HOMEへ戻るMCCマガジン池田 弘 「アルビレックス新潟の奇跡と軌跡」

池田 弘 「アルビレックス新潟の奇跡と軌跡」

2006年03月14日

池田 弘 株式会社アルビレックス新潟 代表取締役会長 >>講師紹介
講演日時:2006年2月1日(水) PM6:30-PM8:30

今日の『夕学五十講』は、Jリーグの人気クラブ「アルビレックス新潟」の代表を務める池田弘氏のお話。池田氏のスーツの下には、チームカラー「オレンジ」色のワイシャツがのぞいています。地元の社会人主体のチームを母体として生まれたアルビレックス新潟を、ホームスタジアム(ビッグスワン)での試合は毎回チケット完売になるほどの人気クラブへと育てた誇りと愛情が伝わってきました。


池田氏は、宮司の子供として生まれ、その後を継いでいます。したがって、現在も、宮司としての仕事もされているそうですが、並行して、新潟を世界一にすることを目標にさまざまな事業に取り組んできました。例えば、池田氏が展開する学校事業には、サッカーの専門学校など、新潟にしかないオンリーワンのプログラムが提供されています。おかげで、新潟の学校に首都圏からも入学希望者が集まってくるそうです。
最近は、MBA(経営学修士)が取得できる大学院を開校する計画を進めています。新潟でベンチャー企業を創造し、将来は公開企業を501社にするという構想を描いているそうです。池田氏のこうした精力的な事業展開の根底には、地元新潟の活性化が氏子さんたちの幸せにつながるという思いがあるのです。
さて、アルビレックス新潟はそもそも2002年ワールドカップの開催地のひとつとして新潟が選ばれるためにつくったのだそうです。全国各地との誘致合戦に勝ち残るためには、地元にもJリーグを目指すクラブチームが必要だったからです。ただ、専用の練習場もなく苦しい運営を強いられます。クラブの存続のため選手を大量に契約満了にすることを余儀なくされた時期もありました。
しかし、J2リーグ時代の2003年時点には、すでにJ1のどのチームよりも多くの観客動員数を誇る人気チームへと成長しました。地元新潟のビッグスワンでは毎試合4万人以上の観客を集めます。2万2千席のシーズンパスも即完売。池田氏は、日本一の後援会を抱えていると自負しています。アルビレックス新潟は他のチームと違って、特定の大企業に支えられているのではなく、広く薄く多くの企業・団体に支えられながら地元に大きな経済効果をもたらし、また過去6年間黒字を維持してきています。
アルビレックス新潟がこれだけの人気を博すようになったのは、地元の住民を試合に無料招待し、とにかくスタジアムに来てもらうという戦略が成功したからです。家族連れで気楽にやってきて、満員のスタジアムの活気に触れ、スタジアム全体が感動に包まれる体験を味わう。繰り返し訪れているうちに、最初はわからなかったルールもわかるようになってくる。そうやって、毎試合熱心に応援する、家族ぐるみのファンがどんどん増えていったのです。
当初、無料招待はゲームの価値を下げるという周囲の反対の声があったそうですが池田氏は押し切りました。というのも、池田氏は以前、ロサンゼルスで開催されたワールドカップ準決勝で、9万人の大観衆に沸くスタジアムを経験していたからです。当時池田氏はサッカーのルールもよく知らず、あまり面白いスポーツだとは感じなかったそうです。しかし、9万人の人が集まったスタジアムの熱気には圧倒されました。膨大な数の人が集まって放つエネルギーのすごさを感じた池田氏は、同様に、ビックスワンでもまずは観客席を満員にすることが重要だと考えたのです。
池田氏は、新潟のサポーターの方々のアルビレックス新潟に対する気持ちを物語るこんなエピソードを紹介してくれました。
アルビレックス新潟は、J1に昇格した2004年、開幕から9連敗を喫します。それまで、過去3年間は新潟ではほとんど負け知らず。選手たちは、熱心なサポーターに応援されて負けるわけにはいかないという思いで戦ってきたのです。しかしJ1ではなかなか勝てなかった。負けがこんでくると、さすがにサポーターたちも意気消沈してきます。そして、ついに5、6試合目にはブーイングが起こるようになってしまったのです。ところが、スタンドの一部でブーイングが起こった瞬間、周囲のサポーターたちは、逆に拍手をしてブーイングを消してしまいました。サポーターも選手たちもみんなファミリー、負けたからといって家族を責めたりはしない、むしろがんばれよと励ましたい、というのがアルビレックス新潟のサポーターたちの思いだったのです。
池田氏も、今ではサッカーが大好きになりました。そして涙もろくもなったそうです。超満員のビッグスワンで、極限状態で戦っている選手たちを応援しながら、何度も感動で涙するという経験をしたからです。
一度ぜひビッグスワンの大観衆の一人になってみたいものだと感じさせるお話でした。

主要著書
池田弘 奇跡を起こす人になれ!』(共編著)、東洋経済新報社、2005年

推薦図書
アルビレックス新潟の奇跡-白鳥スタジアムに舞う』飯塚健司・滝井壽紀(共著)、小学館、2005年

推薦サイト
http://www.nsg.gr.jp/ikeda/ 池田弘の活々街おこし

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