について語ってくれました。それは「世界感謝の日」をつくること。これだけグローバル化が進んだ世界なのに、共通の祝日が一日もないのが残念なので、世界中の人が感謝し合う日を創りたい、という壮大な夢です。実現の目標日は2020年の6月9日(武田さんの誕生日)。その日に実現していたら、「本当に夢は叶うんだ!」と思ってください!とのことです。

最後に筆を取り、書で「夢」を披露してくださった武田さん。それまで言葉として口からほとばしっていた情熱が筆先に集中したかと思うと、結晶となって光り輝く文字がそこに現われました。

その後の質疑応答にも活発にこたえていた武田さん。最後の質問者、ユキさんが「ミュージカルへの出演、という子どもの頃からの夢を叶えたい」と語ると、「では今日、その一歩を踏み出しましょう」と言って、自分は舞台下に降り、即興で司会をしながらユキさんを舞台の上に登場させる、という思いがけない展開に。夢の実現に向けて一歩を踏み出すことを宣言したユキさんを、武田さんの優しい言葉と、満場の温かい拍手が包みました。

「僕が今日ここに来るにあたっての夢は、話を聞いてくれた全員の人生を変えることでした。その目的を達成できたでしょうか。」そう言って武田さんは、私たちの目の前で、自らの夢のひとつを叶えた瞬間を見せてくれました。十年後の武田さん、ユキさん、そして自分自身の姿が楽しみな一夜となりました。

(白澤健志)

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