私をつくった一冊
2023年04月11日
清水 勝彦(慶應義塾大学大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール 教授)
慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。
- 清水 勝彦(しみず・かつひこ)
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- 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール 教授
- 慶應MCC担当プログラム
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- 経営戦略―危機に立ち向かう経営の条件(2023年5月)
1.私(先生)をつくった一冊をご紹介ください
2.その本には、いつ、どのように出会いましたか?
『心理療法序説』はコンサルタント時代に先輩から紹介された本です。コンサルタントは「企業の医者」などと言われて上から目線であることの思い上がりを指摘されてはっとしたことを覚えています。
もう1つの『こころの処方箋』ではやわらかい文体でとても厳しい指摘がいくつもささり、コンサルタントとしての覚悟を問われている気がしました。その後河合隼雄さんの本はできるだけ読むようにしていますが、思ったより多作でいらして、まだまだ読めていない本も多くあります。
3.どのような内容ですか?
いずれも基本的に「人間とは何か?」をカウンセリングの現場から問うている本であり、その意味ではコンサルタントやビジネスパーソンだけではなく、親として、あるいは家族の一員として忘れがちだけれど考えるべき重要なテーマが取り上げられています。
『こころの処方箋』は55の処方箋からなり、いきなり第1は「人の心など分かるはずがない」です。
『心理療法序説』の「はじめに」には以下のようにあります:
悩んでいる人の忠告や助言を与えることを、まったくしないわけではないが、それは心理療法の仕事においては、ほとんど重要なことではない。…心理療法は長い道程をクライエントとともに歩むものであるが…「よくなる」とか「治る」とかをこえて、人間が「生きる」ということにまで考えが及んでくる。
4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?
2.と同じ。
5.この本をおすすめするとしたら?
全ての人が読んだらよいと思います。調子が悪い、悩んでいる人はもちろんですが、「調子に乗っている」ひとも、何かを見逃していることはあるはずです。ほとんどの場合、個人もそして企業も、失敗の種は成功している時にまかれていることが多いですから。
『こころの処方箋』の第12「100点以外はダメな時がある」なんて、特にそうです。
- 清水 勝彦(しみず・かつひこ)
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- 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール 教授
- 慶應MCC担当プログラム
- 1986年東京大学法学部卒業。1994年ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、コーポレイトディレクション(プリンシプルコンサルタント)を経て2000年テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D.)。同年テキサス大学サンアントニオ校助教授、2006年准教授(テニュア取得)、2010年より現職。
専門分野は経営戦略立案・実行とそれに伴う意思決定、戦略評価と組織学習。米国での学会、論文発表多数。日本企業の研究や幹部研修などの実績も多い。
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